番外編30:犬は本当に可愛いですね(初代×犬)

17:犬は本当に可愛いですね(初代×犬)

 

 

—–旅の途中

 

わんっ、わんっ!

 

初代「スゲェな。この街」

犬「犬がたくさん居ますね」

 

市長「勇者様。どうですか、我が街は!」

初代「(どうもこうもねぇよ)い、いい街ですね」にこ

犬(初代様、多分『どうもこうもねぇよ』って思ってる)

 

市長「そうでしょうとも!見て下さい!」

 

わんっ!わんっ!

 

市長「我が町は生類憐みの街として名を馳せておりまして、犬に関しては特に保護の対象としておりまして!9割の家で犬を飼っております!」

初代「……生類と言いつつ、どうしてそこは犬なんですか」

市長「犬は人間の原初からの友とも呼ばれておりますからね。それに一番は」

 

 

市長「犬はこの世で最も可愛い生き物ですから!」にこーー!

 

犬「っ(なんか、自分の事を言われてるワケじゃないのに変にドキドキしてしまう…)」

初代「…」チラ

 

市長「あぁ、勇者様。ご案内します。行きましょう」

初代「…ああ」

犬(今日はどんな宿だろう)

 

スタスタ

———

——

 

初代「え?ここは…」

 

市長「ドッグランです!」

初代「どっぐらん?」

市長「犬を遊ばせる場所ですよ」にこー!

初代「そ、そうなんですね(いや、最初に荷物置かせて休ませろや)」

犬(……この市長、話を聞かないタイプのオタクだ)

市長「勇者様、この子達と遊んであげてください」

 

はっ、はっ、はっ。ふりふり!

 

 

初代「は?遊ぶ?」

市長「そうです。このフリスビーと呼ばれる円盤状のモノを投げると、この子達がとって来てくれます。賢い子達ですよ」にこにこ

初代「は、はぁ(だりぃ)」

犬(この世界にもフリスビーなんてあったんだ…)

市長「見てて下さいね!ほらっ!」ひゅん!

 

タタタタタ!!

 

初代「おっ」

 

犬が全力で駆け抜けて、見事、空中でフリスビーをキャッチしたよ!

 

初代「すっげぇな!…あっ、いや。凄いですね」

市長「そうでしょう!うちの子は皆、優秀で賢く、毛並みも良い。従順で主人の言う事には絶対に逆らいません。犬はいいですよ。なにせ、可愛い。どうです?初代様も投げてみませんか?」

 

初代「え、いいんですか?」ウズ…

犬(初代様が普通の男の子に…)

市長「もちろん!さぁ、このフリスビーを手首のバネを利かせて投げて上げてください。……そうですね。この、シバという種類の子が良いでしょう。この子は一番愛嬌がある」

 

わんっ!ふりふり!

 

初代「確かに可愛いですね」にこ

 

犬「…」モヤ

市長「さぁ、勇者様。この子にフリスビーを投げてあげてください!」

初代「よしっ!取って来い!」ひゅん!

 

わんっ!タタッ!

 

初代「おおっ!速ぇっ!」ぱぁっ!

犬(俺の方が速く走れる)モヤ

 

ぴょん!ぱくっ!

 

初代「飛んだ!取った!」ぱぁぁっ!

犬(俺だって取れる)モヤ

 

タタタタ!ぱっ!

 

初代「おー!持って来たか」にこ!

市長「勇者様、褒めてあげてください」

初代「褒める?」

市長「頭を撫でてあげてください。喜びますから」

初代「そうか。よしよし、お前はお利口だな」

 

ふりふりふり!

 

犬(俺だってあれ位出来るのに…!)むか!

 

市長「もう少し投げてあげてください」

初代「よし、じゃあ……取ってこい!」ひゅん!

 

犬「はいっ!」ダッ!

わんっ!

 

初代「は?」

市長「へ?」

 

タタタタ!

犬(コイツ、速いな…でも!)

 

ぱっ!

犬(俺にはリーチがある!)

パシッ!

犬「取った!」

 

タタタタ!

犬(俺は駄犬って呼ばれるけど、普通の犬よりは出来る事が多いんだ!)

 

 

犬「初代様!取ってきました!」ぱっ

初代「あ、あぁ」

犬「どうぞ!」すっ

初代「いや、どうぞっつーか…」

犬「へ?」

 

くぅん

市長「あ、あの…」

 

犬「…え?」

市長「気付かずにすみませんでした。よろしければお連れ様用の犬を連れてきますので……その、お連れ様もどうか。お投げ下さい」

 

 

犬「っ!(お、俺は一体何をやってるんだ!)」赤面!

初代「……(もしかして、コイツ)」ジッ

犬「も、も、も、申し訳、ございませんでした!お、俺は、フリスビーはっ、あの……大丈夫なので(恥ずかし過ぎるっ!)」ススッ

初代「…妬いたのか?」

犬「っっっ!!」真っ赤!

初代「っふ」

 

 

初代「……お利口だな」

犬は初代に頭を撫でて貰えたよ!

犬「~~~っっ!!(あ、あ、あ!)」歓喜!

初代(コイツ…)ジッ

 

くぅん

市長「ゆ、勇者様?」

 

初代「此方はお返しします」スッ

市長「あ、はい。もうよろしいのですか?」

初代「ええ。市長」

市長「はい」

初代「犬は本当に可愛いですね?」にこ

 

 

市長「そ、そうでしょうとも(…これは、本当に”犬”の事を言っているのか?)」ソワ

初代「ええ、犬は最高ですね」

 

なでなで

犬(…きもちいい)ふへ

 

市長「ならば、旅に犬をお連れするのはどうですか?きっと勇者様の旅の手助けに…」

初代「いえ、結構です。もう犬なら一匹可愛いのが居ますので」

 

市長「へ?(今、なんと…?)」

初代「市長、今晩の宿をよろしいですか?」

市長「あっ。そ、そうですね!我が邸宅に本日はご案内致しますのでっ!」

初代「そうですか。ありがとうございます……あ、それなら――」

 

—-部屋は一つで結構ですので。

 

なでなで。

犬(…きもちい~)ふへ

 

市長「……これはこれは」

くうん

 

 

————

人間に対しては、人見知りのせいで嫉妬の感情にまで発展しない犬ですが、対犬には別!死ぬ程嫉妬するよ!

 

 

犬(初代様の犬は俺なのに!)むっ!

 

それに対して初代は、

 

初代(コイツ、クッッッソ可愛いな!?オイ!?)

 

って思ってます^^

もちろん夜は大ハッスルして犬にご褒美をあげました。

次頁は、そのご褒美の一部始終です。