17:犬は本当に可愛いですね(初代×犬)
—–旅の途中
わんっ、わんっ!
初代「スゲェな。この街」
犬「犬がたくさん居ますね」
市長「勇者様。どうですか、我が街は!」
初代「(どうもこうもねぇよ)い、いい街ですね」にこ
犬(初代様、多分『どうもこうもねぇよ』って思ってる)
市長「そうでしょうとも!見て下さい!」
わんっ!わんっ!
市長「我が町は生類憐みの街として名を馳せておりまして、犬に関しては特に保護の対象としておりまして!9割の家で犬を飼っております!」
初代「……生類と言いつつ、どうしてそこは犬なんですか」
市長「犬は人間の原初からの友とも呼ばれておりますからね。それに一番は」
市長「犬はこの世で最も可愛い生き物ですから!」にこーー!
犬「っ(なんか、自分の事を言われてるワケじゃないのに変にドキドキしてしまう…)」
初代「…」チラ
市長「あぁ、勇者様。ご案内します。行きましょう」
初代「…ああ」
犬(今日はどんな宿だろう)
スタスタ
———
——
初代「え?ここは…」
市長「ドッグランです!」
初代「どっぐらん?」
市長「犬を遊ばせる場所ですよ」にこー!
初代「そ、そうなんですね(いや、最初に荷物置かせて休ませろや)」
犬(……この市長、話を聞かないタイプのオタクだ)
市長「勇者様、この子達と遊んであげてください」
はっ、はっ、はっ。ふりふり!
初代「は?遊ぶ?」
市長「そうです。このフリスビーと呼ばれる円盤状のモノを投げると、この子達がとって来てくれます。賢い子達ですよ」にこにこ
初代「は、はぁ(だりぃ)」
犬(この世界にもフリスビーなんてあったんだ…)
市長「見てて下さいね!ほらっ!」ひゅん!
タタタタタ!!
初代「おっ」
犬が全力で駆け抜けて、見事、空中でフリスビーをキャッチしたよ!
初代「すっげぇな!…あっ、いや。凄いですね」
市長「そうでしょう!うちの子は皆、優秀で賢く、毛並みも良い。従順で主人の言う事には絶対に逆らいません。犬はいいですよ。なにせ、可愛い。どうです?初代様も投げてみませんか?」
初代「え、いいんですか?」ウズ…
犬(初代様が普通の男の子に…)
市長「もちろん!さぁ、このフリスビーを手首のバネを利かせて投げて上げてください。……そうですね。この、シバという種類の子が良いでしょう。この子は一番愛嬌がある」
わんっ!ふりふり!
初代「確かに可愛いですね」にこ
犬「…」モヤ
市長「さぁ、勇者様。この子にフリスビーを投げてあげてください!」
初代「よしっ!取って来い!」ひゅん!
わんっ!タタッ!
初代「おおっ!速ぇっ!」ぱぁっ!
犬(俺の方が速く走れる)モヤ
ぴょん!ぱくっ!
初代「飛んだ!取った!」ぱぁぁっ!
犬(俺だって取れる)モヤ
タタタタ!ぱっ!
初代「おー!持って来たか」にこ!
市長「勇者様、褒めてあげてください」
初代「褒める?」
市長「頭を撫でてあげてください。喜びますから」
初代「そうか。よしよし、お前はお利口だな」
ふりふりふり!
犬(俺だってあれ位出来るのに…!)むか!
市長「もう少し投げてあげてください」
初代「よし、じゃあ……取ってこい!」ひゅん!
犬「はいっ!」ダッ!
わんっ!
初代「は?」
市長「へ?」
タタタタ!
犬(コイツ、速いな…でも!)
ぱっ!
犬(俺にはリーチがある!)
パシッ!
犬「取った!」
タタタタ!
犬(俺は駄犬って呼ばれるけど、普通の犬よりは出来る事が多いんだ!)
犬「初代様!取ってきました!」ぱっ
初代「あ、あぁ」
犬「どうぞ!」すっ
初代「いや、どうぞっつーか…」
犬「へ?」
くぅん
市長「あ、あの…」
犬「…え?」
市長「気付かずにすみませんでした。よろしければお連れ様用の犬を連れてきますので……その、お連れ様もどうか。お投げ下さい」
犬「っ!(お、俺は一体何をやってるんだ!)」赤面!
初代「……(もしかして、コイツ)」ジッ
犬「も、も、も、申し訳、ございませんでした!お、俺は、フリスビーはっ、あの……大丈夫なので(恥ずかし過ぎるっ!)」ススッ
初代「…妬いたのか?」
犬「っっっ!!」真っ赤!
初代「っふ」
初代「……お利口だな」
犬は初代に頭を撫でて貰えたよ!
犬「~~~っっ!!(あ、あ、あ!)」歓喜!
初代(コイツ…)ジッ
くぅん
市長「ゆ、勇者様?」
初代「此方はお返しします」スッ
市長「あ、はい。もうよろしいのですか?」
初代「ええ。市長」
市長「はい」
初代「犬は本当に可愛いですね?」にこ
市長「そ、そうでしょうとも(…これは、本当に”犬”の事を言っているのか?)」ソワ
初代「ええ、犬は最高ですね」
なでなで
犬(…きもちいい)ふへ
市長「ならば、旅に犬をお連れするのはどうですか?きっと勇者様の旅の手助けに…」
初代「いえ、結構です。もう犬なら一匹可愛いのが居ますので」
市長「へ?(今、なんと…?)」
初代「市長、今晩の宿をよろしいですか?」
市長「あっ。そ、そうですね!我が邸宅に本日はご案内致しますのでっ!」
初代「そうですか。ありがとうございます……あ、それなら――」
—-部屋は一つで結構ですので。
なでなで。
犬(…きもちい~)ふへ
市長「……これはこれは」
くうん
————
人間に対しては、人見知りのせいで嫉妬の感情にまで発展しない犬ですが、対犬には別!死ぬ程嫉妬するよ!
犬(初代様の犬は俺なのに!)むっ!
それに対して初代は、
初代(コイツ、クッッッソ可愛いな!?オイ!?)
って思ってます^^
もちろん夜は大ハッスルして犬にご褒美をあげました。
次頁は、そのご褒美の一部始終です。