番外編26:コイシ、熱を出す!(ヒスイ一家)

 

 

—魔王城に行く途中

 

 

コイシ「…ふぇ、ふぇ」

ヘマ「あぁ、コイシ君。熱いね、辛いね、苦しいね。もうすぐお医者さんが診てくれるからね?」よしよし

ヒスイ「…あちぃな(こんなにグッタリして、大丈夫なのかよ)」トントン

 

医者「次の方どうぞー」

 

ヘマ「はーい」

コイシ「…っ!」びく

 

 

ヒスイ「コイシ、大丈夫だ」トントン

コイシ「…」ぎゅっ

 

診察室

 

ヘマ「先生、コイシ君が…熱くて」

ヒスイ「昨日の昼過ぎから熱が急に上がってメシも食えてねぇ。どうにかしてくれ」

ヘマ「オレの法術だとコイシ君が逆に疲れちゃうから」

先生「確かに、赤ん坊に法術はダメだね…んー、これは」

 

コイシ「…ぅえ」ジッ

先生「ふむ。ちょっと、お腹の音を聞かせて貰おうかな」

ヒスイ「さっさたしろ。コイシは疲れてんだ」

先生「わ、わかりました(口の悪い父親だな)」スッ

 

コイシ「ふぇぇーっ!ふぇぇーーー!」ジタバタ!

 

ヒスイ「コイシ!」

ヘマ「コイシ君!」

 

先生「痛くないからねー!」

 

 

コイシ「ふぇぇーっ!ふぇぇーーー!」ジタバタ!

ヒスイ「コイシ!!」

コイシ「っっ!」びく!

 

先生「お父さん、そんなに怒らなくても…(余計泣いてしまう)」

 

ヒスイ「コイシ。先生は”もしもし”するたけだから」とんとん

コイシ「…ジッ」ぽろぽろ

先生(…も、もしもしって)

 

ヒスイ「ほら、こうやって……もしもし。もしもしって」とんとん

コイシ「…」ジッ

ヒスイ「よし、もう大丈夫そうだな」

 

先生(大丈夫なのか?それにしても、もしもしって…)

 

ヒスイ「おら、さっさとしろや。このノロマが」

先生「は、はい(コイツ…!)」スッ

 

コイシ「…」ジッ

 

ピタピタ

 

先生(…本当に泣かなかった)

 

ヒスイ「おー、強かったな。コイシ。上手に”もしもし”できたじゃねぇか」とんとん

ヘマ「うん、上手上手ー!」にこ

コイシ「…」くた

 

先生「心音に問題はないですし、まぁ、これはただの風邪です。ゆっくり休ませいれば治りますよ」

 

ヒスイ「あ?本当だろうな?」

 

先生「この年頃の子供は、こうやって免疫をつけていきます。今はあちこち動き回らず温かい場所で寝かせてあげてください。子供は大人と違って体力がありませんから」

 

コイシ「…」くた

 

ヒスイ「…わかった」

ヘマ「しばらく宿で休もうね」

 

先生「また何かあったら来てください」

ヒスイ「…おう」

 

 

ヒスイ「…コイシ、宿でねんねんしような」

ヘマ「ゆっくりねー」

コイシ「…」くた

 

先生「…お大事に」

 

 

三人は帰っていったよ!

 

 

先生「もしもし…ねんねん…ギャップが凄いな」

 

 

ヒスイはコイシが来てから無意識に赤ちゃん言葉を習得!

でも、他の人への口の利き方は30過ぎても未修得!