—-魔王城
【犬とヘマ】
ヘマ「犬のお母さーん」テテッ
犬「あ、大賢者様。ご挨拶が遅れました。お久しぶりです」
ヘマ「おひさしぶりです!あのね、一つ聞いても良いい?」
犬「えっ?大賢者様が……俺に何を聞かれるって言うんですか?(大賢者様は世界の理の全てを理解してるんじゃ)」
犬「赤ちゃんの育て方を教えて!」
犬「えっ、えっ?赤ちゃんの育て方…?」
ヘマ「俺、赤ちゃん育てるの初めてだから、犬のお母さんに習う為に来たんだよ。あと、オモチャもらうため!」
犬「……あ、オモチャは初代様に伺われてください。多分、たくさんあるので良いって言われるとは思うんですけど(全部、初代様が買ったモノだし…)」
ヘマ「わかった!あとで、魔王様に聞いてみる!今ね、コイシ君のオモチャはコレしかないの」スッ
犬(回復薬の空の容器に大麦を入れたモノ……)
ヘマ「コイシ君はこれをシャカシャカするのが好きだよ!俺が作ってあげたの!」
シャカシャカシャカシャカ!
犬「……」
シャカシャカシャカシャカ!
—回想—
初代『おら』
犬『え?』
初代『ガキが生まれた後のオモチャだ。何かあったらコレで遊ばせろ』
犬『……はい(いつの間に…なんか、千と千〇の神隠しの坊の部屋みたいなのが出来上がってる。まだ生まれるの大分先なのに)』
初代『なんだ、足りねぇのか』
犬『いえっ!大丈夫ですっ!』
初代『明日また別のが届く』
初代『足りなかったらいつでも言え』どーん
犬『は、はい』
—回想終了—
シャカシャカシャカ
犬(結局、ご子息様はあの部屋で殆ど遊んでないな……普段は、なんか落ちてるゴミとか、お城の出っ張りとか、草とかで遊んでるし……あと一人で歌ったり)
シャカシャカシャカ
犬「……それで十分だと思います(さすが大賢者様……世界の理を理解してる)」(遠い目)
ヘマ「へ?」
シャカシャカシャカシャカ
—–子供は勝手に何でもオモチャにする!
【初代とヒスイ】
ヒスイ「お腹すいただろ。ほら、まんまだ」
初代(まんま…)
コイシ「……ちゅ」んくんく
ヒスイ「……なんか顔赤いか?ちょっとこの部屋暑ぃな。たんたん脱ぐか」
初代(たんたん…)
コイシ「……」にこ
ヒスイ「コイシは……なんでこんなに可愛いんだろうな。他の赤ん坊は大した事ねぇのに」ボソ
初代(親バカ…)
コイシ「…」
ヒスイ「コイシ、お前は何でそんなに可愛いんだ?あ?あー?」
コイシ「…」にこお
ヒスイ「あー?」にこ
初代「お前、スゲェな」
ヒスイ「あ゛?」
〇
初代様「…オモチャだと?まぁ、好きなの持ってけや」
ヒスイ「おう、助かるわ(このクズ魔王に子育てなんか出来んのかよ……まぁ、どうせ全部手下がやってんだろうけど)」
初代様(このクズにガキ…?コイツに子育てなんか出来んのかよ)
せがれ「しょだいさまー」トトト
初代「あ?どうした」
ヒスイ(あ、さっきのガキ)
せがれ「きょうね、むこうの、あおとびらの、とおくまでいってきたの」得意気
初代「おお、そうか」スン
ヒスイ(まぁ、こういうテンションのヤツだわな……ん?)
初代「…遠征を成功させたお主のメダルを授けよう!」
初代様は両手で大きく円を描いで、せがれの頭の上から大仰に何かを授けるポーズをとったよ!
初代「これからも未開の地の開拓に努めるように」
せがれ「これは、きんいろの、めだる!」
ヒスイ(ぶはっ!なんか急に小芝居が始まったんだが!!!?)
初代「そうだ、それは貴重なメダルだ」
せがれ「このよに、ひゃっこしかない、のに!」
ヒスイ(百個……意外とあるじゃねぇか)
初代「そうだ。もう百個が分かるのか。それならば、もうお前に資格は備わった。お前には緑の扉の向こうへ行く権利を授ける。行け!」
せがれ「はい!じゃあ、ぱんとぶれすれっとをください!」
ヒスイ(パンとブレスレット……)
初代「いいだろう。新しい旅の共に、パンとブレスレットも授けよう」
初代様は両手で大きく円を描いで、せがれの頭の上から大仰に何かを授けるポーズをとったよ!
ヒスイ(だから、何なんだよ!!このポーズは!!)
初代「では、行くがよい」
せがれ「はい!」
せがれは犬の所に走って行ったよ!
初代「あー、アイツ。独り立ちできんのかよ…」
ヒスイ「……やっぱ魔王は、スゲェわ」
初代「あ?」
—–子供が親を「親」にする!
ヒスイの赤ちゃん言葉も、初代様の小芝居も、二人共違和感などありません。
だって、毎日の事だから!
【せがれとコイシ】
せがれは鼻先がコイシを見ているよ。
せがれ「…」じっ
そんなせがれをコイシは瞬きもせずに見返しているよ!
コイシ「…」ジッ
せがれは離れて行ったよ! コイシは寝たよ!
犬「子供の距離感……」
ヒスイ「自由過ぎだろ」
魔王城でのそれぞれのひと時でした!
【蛇足】
初代がせがれに対して行っている小芝居の詳細の流れ図説。
初代「メダルを授けよう」
せがれ「ふ、ふ、ふ」
犬はこういう小芝居は大分下手くそなので、こういうのは初代の所にやってもらいに行きます。
ヒスイ(ウケるわー)
と思っているヒスイも、コイシがもう少し大きくなったら全力でやる。