番外編29:感想と言う名の恋文(茂木×大豆)

 

恋文の日

–茂木宅

 

大豆「…」ジッ

 

茂木(また真剣な顔を…また新しいネタの事でも考えているのか)

 

大豆「…」にこ

 

茂木「っ!(何を見てるんですか!?俺が以外の存在でそんな微笑みを浮かべるなんて最高のBL作品に出会った時以外認められない!)」

大豆「…」にこ

 

茂木「大豆先輩!」

 

 

大豆「っへ?」ぱっ

茂木「あの、さっきから何を見ていらっしゃるんですか?」

大豆「あ、えっと…」目逸らし

茂木「お、俺には言えないようなモノを見てたんですか?(どんなに変態的なBL作品の話すらも語り合うこの俺にも?)」

大豆「言えないっていうか…」目逸らし

茂木(気になるっっっっ!)

 

 

茂木「知りたいです」

大豆「え、えぇ」

茂木「見たいです」

大豆「そんな、変なモノを見てたわけじゃ…」

 

茂木「見たい見たい見たい見たい見たい」

 

大豆(わわわ、茂木君が子供みたいに……!)

 

茂木「俺は…大豆先輩の事が全部知りたいんです!知らない事がある事が嫌なんですよ!」バッ!

大豆「え?」

 

 

茂木「お願いです!俺にだけ貴方の全てを晒してくださいっ!」

大豆「っ!!(う、うわーー!)」きゅん!

 

大豆の承認欲求かまってモンスターが全身全霊で満たされたよ!

 

大豆「わ、わかったよ。仕方ないなぁ」にこ

 

大豆は持っていたスマホを茂木に見せたよ!

 

茂木「こ、これは……」

 

 

 

——

豆乳さん

 

お久しぶりです。キッコウです。

もしかすると、こういったメールは迷惑に思われているかもしれません。いえ、むしろ見られていないのかもしれないと思いつつ、こうしてたまにメールを送っています……

 

——-

 

茂木「……俺のメール」

大豆「うん、そうだよ」にこ

 

 

 

大豆「昔の自分のメールって見るのは恥ずかしいかと思って隠してたけど……俺、これ、よく読み直すんだー」

茂木「なんで……ですか?」

大豆「え?嬉しいから」

茂木「…嬉しい?」

大豆「そうだよ!何年かぶりに管理画面に入ったら茂木君から10通もメールが来てて、あの時本当に嬉しかったんだよ!」

 

 

大豆「就職してから……茂木君なら分かると思うけど、俺って仕事が全然出来なくて」

茂木「…そ、そんな事は」

大豆「そんな事あるよ。怒られてばっかりで、全然褒めて貰えないし。まぁ、褒められるような事が出来ない俺が悪いんだけど、でも」

茂木「…」

大豆「その中で、キッコウさんだけが」

 

 

大豆「俺の事を、こんなに褒めてくれてたんだよ!だから、よく見返して元気を貰うんだー」にこ

茂木「…ぁ」

 

–回想–

高校時代

 

茂木(あれ?豆乳さんの毎日更新が止まった…。そろそろ感想を送った方が良いかもしれない)

1通目

 

 

茂木(いつもなら次の日には返事が来るのに…怒ってるのか?)

2通目

 

 

茂木(返事が来ない。更新も、既に二週間もない。も、もしかして、もう、見て…ないのか?)

3通目

 

茂木(一カ月更新がない……返事もない。いや、見てる筈だ。いや、あんなに毎日更新してたのに、そんな急に管理画面すら見ないなんて事ない。まだ…まだ、間に合う……筈だ)

4通目

 

 

茂木(もう3カ月経った…。いや、でも他のサイトだとリアルが忙しくて3、4カ月更新が空くなんて事はよくある話だ。それに豆乳さんは就活するって言ってたし。忙しいだけだ)

5通目

 

 

大学時代

茂木(なんで俺はあの時感想を送るのを止めたんだ!なんでフォローを外したんだ!クソッ!なんで…!)

6通目

 

 

茂木(豆乳さんと同じ時期にサイトを運営していた他の管理人も軒並み更新が途絶えた。急にサイト自体にアクセスできなくなる事もある。もう、時代は個人サイトの時代じゃなくなった。……ん?まさか、投稿サイトに……豆乳さんも作品を移動させたんじゃ。そうだ!きっとそうだ!)
7通目

 

 

茂木(…投稿サイトにも、豆乳さんの作品と思われるモノはない、か。そりゃあそうだ。あの人は怖がりだった。全部、俺にだけだった…俺専用のSNSのアカウントを作ってくれた。俺の好きなカップリングで小説を書いてくれた。俺の好きな作品を多く更新してくれた。俺の感想に丁寧に返事をくれた)

8通目

 

 

茂木(そろそろ俺も就活か。早いな。大学4年間、あっという間だった。大学時代は人生の夏休み、なんてよく言うけど、高校の時の方が断然楽しかった。…ハマれるモノがあったから。作品を読むのも、貴方と交流するのも本当に楽しかった。もう、あんなに何かに夢中になれる事は無いかもしれない)

9通目

 

 

——-

キッコウさん、いつもありがとうございます。俺、キッコウさんとメールするのが、一番楽しいです。キッコウさんが居てくれるから、サイトやるのも楽しいって思えます。

——-

 

茂木(…豆乳さん。貴方の話が読みたいです。返事が欲しいです。……また、貴方と繋がりたい)

10通目

 

 

——

大豆「あのね。嬉し過ぎて、このメール、スクリーンショットして印刷してノートに貼ってるんだよー。消えたら嫌だから」にこ

茂木「……ぅ」

大豆「…茂木君?」

 

茂木「っう゛ぁぁっ!」号泣

 

大豆「えぇぇっ!?ごっ、ごめん!印刷してるの気持ち悪かった!?あ、あの、これは違くて!」

 

 

茂木「うぐぅっぅ(良かった……感想、書き続けて良かった…メール、送っててよかった…!!)」ボロボロ

大豆「茂木君だけじゃなくて、最近の…ほ、他の人の感想も印刷してノートに貼ってるんだよ!だから、あの…茂木君だけじゃなくて!」オロオロ

 

茂木「おでだげにじでぐだざいぃぃぃっ!!」

 

 

大豆「えぇぇ」きょとん

 

感想と言う名の恋文!

 

茂木、過去の自分を思い出し再び大豆と繋がれた事に歓喜の上、大号泣する。

【まろやか毎日】は、本編で茂木にまつわるちょっとした描写を省略して書いているので、近いうちに加筆しに来ます。茂木の後悔場面は、最も本編に加えたかった一つ。

 

 

 

 

 

—–以下:補足—–

 

このお話で大豆が言ってる「誰からも褒めて貰えなかった」の「褒めて」は、褒めて貰えれば何でも良いというワケじゃなくて…

自分に自信のない大豆が唯一自負を持っている「文章を書く事」に対して、全力で褒めてくれたのが「キッコウさん」だけだったから、茂木は大豆の中でも特別なんだよ!

 

≪多分、十勝も新入社員時代は大豆を褒めたりしてたと思うけど…≫

 

十勝「そう落ち込むなよ。大豆は仕事は…早くはないけど丁寧だし」
大豆「…でも」
十勝「大豆はお年寄りの対応が上手し」
大豆(…十勝は優しいから)

自分が「そう」思えない部分を褒められてるから、多分素直に受け入れられてない

 

≪一方「キッコウさん」≫

 


 

大豆「わーーーいっ!!!」

 

こんな感じです◎