番外編11:ダーウィング家の末っ子(カルド×ヨハン+デルカト)※イラスト有

 

—-カルド家

 

 

ヨハン(デルカト?俺はちょっと買い物に行ってくるから、少しだけお留守番していてくれる?)

 

ヨハンはデルカトの目を見ながら手に文字を書いたよ!

手話じゃなくても、むしろこれの方が何故か伝わるんだよ!ポイントは目!

 

 

デルカト「わかった。僕できる」

ヨハン(良い子)ちゅっ

 

 

ヨハン(すぐ帰ってくるからね)フリフリ

デルカト「はい、母さん」フリフリ

 

 

デルカトは本を読み始めたよ!

 

◇◆◇

 

コンコン

 

デルカト「っ!」パッ

 

—-デルカト?誰か知らない人が来ても、絶対に扉を開けたらダメだよ。

 

デルカト「まだ、父さんが帰ってくる時間じゃないのに…」

 

コンコン

 

デルカト「……誰だろう」トトト

 

デルカトは玄関に行ったよ!

 

カルド「ヨハン、カルドだ。開けてくれ」

 

デルカト「っ!父さん」ガチャ

 

カルド「…デルカト、なんでお前が出迎える?この時間、ヨハンは家に居るだろう。ヨハンはどこだ。お手洗いか?ならば、やり直す。そう伝えなさい」

 

 

デルカト「母さんは、居ない」

カルド「っ!何だって!ヨハンが居ない!?どうして、この時間はヨハンは家に居るだろう!まさか……、出て行ったのか!?」

デルカト「買い忘れがあったから、買い物しに行ってるだけだよ。それより父さんは何で帰って来たの。また研究室で喧嘩したの?」

 

 

カルド「……買い忘れ?あの、有能で素晴らしいヨハンに限ってそんな」

デルカト「(父さんは母さんを何だと思ってるんだろう)母さんだって買い忘れくらいするよ」

カルド「そんな筈ない、ヨハンは……あの時みたいに……私に黙ってどこかで倒れているんじゃないのか?」

デルカト「…大丈夫だよ(黙ってどこかで倒れる……?倒れる時に事前に報告なんて出来るのか)」

 

 

カルド「いいや、昨日の夜に大分無理をさせてしまったからな。また、病院なんじゃないだろうな!?」

デルカト「母さん、元気だったよ」

カルド「子供のお前には分かるまい。ヨハンは平気そうな”フリ”が上手いだけだ」

デルカト「父さんが鈍いだけだよ。母さんは分かりやすいよ。すぐ顔に出るんだ」

 

 

カルド「デルカト。お前は年の割に賢い。実際にそういう側面がある事も認めよう。事実だ。しかし、自惚れてはいけない。まだ、ヨハンと四年しか一緒に居ないお前の言う事など、私は信用しない」

 

デルカト「……じゃあ、好きにしなよ。僕は本を読むよ」スタスタ

 

カルド「…」スタスタ

デルカト「…」チラ

デルカト(結局部屋には入るんだ…)

 

デルカトは腰かけて本を開いたよ!

 

カルド「……」コツコツ

 

カルドは部屋の中を行ったり来たりしてるよ!

 

カルド「デルカト、聞きなさい。コペルナスの原理についてこないだ新しい理論が提唱された件についてだ。面白い理論だったからな、お前も知っておくべきだ」コツコツ

 

デルカト「…父さん」

 

カルド「【フーガの相対的な価値と今後の展望】という論文が酷くバカバカしい机上の空論である事は、お前が生まれる大分前に私が立証してやったのだが……」コツコツ

 

デルカト「父さん」

 

カルド「今度はまた新しい面白い論文が提唱されたよ。今度はあの時より更に興味深さが増した」コツコツ

 

 

カルド「面白いと言っても“興味深い”と言う意味じゃない。もちろん、お前なら分かるだろう。デルカト?」

デルカト「父さん。母さんは帰ってくる」

カルド「あの理論はコペルナスの原理に穴があるという」

デルカト「母さんは今、野菜屋のヌエルさんに捕まっているだけだよ」

カルド「原理原則をそのまま……そのまま……」

 

 

デルカト「あの人お喋りだから」

カルド「……本当か?」フイ

デルカト「そうだよ。母さんはお喋りに捕まりやすいから(父さんとか)」

カルド「…でも、全然帰って来ないじゃないか。それを証明する材料を提示しろ。今スグに」

デルカト「提示する必要はないよ」

カルド「提示しなければ立証されない」

 

デルカト「立証される。だって…」

 

ガチャ

 

カルド「っ!」ピン!

 

ヨハンが両手に荷物を抱えて帰って来たよ!

 

ヨハン(デルカト……あれ?カルド、帰って来てたの?)スタタ

 

デルカト「ほらね」

カルド「ヨハン!ヨハン!!!」バッ!

ヨハン「っ!?(カルド……?泣いてるの?)」

 

 

カルド「ヨハン!あぁっ、ヨハン……い、いつもと違うルーティンの時は、じ、じぜんに、わ、わたしにも、つ、つたえて、お、お、おきな、さい」

ヨハン(カルド。研究室は?また喧嘩したの?……あ、そうだ。デルカトは?)

デルカト「…母さん、荷物を」コソ

ヨハン(……ありがとう)にこ

 

ヨハンはデルカトに荷物を渡してカルドの背中に手を回したよ。

 

カルド「き、きみが、また……びょ、びょういんに、つれて、いかれた、かのうせいを……かみし、わ、わたしは、ひゃ……ひゃくとおりの……かのうせいを……っ!」

ヨハン(うんうん。心配をかけたね。カルド……良い子)ちゅっ

 

 

ヨハンはカルドにキスをしたよ!

 

 

カルド「……」ぱちぱち

ヨハン(ただいま、カルド?)にこ

カルド「……ヨハン。君はお喋りに捕まりやすいそうな。それはとてもよろしくない。あぁ、よろしくない。君は優し過ぎるからな。時には強く断る必要がある事を賢いキミなら理解しているだろうけど」ペラペラ

 

 

その後、3時間近くカルドはヨハンを離さず部屋のどこへ行くにもついて回ったよ!

 

 

ヨハン(デルカト、今日はカルドと一緒に居てくれてありがとう)ちゅっ

デルカト「いいよ。僕、父さんの事好きだから」

ヨハン(俺もだよ)にこ

 

 

カルド「ヨハン!ヨハン来てくれ!良いアイディアを思いついたんだ!」

 

 

この時、ヨハンは第2子を妊娠しています。

これから生まれる九人の子供達は皆、面倒で厄介な父親カルドの事を、手のかかる末っ子のような気持ちで見守るのです。

 

デルカト「やぁ、僕の弟。君には生まれた時から既に弟が居る。名前はカルド。手はかかるけど、可愛い僕達の弟だよ」にこ

 

……カルド。

 

 

 

●おまけ●

カルドもヨハンが産みました…

ヨハンが見えなくなると泣きだし、ヨハンのキスで泣き止み、ちょっとした事で機嫌が悪くなったり良くなったり、実子から「弟」扱いを受けたり。

 

完全に赤ちゃんのカルド。

 

ピアノを弾いてくれと駄々をこねるカルドに至っては、最早気を引きたいだけと思われる。