番外編2:ジル君のふあん(ジル×三久地)

 

 

In沖縄事務所

 

 

ジル(はぁ…今週は土日共に休日出勤だった。さすがの俺も疲れたな……三久地先輩とは夜しか会えなかったし)スタスタ

 

 

女1「ねぇ、聞いてよ。昨日、例の手つなぎ占いに行って来たんだー!」

女2「えっ?あの全然予約の取れないって言ってた占い?」

 

ジル「……ん?(なに?)」ピク

 

女1「そうそう!でも今週は何か空いてたみたいで、予約が空いてたのー」にこ

 

 

ジル「は?(いや、そんな。まさか……)」

 

 

女2「へぇ、どうだったの?ほんとに目隠しした男の人が出て来た?」

女1「出て来た!ほんっとうに目隠ししてたよ!目隠ししたスーツの男の人!」

 

 

ジル「っく!(いや、人違いの可能性もあるっ!それか手つなぎさん人気にあやかって名を被せた別の占い師の可能性だって…)」

 

 

女2「うひゃあ、それ絵面的にキツくない?っていうか、その人と三十分間、手繋ぐんでしょ?こ、怖くない?」

女1「いや、最初は私もそう思ってたんだけどねぇ…ふふ」にこ

女2「え、なに?どうしたの?」

女1「なんか…良かったなぁって」

女2「どういう事?」

 

 

ジル「…」ゴクリ

 

 

女1「なんかさぁ。まず、相手からコッチが見えてないっていうのが…凄く良いんだよね。一応相手は異性なワケじゃん?でも、こっちの見た目とか、そういうのは手つなぎさんには見えてないって思うと色々気が楽で」

女2「まぁ、それは確かに」

 

 

女1「それに、なんだろ?拘束してるって言う手の繋ぎ方じゃなくてね。相手が此処に居るのを“確認してる”って感じの触り方だから、いやらしさとか全く無いし。喋り方とか、声とか凄く優しいし」

 

ジル(こ、これは確実に、三久地先輩…いや“手つなぎさん”だ!)

 

女2「へぇ」

女1「それに、何よりさぁ」

 

 

ジル「……」ゴクリ

 

 

女1「最近、男の人と手とか繋いでなかったなぁって思い出しちゃった。だから何か新鮮で……凄い良かったなって」にこっ

 

 

ジル「っ!?(まさか、この女!)」

 

 

女2「ねぇ、もしかしてアンタ。その占い師の事好きになったんじゃないでしょうね?」

女1「まさか!さすがにそれは無いよ!」

 

ジル(ウソを吐け!)

 

女2「本当に?」

女1「ホントだってば!私は一目惚れするタイプじゃないし、それに手つなぎさんの方も――」

 

ジル(そうやって、ズブズブと深みにハマらせてしまうのが三久地先輩。いや、手つなぎさんだ!俺は、絶対にベータ女になど負け……)

 

女1「ほんっとうに、手繋さんってサラッとしててさー。ビジネスライクな占い師って感じだし……アレは私がブースから出た瞬間、コッチの事なんて完全に忘れてるね」

 

ジル「……わ」

 

—–お前は、運命と番わなくても死なないと言ったな

—–え、何の事でしょう?

 

ジル(分かってるじゃないか、この女!)

 

 

女2「えー、なにそれ。そんな占い師。私は嫌だけどなぁ」

女1「あのねぇ?本当に親身になって話を聞いて欲しかったら、占い師じゃなくて友達に言うでしょ?でも、それをわざわざお金を払って、占い師の所に行くのってなんで?」

 

 

女2「それは……」

女1「親身になり過ぎると、コッチが望んでない事まで言われちゃうのは分かってるし。だから、丁度良い他人感が良いだって。執着してないから手を握られても変な感じしないし。コッチも30分間占いしてくれる事以上なんて求めてないしね。気楽だよー。あと、単純に背中押して貰えるから元気になれる」にこ

 

 

ジル(それ以上、求めていない…だと?)

 

 

女2「…なんか私も行きたくなってきた」

女1「うん。めっちゃオススメ!久しぶりに、オトコと手繋げるよー!」

女2「はぁ?そんなんじゃないし!」

女1「行ったら感想聞かせてね?」

 

笑いながら女性社員達は歩いて行ったよ!

 

 

ジル「なら、もし……俺のように“それ以上”を求めてくるヤツが現れたらどうなるんだ?」

 

 

—-俺は同じ事をされたら、貴方じゃなくても好きになるよ。

ジル「っ!そ、そうだ。俺と三久地先輩は運命ではないし、番でもない。だから、俺は三久地先輩を縛れない……」

 

—-城さん、ちょっと気持ち悪いので別れて貰っていいですか?

ジル「嫌だっっ!」バッ

 

 

ジルは三久地の所に走ったよ!

 

 

ジル「三久地先輩っ!」タタタ!

 

三久地「は、はい!何でしょう?」

ジル「コレを…!」そっ

三久地「っへ?クレジットカード?(しかも、ブラック!!?)」

ジル「やる!好きに使ってくれ!」

三久地「え?は?こんなモノ貰えませんよ!…ってうか」

 

 

ザワ…ザワ…

 

 

三久地「城さん、会議の件でお話があるので、コッチに来てくれませんか?」ぐいっ!

ジル「今は会議の話なんて……」

三久地「いいからっ!」

 

 

三久地は周囲からの視線に焦ってジルを引っ張って行ったよ!

場所はロッカールーム!

 

 

三久地「ちょっと何ですか!急に」

ジル「……他のヤツらに負けない為だ」

三久地「あの、それがどうしてクレジットカードを渡す事に繋がるんですか?そして、こういったモノを一目に付く場所で不用意に出さないで……ジル?」

 

 

ジル「俺に黙って……手つなぎさんをしてましたね?」むす

三久地「あー……うん(バレてる)」

ジル「俺以外は予約させないって言ってたのに」

三久地「いや、そんな事言ってませんよ」

ジル「態度がそう言っていた。それに前は……キャンセルしていたじゃないか」しゅん

 

 

三久地「あぁ、だってあの時は……ジルが居たから」

ジル「今も居る」

三久地「土日とも、キミは仕事だったでしょう?」

ジル「…そうだが」

三久地「ジルが居ないんだったら、俺も暇だし副業を再開しようと思って。ダメ?」

ジル「ダメだ」

三久地「……ふーん。自分は仕事をしてるのに?俺はダメ?」

 

 

ジル「っう゛……じゃ、じゃあ。その、仕事を……ことわ」

三久地「断らなくていい。ジル、キミは仕事がやりたいんでしょう?発言に伴う責任を果たせなくなったら、発言権がなくなるよ」

ジル「でも……俺は三久地先輩の方が」

三久地「あのね?俺は別にキミに仕事より俺を優先して欲しいからって、拗ねて副業を再開したワケじゃない」

 

 

ジル「じゃあ……なぜ」

三久地「久しぶりにやりたくなったから」

ジル「は?それだけ?」

三久地「そう。君が仕事に打ち込むように俺自身にもやりたい事があったからソレをしただけ。お互い好きな事をする休みがあってもいいもんだよ」ポンポン

ジル「…でも、三久地先輩が」

三久地「ん?」

 

 

ジル「他のヤツに好かれてないか不安だ……出来れば、俺の部屋で俺の服の匂いだけ嗅いで過ごしていて欲しい」

三久地「…」

ジル「俺は……気持ち悪いか?」

三久地「…少し」

ジル「別れたいと…」

三久地「思ってないよ。もう、不安だからってブラックカードをぽいぽい他人に渡さない。ほら」

ジル「…」ふるふる

 

ジルは手をグーにして首を振っているよ!

 

三久地「かわい……じゃない!こんなモノを渡しても俺は縛れないから!ほら、ちゃんと仕舞って」

ジル「…」

 

三久地はジルの手にブラックカードを握らせたよ!

そのついでに、ジルから手をギュッと握られたよ!ちょっと痛いよ!

 

 

ジル「…」

三久地「ジル?運命じゃないのは……不安?」

ジル「ああ、不安だ…こういうのは初めてで、どうしたらいいのか分からない」

三久地「どうしようもないよ」けろっ

 

 

ジル「なっ!」

三久地「それがベータの恋愛だよ?不安の中、皆恋愛してるんだ。それは、普通の感情です」

ジル「ふつう?この不安感が?そんな…!」

三久地「ジルも早く慣れないとね」にこ

 

 

ジル「三久地先輩は不安じゃないのか?コレは俺だけか?なぁ?三久地先輩は本当は俺の事なんかどうでもいいんだろ?」

三久地「……うーん。相手の気持ちってね、いくら本人から口で聞いても不安は全部なくなったりしないんだよ?ここで俺がどんなに言葉を尽くしてキミに好きだと伝えても、ジルの不安は消えないだろうね」

 

 

ジル「…三久地先輩は、俺の事などどうでも良いんだ!」むす

三久地「ジル……」

 

 

三久地はジルの手をギュッと握り返したよ!

 

 

三久地「ジル、状況だけ冷静に考えてごらん?」

ジル「俺は冷静だ……」

三久地「冷静じゃない。だって、君はアルファで俺はベータだ。世間も周囲も、アルファであるキミを求める。それに君は凄く綺麗だし…それに何より」

ジル「…なにより?(三久地先輩は、俺の事を綺麗だと思っていたのか)」

 

三久地「キミには、この世界に“運命”が居る。それは、世界の決めた強い繋がりだ。この場合、恋人の俺が不安じゃないワケないでしょう?」

ジル「……三久地先輩も、不安なんですか?」

三久地「そうだよ。皆そう」

ジル「皆も?」

 

 

三久地「だって、俺の占いに来てた子は、皆そういう不安を吐露しに来てたんだから」

ジル「……そう、なのか」

三久地「そうだよ。だからジル……不安も楽しんで、恋愛をしましょう」

ジル「コレを、楽しむ?(無理だ!)」

 

 

三久地「そうです。この話はもう終わり!……さて、休日出勤お疲れ様でした。城さん?」にこ

ジル「…はい(強制的に終わらせられた)」

三久地「そろそろ行きましょう。会議も始まりますよ」

ジル「…分かった(不安だ…不安過ぎる。何か、何かこの不安を取り除く方法は無いのか…?)」しゅん

三久地「……(まだシュンとしてる)」

 

 

三久地「(仕方ないな)……ちょっといいですか?」

 

 

ジル「はい、なんでしょう(こういう時、どうすべきかネットで検索しないと……)」

三久地「ねぇ、ジル?」

 

 

三久地がジルの手の甲を撫でたよ!

 

 

ジル「っ!」

三久地「今晩はプレイリストの何をする予定?」にこ

ジル「!」ぱっ!

三久地「…」にこ

 

ジル「潮〇き……!」

三久地「そっか。楽しみだね?(潮〇きか…)」

ジル「あぁ…ああ!楽しみだ!」

 

 

ジル「もう、ビニールシートは買ってあるんだ!動画も見てイメージトレーニングも出来ている!」にこーー!

三久地「……そ、そっか(ビニールシート、どれだけ吹かせる気なんだ)」

ジル「三久地先輩!今日は俺も早く帰れそうなんだ!土日に色々終わらせたかrなあ!七時には上がろう!」

三久地「……はい(この勢い、気持ち悪いな)」

 

 

ジル「そうと決まったらさっさと仕事に戻ろう!三久地先輩」きり

三久地「はい(でも、可愛い)」

 

 

二人はロッカールームを出たよ!

 

女1「まぁたあの二人手繋いでる」

女2「…占い予約しよ」

 

 

接触回数が多いだけで好きになるらしいよ!そして、ジル君のプレイリストはどんどん過激になるよ!

 

 

三久地(そうだ……俺だけじゃなくてジルも吹かせてあげよう。ビニールシートもあるみたいだし)にこ