失敗する大人が見たかった。
取り返しのつかない失敗をした大人が、人生に絶望する横顔を、隣で見てみたかった。
バカで、本質を何も理解していない愚かな大人が派手に倒れる様を、興味深く、他人事として観察したかった。
だって、俺は失敗しないから。
だから、一度くらい失敗してみたくなった。
でも、そんな事を言われたって実際に失敗するのは嫌だ。
そりゃあそうだ。それに、俺には何を選べば失敗するのか分かってしまう。失敗すると分かっていて、その選択肢を選ぶなんて無理だ。
だから、思った。
失敗する人間が見たい、と。
失敗する人間の真横で、他人事に少しの臨場感を足したような視点で。
あたかも自分が失敗したかのような立ち位置で。
そんな時だった。
〝あの店〟を見つけたのは。
くつろぎ君はコーヒーがキライじゃない!