番外編55:俺以外にまうんと取られてんじゃねぇっ!(初代×犬)

 

inとある街にて

 

領主「ようこそいらっしゃいました、勇者様!」

初代「手厚い出迎え、感謝いたします」

犬「……」俯

領主「ん?こちらが勇者様のお仲間の方、でいらっしゃいますか?」

 

初代「いえ、仲間ではなくツレです」

犬「……」俯

領主「でしょうねぇ!安心しました。この方が勇者様のお仲間でいらっしゃるとあれば、我が息子をお仲間にお連れして……」

 

初代「仲間は必要ありません。俺にはツレだけで十分です」スン

領主「そ、そうですか。あぁ、もし小間使いにお困りなら、うちの奴隷から好きなモノを」

初代「必要ありません」スン

 

領主「あー、そうですか。では、入用の時はいつでもどうぞ。いつでも準備できますので」

犬「……」俯

初代「……」チラ

 

領主「さて、部屋を用意いたしました。今晩はそちらでお休みください」

初代「……ありがとうございます」チラ

犬「……」俯

 

初代「……ちっ」

犬「っ!」

 

 

◇◆◇

 

案内された部屋

 

初代「おい、犬」

犬「っは、はい!初代様!なんでしょう!」タタ

初代「さっきのは、あのクソジジィもクソだが。お前も悪いからな」

 

犬「っあ、あ(初代様。お、お、怒ってる?)」おろ

初代「下ばっか見て自信の無さそうにしてっと、今後もあぁやってバカにされるぞ」

犬「っあ、はい(お、怒ってるワケじゃない?)」

 

初代「まぁ、あぁ言うヤツらは人を見て態度を変えっからな。人間の程度は低いから気にする必要もねぇカスだが……それが嫌なら、少しは前を見ろ。それだけで相手の対応は変わる」

犬「~~!(初代様、もしかして心配してくれてるのか?)」ジン

初代「おい、返事」

 

犬「あっ、あ、あの!はい!大丈夫です!俺、マウントを取られるのには慣れてるので!平気です!」

初代「まうんと?なんだそりゃ」

犬「あ、えっと……えっと(マウントの意味ってなんだろう。ちゃんとした意味は知らないや)」

 

初代「……バカにするって事か?」

犬「た、多分そうだと思います!よく色々な人にマウント取られてたので」

初代「おいおい……。つーか、お前、たまにワケ分かんない言葉使うよな。コミュショウとか、インキャとか。それと同じって考えていいのか?」

 

犬「はい、そうです(初代様が現代の言葉を使うと、なんか面白いな)」にこ

初代「何バカにされて笑ってんだ。少しはまうんとされねぇように気を付けろ」

 

犬「はい(そして、新しく覚えた言葉をすぐ使ってくれるんだよな)」にこ

初代「はぁっ、ったく。へらへらしやがって(まぁ、別にいいけど)」

 

◇◆◇

 

別の日

 

今日もいつものように初代様だけがダンジョン攻略に出かけて、犬は入口でごはんを作って待ってるよ!

そしたら、その途中でモンスターに襲われている人を発見!

 

初代「大丈夫ですか!?」

学者「ありがとうございます。勇者様」

初代「こんなダンジョンに、武装もせずにお一人で……一体何を」

 

学者「すみません。私はモンスター生態を調査する学者のはしくれなのですが……この春の時期はモンスターも発情期でして。その調査を」

初代「モンスターの……発情期?」

学者「そうです。モンスターも生き物ですから、決まった時期に繁殖期を迎えます。短い期間しかないので、焦っておりまして……すみません」

 

初代「気持ちは分かりますが(全然分からん)ここは危険です。一旦外まで……」

学者「っっ!!!」

初代「どうされました!?」

学者「あ、あ……あれを見てください!」コソ

初代「……は?」

 

学者の指さした先には、巨大な狼の交尾の場面がドーンと現れたよ!

雄が雌の腰を抱いて一生懸命腰を振ってる!

 

初代「……出ましょう(最悪だわ)」

学者「待って。あんな見事なマウンティングは見た事がない」きらきら

初代「……まうんてぃんぐ?(どっかで聞いたような)」

 

学者「ええ。多くの哺乳類の雄が交尾のときにとる、雌に馬乗りになる背乗り行動です。あぁ、やってマウントを取る事でしっかりと生〇器を体内に押し込み繁殖を確実なモノにします」

初代「まうんとを、とる(待て、それって)」

 

——–俺、マウントを取られるのには慣れてるので!平気です!

——–よく色々な人にマウント取られてたので。

 

初代「……おい、おいおいおい!?」焦

学者「しっ、静かに!行為の邪魔をしてはいけません!」

初代「バカ言いやがって!あのクソ犬がっ!」

学者「え?犬?」

 

初代「……あのバカには躾けが必要みたいだな」すく

学者「勇者様?……ん?あれ?あっちにも発情期のモンスターが!記録記録!」ぶつぶつ

初代「慣れてる?色々な人にマウントを取られてた?クソが」ぶつぶつ

 

初代様はぶつぶつ言いながら、その場から駆け出したよ!学者は学者でモンスターの発情期を記録に取り始めたよ!

 

お互い、好きなモノに夢中!

その後――!

 

初代「おい、コラ!このクソ犬!!!テメェ今まで誰にまうんと取られやがった!?全員名前を言いやがれっ!?」

犬「え?えぇ?」

 

犬が誰彼構わず交尾しまくってたと勘違いの末、凄まじいダンジョンでのお仕置きセッが行われた事は言うまでもないよ!

ダンジョンの中でのセッはファンタジーのたしなみ!