番外編9:テル、初めてのヤキモチ

 

 

本編後、新婚生活中

 

in冒険者ギルド

 

ガチャ

 

テル「セイフ、大丈夫か?」

セイフ「……ん」コク

 

職員(あ、テルさん。今日は珍しく起きてる)

 

テル「セイフ、やっぱりヒーラーさんに回復を頼もう。背中、痛いんだろ?」

セイフ「痛く、なか」フルフル

テル「嘘つけ、声が痛そうだ」

セイフ「…嘘じゃなか」

 

職員(あぁ、セイフさんが怪我してるから心配で眠気がこなかったんだ)

 

テル「セイフ、頼むよ。本当の事を言ってくれ。今日のあの攻撃で出来た傷だと俺が薬を塗っただけじゃ治らない可能性が高い。回復を頼もう?」

セイフ「よか」フルフル

テル「よかじゃなくて。なぁ、セイフ」

セイフ「…」目逸し

 

職員(あら、珍しく不穏な雰囲気だわ……大丈夫かしら)

 

テル「お前に何かあったら、俺はどうすりゃいいんだよ」

セイフ「……」

テル「俺、もうソロは……一人は嫌だ。セイフ。だから、頼むよ」

セイフ「テル。俺、平気やん。大丈夫やけん嘘ついとらんよ」ふるふふ

 

職員(と、思ったけど寝てる時以上に盛大にラブラブだったわ)ほっ

 

テル「嘘だ。今日はいつもより歩くペースも遅いし、盾を持つのも辛そうだった。俺の目はごまかせないぞ」

セイフ「…平気やん」目逸し

テル「目を逸らすってことは図星だろ」

セイフ「…」

 

職員(セイフさん、本当に鎧を脱ぎたくないのね。あれが夫だと大変そうね)

 

テル「…じゃあ、もういい」

セイフ「…」チラ

テル「……今日、せっかくデキると思ったのに」じわ

セイフ「え」

テル「俺、珍しく眠くないし……せっかくデキると、思ったのに。でも、怪我してたらできない」

セイフ「できる!できる!!」カッ!

 

職員(っわ、ちょっ!声張るじゃない!?そんな声も出せたのね……!これは、どうなるかわからなくなってきたわね)ジッ

 

テル「怪我が悪化するといけないから絶対にシない」

セイフ「いや、いや。嫌だ。できる。する!」

テル「シない……回復してもらわなかったら絶対にシない」チラ

セイフ「…っう」

 

職員(これは……どうなるどうなる!?)

 

テル「…」ジッ

セイフ「わ、」

テル「わ?」

セイフ「わかっ、た」

テル「よし」にこ

 

職員(わーー!テルさんの最終秘奥義「言う事聞かないなら今夜おあずけ!」がきいたーー!最後まで二人の世界過ぎて周りが聞き耳を立ててる事に気づいてなーい!)

 

テル「セイフ、ありがと」にこ

セイフ「…ん」

テル「あのー、すみません。セイフの傷を回復してくれませんか」

セイフ「…」

 

職員「承知いたしました〜!今、ヒーラーを呼びます。セイフさんは鎧を脱いでお待ちくださーい」

 

テル「はい、わかりました」

セイフ「…」

テル「ほら、兜だけ残そうとするな。すっごい変な格好になるぞ」

セイフ「…むぅ」

 

職員(そういえば、セイフさんが鎧を脱ぐの初めてじゃ……ん?)

ヒーラー「はーい、ヒーラー参りましたー!どこが痛いですかー?見せてくださーー……ん?」

 

ギルド職員一同(んーーーー!?)

冒険者一同(はーーー!?)

 

セイフ「…」

 

ギルド職員一同(顔っ!良すぎではーー!?)

冒険者一同(体っ!良すぎではーーー!?)

ヒーラー(え、え!?私、アレを今から回復するの!?ら、ら、ら、ラッキーでは!?)

 

セイフ「…はぁ」

テル「あの、ヒーラーさん。セイフが今日はモンスターに背中を……ヒーラーさん?」

ヒーラー「…素敵」

テル「え?」

 

ヒーラー「あっ、あ、はい!?」

テル「あの、セイフの傷の回復を…」

ヒーラー「しょ、承知しました!」真っ赤!

セイフ「…」

 

職員(あ~、あの子舞い上がってる。まぁ、気持ちは凄く分かる。まさか、セイフさんがあんな綺麗な顔してるなんて思わないし。眼福すぎ…)

 

ヒーラー「じゃ、傷を見せてくださいねー」にこにこ

セイフ「……」くる

 

テル「……(なんか、旅してた時もこういうの何回もあったけど)」

 

ヒーラー「ヒール―!はい、痛みは取れましたか?」にこ

セイフ「……」コク

ヒーラー「また怪我したらいつでも言ってくださいね?」上目遣い

セイフ「……」

 

職員(まったく、あの子ったらミーハーなんだから……あれ?テルさん)

 

テル「……(なんかモヤモヤする)」むす

 

職員(あら、あらあらあら)

 

セイフ「……テ、」

冒険者「なぁ、兄ちゃん!」

セイフ「っ!」ビク!

冒険者「アンタすげぇな!一体どんな訓練をしてるんだ!?」

セイフ「…」ブンブン!

 

テル「……む」

 

職員(あの、いつも愛想の良いテルさんが明らかに不機嫌そうっ!なにあのムスっとした顔、かわいいんですけど!)

 

ヒーラー「あ、セイフさん!ここも怪我してますよー!サービスで回復しておきましょうかー?」

セイフ「……」ブンブン!

 

職員(セイフさん!ビビリ過ぎてテルさんの様子に気付いてないっ!なんか面白くなってきたーー!)

 

セイフは大勢の人間に囲まれてアワアワし始めたよ!

 

セイフ「て、て、て…」キョロキョロ

 

テル「あの!」ずい!

セイフ「っあ、あ」

 

職員(テルさんがセイフさんの前に出たーー!なんか両手を広げて隠そうとしてるけど、体格差が凄くて全然隠せてなーーーい!小さいのが大きいのを守ろうとしてる構図かわいーー!)

 

テル「セイフは!俺の夫です!」

 

セイフ「っ!?」ぱっ

 

ギルド職員一同「!」

冒険者一同「!」

ヒーラー「……あー」

 

テル「セイフは、俺の、夫なので……あの、だから……その(俺、何言ってんだろ)」オロオロ

セイフ「……」

テル「……俺の、夫なんです(……はずかしい)」俯く

セイフ「テル」

 

職員「ほらほら。回復が終わったなら持ち場に戻りなさい!他の皆さんも。ここはギルドですよ。用が無いなら帰った帰った」パンパン!

 

職員さんの声掛けでセイフに群がっていた皆が離れて行ったよ!

離れつつ、みんなチラチラ見てる!

 

テル「……」

セイフ「テル」

テル「セイフ……あの、俺、その……」もじ

 

セイフ「あ、あの!」

 

テル「っえ、セイフ?(こ、声が)」

 

職員(あのセイフさんが、声を、張ってる……!)

 

セイフ「お、俺は!テルの、夫です!」

テル「ぁ、あ……!」

 

ヒーラー「ふふ、分かってますよ。大丈夫です。回復しようと思っただけですから」にこ

 

職員(うそつけ)

 

テル「っあ、すみません!」

セイフ「……」ゴソゴソ

 

セイフは言うだけ言うと、また兜と鎧をき始めたよ!

もう家に帰ったら脱ぐだけなんだから、着る必要ないのにね!

 

テル「……セイフ、帰ろうか」ピタ

セイフ「ん」ピタ

 

でも、テルも止めないよ!

むしろ着て欲しいみたいだね!

 

こうして、二人はピタッとくっつき合ってギルドから出たよ!

 

職員「アレは、明日テルさんヤバイでしょうね」

ヒーラー「腰にヒールかける準備でもしとこうかしら」

 

次の日!

冒険者ギルド!

 

テル「あの、ちょっとヒーラーさんを呼んでもらっていいですか?」

職員「っあ、はい。ただいま!(来た!しかも今日はテルさんだけ!腰、腰が痛いのね?昨日凄かったのね!?あの体格差だもんね!そうよね!?だから今日は討伐クエストはお休みなのよね!?)」

 

ヒーラー「はーい!腰の痛みも、はたまた他人にも言いにくい場所の痛みもぜーんぶおまかせくださーい!」タタ!

 

テル「あ、あの。すみません。ちゃんとお金払うので……」

ヒーラー「おまかせくださーい!」

テル「俺に初級の回復魔法を教えてくれませんか!?」

 

ヒーラー「え?」

職員「え?」

 

テル「あと、討伐クエスト。何かありますか?報酬高いのからお願いします」にこ

 

元社畜を舐めるな!

この程度で仕事は休まないよ!

 

テル(セイフの回復を、俺が出来るようになれば……)

 

テル、回復技を覚える決意を固める!

もちろん、前日の夜は凄かったよ!

ヤり過ぎて、まさかのセイフの方が珍しくベッドの中でモゾモゾしてる。