大豆、初めての同人通販④

大豆、初めての自覚(茂木×大豆←十勝)

 

 

大豆は初めての通販作業を、茂木と十勝の力を借りた事で少しだけ終わりが見えてきたよ!

 

茂木「……あー、あと。何件だ」

十勝「複数冊購入配送分が10件、そして通常配送分が……」

茂木「余計な事を言わないでください……もう、今は具体的な数字は知りたくない」ぐったり

 

十勝「茂木さんが聞いたんでしょう」

茂木「……つかれた」

 

大豆「茂木くーん!ここにある箱の分は、もう送り出していいのー?」ててて!

 

茂木「あ、はい(神は、いついかなる時も健やかだな。さすがだ……まぁ、ちゃんと寝てるからだろうが)」

大豆「じゃあ、俺、今からクロイヌ大和に行ってくるね」

茂木「あ、じゃあ……俺も」よろ

 

十勝「おい、フラフラじゃないかお前は止めておけ。俺が行こう」すく

茂木「は?俺はフラついてなどいませんよ。大丈夫です心配ご無用(十勝、貴様に行かせるくらいなら這ってでも俺が行く)」

十勝「茂木さん、目ヤバいですよですよ。(この執念、キモ……いや若いな)」

 

大豆「茂木君、それに十勝も。このくらいなら俺一人で行けるから……よいしょ」

茂木「っそんな!途中で荷物が重くて転んだらどうするんですか!」

十勝「そうだぞ、大豆。クロイヌ大和までは少し距離があるからな」

 

大豆「もう、二人共俺を子ども扱いして……」

茂木「いや(神扱いをしてます)」

十勝「いや(オンナ扱いをしてる)」

 

大豆「大丈夫だよ、俺はこう見えても力はあるんだよ!」

茂木・十勝(いや、全然ないだろ!?)

 

大豆「まかせて!やっと俺も役に立てる出番がきたんだから!行ってきまーす!」

 

大豆は意気揚々と荷物を抱えて茂木の部屋を出て行ったよ!

 

茂木「……心配だ。転んでも助けてくれるスタッフはどこにも居ないのに」

十勝「初めてのおつかいか」

茂木「……そうだ!大豆先輩にとっては初めての通販だ!躓く石は全部事前に俺が取り除く!」

十勝「過保護過ぎて子供をダメにする親の教育観みたいになってるぞ。子供は転び、その痛みで生きる術を学ぶものだ」

 

茂木「いい!大豆先輩には俺が居なければダメになってもらいたい!」ばっ!

十勝「……それは、一利あるな(そうなれば、大豆は俺から離れられなくなる)」すく

 

茂木「おい、付いて来るな!?」

十勝「お前、大豆が居ないと俺にため口になるよな。俺は職場の先輩だぞ」スタスタ

茂木「お前を先輩だと思った事など一度も……おいっ、待て!?俺が先に行くんだよっ!?」

 

十勝「戸締りはしろよ」

茂木「くそっ!」

 

◇◆◇

 

大豆「ふぅ、ふぅ……重い、重いなぁ」よろよろ

 

十勝「あぁ、言わんこっちゃない」

茂木「転ばないだろうか、心配だ」

 

大豆「……こんなに、俺の本を欲しがってくれる人が居たんだ」よろよろ

 

十勝(やっぱりあの細腕じゃ無理だろう。重いモノは男が抱えてやらないと)

茂木(神に労働は似合わない。やはり、早く俺が養わなければ)

 

◇◆◇

クロイヌ大和

 

大豆「あ、あの……コレ」

スタッフ「は?これ全部っすか」

大豆「は、はい。おおくて、すみません」俯

スタッフ「別にいっすけど。メルコリっすか?」ピッ、ピッ

大豆「あ、いや……本で」おず

スタッフ「本?なんの?」

 

若い配達スタッフの男の子は作業をしながら、ペラペラと話しかけるよ!

 

茂木「なんだ、あの無礼なスタッフは」ひそ

十勝「客に対する指導がなってなさ過ぎるだろ」ひそ

 

大豆「俺の、作った……本で」

スタッフ「えー、お兄さん本とか作れるんすか!すげぇ!漫画家さんっすか?」

 

圧倒的陽キャ感!

大豆、勢いに押されてペラペラ喋っちゃってる!

 

大豆「あ、いや。俺、絵は描けなくて。小説を、書いてて」テレ

スタッフ「小説家さんっすか!やべー!初めて会ったー!握手してください!」

 

大豆「え、えぇっ!いや、俺プロとかじゃなくてっ……わ!」ぎゅっ

スタッフ「すげー!俺小説家と握手したー!」ぎゅっ

 

スタッフの男の子は笑いながら大豆の手を勝手に握って握手したよ!

 

茂木「っ!(アイツ……俺の神になんて事を。張り付けにして神の怒りを食らわせてやろうか)」

十勝「…(アイツ、俺のオンナになんて事を。この営業所に電話して問題提起してやろうか)」

 

スタッフ「ところで、何の小説書いてるんすか、カンノー小説っすか!?」

大豆「あ、えっと(BLはさすがに言えないから…)」

 

スタッフ「あ、冗談っすから……」

大豆「官能小説みたいなモノです!」にこ

スタッフ「マジで!?」

大豆「はい!」

スタッフ「おにーさん、官能小説書いてるようには全然見えないのに!すげーー!」

 

茂木・十勝(それは確かに)

 

大豆「……あ、いや。俺なんて全然凄くないよ。もっと凄い人なんていっぱいいるし」俯く

スタッフ「でも、おにーさんのカンノー小説読みたい人が、こんなに居るって凄くないっすか?」

大豆「……あ」

 

スタッフ「はい、受付しゅーりょー。これ控えっす」

大豆「あ、ありがとう、ございました」

スタッフ「あと、沖縄と北海道の人が居るみたいなんで届くのが遅くなる場合のあるっすから、その辺ごりょーしょーくださーい」

大豆「あ、はい(……沖縄と北海道)」

 

スタッフ「じゃ、カンノー小説のお兄さん!また来て握手してくださいねー!」

大豆「あ、えっと。はい」てれ

 

大豆はちょっぴりほくほくしながらクロイヌ大和の営業所を出たよ!

 

茂木「ヤバイ、そろそろ帰らないと(次からは絶対に十勝に行かせよう)」そそくさ

十勝「ああ、付いて来た事がバレたら大豆が拗ねそうだからな(次からは茂木に行かせた方がいいな)」そそくさ

 

◇◆◇

茂木宅

 

大豆「ただいまー」

 

茂木「大豆先輩、お疲れ様です。さぁ、外から帰ったらまず手を洗いましょうか」にこ

十勝「ああ。大豆、除菌ジェルはここにあるからな」にこ

 

大豆「あ、うん」ぼんやり

茂木「大豆先輩、どうされたんですか。大豆先輩、営業所で馴れ馴れしい男に声でもかけられました?」

十勝「それは大変だな、今すぐ営業所に指摘の電話を入れないと」

 

大豆「……荷物、すごく重かった。たくさんあった」

茂木・十勝「え」

 

大豆「それに、注文した人の中には北海道とか、沖縄の人も居た」

茂木「え、ええ。それがどうされましたか?(どうしたんだ、先輩)」

十勝「どこか痛むのか?」

 

大豆「あの……俺ね、昔から数字ってよくわかんなくて。アクセス数?っていうのとかPV数とかって、見ても全然ピンときてなくて。だから見てなくて」

茂木・十勝「……」

大豆「でも、さっき本を実際に持って行ってみて思った!」ぱぁ

 

大豆はヒリヒリする手の平を見ながら、ニコっと笑った!

 

大豆「数字の向こうには人が居るんだ!コメントくれる人だけじゃなくて……俺の小説読んでくれる人が居たんだ!これは、すごい事だよ!」

茂木「!!(こっ、これは!)」

大豆「もちろん、俺より凄い人なんていっぱいいるけど……でも、確かに俺の小説を読んでた人は居たんだ!」

 

十勝「そりゃあそうだろ。数字の向こうは人だ」けろ

茂木「おっ、おい!?余計な事を言うな!」

十勝「なんだよ、当たり前の事だろ?数字の向こうはいつだって顧客だ」

 

大豆「だね!だねーー?」にこ

十勝「っく(やっぱり大豆は……オンナだ。可愛すぎる)」

 

大豆「数字の向こうは人がいる。言葉がなくても、人がいる……うれしい!」

茂木(あ゛―――!神よっ!可愛い、可愛いのだが!そこにはあまり目を向けて欲しくなかったのに!)

十勝「大豆、何事も数字だけを見てはダメだ。その向こうに居る顧客を見なければな」ふふん

 

十勝は営業のエキスパートだよ!ドヤ!

 

大豆「あっ、あっ!そうだね!ありがとうってお礼をしないと!俺の……小説を書かないと!」

茂木「くっ!(数字と向き合ってプロデュースするのは俺の役割なのにっ!でもっ!)」ぐぎぎ

 

大豆「ねぇ、茂木君!何の小説がいい?」

茂木「え?」

大豆「俺には数字の向こうの……こきゃく?さんの事はよく知らないし、俺がよく知ってる相手は茂木君だけだから」

茂木「……!!」

 

大豆「数字の向こうは全員茂木君って事にするね!」にこ

十勝(え、それはさすがに気持ち悪くないか?)

大豆「だから、茂木君が読みたい話をお礼に書くよ!茂木君、何が読みたい?」にこにこ

 

茂木「……ま、す」

大豆「へ?なに?」

茂木「俺っ、一生、あなたに付いて行きますっっっ!!!!(やっぱりこの人は最高過ぎる!!!!!)」

大豆「え?」きょとん

 

 

十勝「……」

 

十勝はいつか別ルート作ってあげるからね!

【まろやか毎日】番外編集も作りたい気持ちなので!

 

≪感謝の気持ち≫

そんなわけで、本を購入してくださった皆様。

ありがとうございます◎

長かった自家通販の発送作業ももう少しで終わりそうです。

大変な事も、失敗も、たくさんありましたが紙にして本当に良かったです。物理的なモノを欲しいと思って貰える事は、Webで更新するのとはまた違った嬉しさがありました。

おかげさまで、これからも同人誌を作っていこうと思えました◎

 

イベントも参加して良かったです!

これからも、思どうぞよろしくお願いします!