茂木宅
カタカタカタカタ
茂木(大豆先輩、新作を書いているって言っていたが今日はいつになく集中している……楽しみだ)
大豆「……よし、できた」
茂木「っ!出来たんですか?お疲れ様です!俺、投稿しましょうか」
茂木、早く読みた過ぎて、物凄い前のめり!
茂木「今回はいつもより集中されてたみたいですね。読むのが楽しみです」にこ
大豆「あっ、ごめん。今、出来たのは小説じゃなくて……」
茂木「え……」
茂木、明らかに残念そう!
大豆「あっ、あっ!小説は少し前に出来てて!今終わったのは別のヤツで……」
茂木「別のやつ?なんですか」
大豆「あ、えっと……ちょっと」目逸らし
茂木(気になる)ひょい
大豆「っあ、あぁっ!別に大したモノじゃないから!」
パソコン画面を隠そうとする大豆より先に、茂木がパソコンを覗き込んだ!茂木は大豆の事なら何で把握してないと気が済まない男だよ!キモいね!
茂木「……ちょっ!なんですか、コレはっ!?」
大豆「っあ、えっとえっと」あせあせ
茂木が覗き込んだ先には、小説に対する物凄い酷い感想が並んでたよ!
茂木「一体、こんなのいつ貰ったんですか!?(感想は全て俺を通してる筈なのに、なぜ……!?)」
大豆「いや、いつっていうか、これは……」あせ
茂木「これは投稿サイトか?いや、HNの記載がないと言う事はマシュマロ?いやいやいや、ましゅまろは結局設置するかしないか議論の最中で、まだ置いてないはずだが……え?しかも、この感想は」
PC画面に映し出された酷い感想やメッセージの内容は、何故か茂木も知らない作品の感想だったよ!
茂木「え?もしかして……知らないうちに新作投稿されてま、したか?」
大豆「ううん、してないよ。投稿は茂木君にお願いしてるし。自分でやるの面倒だし。だから、あの……これは、えっと」もじ
茂木「なんですか!?」前のめり
大豆「じ、自分で書いた感想」
茂木「え?自分で……?」呆然
大豆「そう、毎回やってるんだけど……その良い感想は心構えとかしなくても嬉しいから別にいいんだ」
茂木「まぁ、そうでしょうね」
大豆「でも、悪い感想は……急に来たら立ち直れないかもしれないから、まず自分で想定しておこうと思って。毎回、想像しながら書いて、おくの」そわそわ
茂木「……それで、これを」ジッ
大豆「想定しておくとね、本当に怖い感想が来た時に少し楽っていうか」
茂木「まぁ、想定しておくというのは確かに大切だとは思いますが……(にしても、感想のクオリティが高すぎる……!!)」
茂木はPCの中の感想を見ながら息を呑んだよ!
茂木(完全な人格否定から、作品の詳細設定に関する揚げ足取り、そもそも癖じゃない趣味じゃない系、書きだしは丁寧だが中身は作品否定、個人の感想の筈なのに「他の人も同じように思ってます」「皆そう思ってます」系の主語デカ悪意まで……悪意の取り揃え方がショッピングモールのようだ。しかも、フォルダ名が――)」
フォルダ名【毒マロ美術館】
茂木(毒マロ美術館……やってる事は自虐なのに凄い楽しそうだな)
大豆「……あの、茂木君。引いた?」そろ
茂木「いや、引きませんよ。むしろ、なんというか本当に」
大豆「……」じっ
茂木「尊敬しました(凄いモンスターだ)」
大豆「そ、そうかな?こんな後ろ向きな事して引かれるかと思ったのに」
茂木「想定は大事ですからね。さすがですよ、大豆先輩」にこ
大豆「へへ、茂木君はそうやってなんでも褒めるんだからー」にこにこ
茂木「本心ですからね(最早、これは後ろ向きとかそういった次元じゃないし、ここまでくると逆に前向きというか……やっぱり大豆先輩が只者じゃない。モンスターと神は、紙一重か)」
大豆「じゃあ、心の準備も出来たし新作の投稿をお願いします」ぺこ
茂木「あ、はい。承知しました。……ん(待てよ)」
大豆「どうしたの?茂木君」
茂木「あぁぁぁっ!(作者の毒マロ美術館のせいで、新作のネタバレを食らってしまったぁぁっ!)」
茂木、この後から読後に【毒マロ美術館】を見て、一つ一つ大豆に論破していく、という作業がルーティンに加わりました!
大豆、後ろ向き過ぎて怖いくらい前向き!