シモン17歳／キトリス26歳
キトリスが国を追われる少し前
ヤコブ「ししょーー！腹減ったーー！ごーはーん！」だきっ！
キトリス「あいあい。もうすぐ昼飯だから、待ってろー」にこ
シモン「…ヤコブ。いちいち師匠に抱き着いて。いつまで甘えたなんだよ」ぼそっ
♢♢♢
マタイ「師匠ー！スカート破れちゃったー！どーしよーー！」
キトリス「ちょっ、ちょっ！女の子がスカート捲りながら走らないっ！」
シモン「…そのくらい自分で繕えよ。てか、師匠が慌てるのわかっててやってんだろ、アイツ」ぼそっ
♢♢♢
マリア「あっ、キトリス良い所に！ちょっとこの荷物が重くて困ってたのー。運んでくれない？」
キトリス「ん。いいよー。どれ？」にこ
シモン「…はぁ？店の男に頼めよ。この尻軽が。師匠を顎で使いやがって」ぼそっ
※マリア:清純な見た目とは裏腹に童○食い。シモンの童○も食われた
♢♢♢
犬「わんっ！わんっ！」
キトリス「お、ポチー！今日も可愛いなぁ！ほら、骨だぞ！」にこ
犬「わんっ！」ふりふり！
シモン「…師匠のこと舐めててんじゃねぇし。あの野良犬」ぼそっ
♢♢♢
ヨアキム「キトリス、ちょうど良かった」
※ヨアキム:キトリスが指名手配された後も、キトリスを信じていた唯一の友達。結婚して、最近子供が生まれた。
キトリス「お、どした？」
ヨアキム「春祭りの夜、飲みに行っていいって許可もらったからさ！久々に一緒に飲みに行かないか？」
シモン「っっ（夜は俺と修行の時間なのにっっ！！）」
キトリス「あー、酒はちょっと」
ヨアキム「あー、シモンかぁ。な、一晩くらいいいんじゃないか？久々だしお前と喋りたいんだよ」
キトリス「うーん」
シモン（そんな言い方したら師匠が靡くだろうがっっ！ヨアキム、あいつほんっとに！）イライラ
キトリス「それならさ、逆に昼間に子供を奥さんから預かって、お前の家で遊ぼうぜ」
ヨアキム「え？」
キトリス「春祭りなら、むしろ奥さんだって友達と遊びたいだろうし、俺もお前の子供をみたいし」にこ
ヨアキム「……でも、嫁が居ないとスゲェ泣くし」
キトリス「俺が一緒なら泣かないかもだろ？ほら、俺って子供に好かれるし」
ヨアキム「…無理だと思うけどな」
キトリス「ま、泣いたら泣いていいよ。赤ん坊は泣くのが仕事だしな。そん時は一緒に頑張ろ。それにさ、こういう時にちょこちょこ奥さんにの羽を伸ばしてもらってたほうがイザって時に、遊びやすくなるかもだぞ？」にこ
ヨアキム「！」
キトリス「奥さんの信頼は大事だからな。一緒に貯めてこうや。また一緒に1日中遊べるようにさ」
ヨアキム「あ〜〜！キトリス〜、お前ほんとに良いやつだな！うん、お前と一緒なら、嫁も安心とか言いそうだし！泣かれても……なんとかなりそうだし」
キトリス「おう！じゃ、春祭りの日。お前ん家に行くよ」
ヨアキム「ありがとう！楽しみにしてる！」
キトリス「おう！」にこ
シモン「…………師匠は俺のなのに」
キトリス「……はぁ」
シモン（……師匠？）
♢♢♢
その夜
ダンジョンにて
シモン「っは！」
キトリス「おお」
シモンは昼間の苛立ちもあってモンスターを全部一撃で倒してるよ！
シモン「…はぁ、はーー（あー、モヤモヤする！！）」
キトリス「シモン、この辺で少し休もうか」にこ
シモン「……うん」
キトリス「大丈夫か、シモン」
シモン「……大丈夫（全然大丈夫じゃないけど）」
シモンはイライラしながらも平静を装いつつ頷いたよ！
ー休憩中ー
シモン「……ねぇ、師匠」
キトリス「……なぁ、シモン」
シモン・キトリス「「あ」」
キトリス「あ、ごめん。なんだ、シモン」
シモン「いや、師匠こそ。どうしたの？（なんか師匠、様子がいつもと違う……？）」
キトリス「いや、俺のは大した事じゃないから別に」
シモン「ど・う・し・た・の？」ずい
キトリス「あ、じゃ、あの。あのさ……ちょっと、急に何って思うかもなんだけどさ」
シモン「何でも言ってよ」
キトリス「あー、えっと。その……」
シモン「うん（どうしたんだろ、師匠）」
キトリス「なんていうか、その……」ぼんやり
シモン「うん（師匠、なんか。ちょっと…）」
キトリス「…ちょっと。つかれた、かも」
シモン「っ！大丈夫！？具合でもわるいの？」ピタ
シモンはキトリスの頭に手を当てたよ！
もうその手はキトリスより随分大きいね！
キトリス「いや、熱とかないんだけどさ！…それにしても、シモン。お前、大きくなったなぁ」ぼんやり
シモン「あ、まぁ。そうかな？（師匠、やっぱなんかおかしい）」
キトリス「何歳になったんだっけ？」
シモン「えっと、多分17（師匠、なんか顔が……）」
キトリス「もう、17歳かぁ」ぼんやり
シモン「師匠、疲れたの？」
キトリス「あっ、いや！その、そんな凄く疲れたっていう程の事じゃなくて」
シモン「師匠は疲れてるよ」
キトリス「そんな事は…」
シモン「師匠は皆に良い顔し過ぎなんだよ」
キトリス「…そんな、ことは」
シモン「師匠。お疲れ様」
キトリス「…ぁ」
シモンはキトリスの肩を抱くと自分の体に抱き寄せたよ！
体も、既に一回りくらいシモンの方が大きいね！
シモン「お疲れ様、キトリス」
キトリス「あ、あ……あの、ほんとは」
シモン「……」
キトリス「……つ、つかれた。っていうか……あの」
シモン「うん」
キトリス「……なんか、別に無理してる、ワケじゃないんだけど」
シモン「うん」
キトリス「……あ、あの」
シモン「うん」
キトリス「……金が、ない」
シモン「え？」
キトリス「ごめん、こんな事……お前にも、言うつもりなかったけど」
シモン「言っていいよ！」ぎゅっ
シモンはキトリスにピッタリくっついたよ！
「自分を大人だ！」って口に出すと子供っぽいから、体の大きさで示してる！
キトリス「食費とか、も、仕方ない。みんな、育ち盛りだし……服も、そうだ。皆、そもそも、凄い我慢してくれてる。それに、結婚のお祝いも、子供のお祝いも……しかたない」
シモン「うん」
キトリス「仕方、ないけど……不安になる」
シモン「……（師匠、だからヨアキムの誘いも断ってたんだ。金が、無いから）」
キトリス「でも！だからって、お前が食う量を減らすとか、無しだからな！？シモン」
シモン「うん、わかってる。でも、それは……キトリスもだよ」
キトリス「え、えと」
シモン「最近、あんまり食べてないでしょ」
キトリス「……もう俺は、ほら。いい年だし」
シモン「まだ、キトリスも２６だよ。俺と変わらない」
キトリス「いや、変わるだろ！？」
シモン「変わらない。ねぇ、キトリス」
キトリス「な、なんだよ」
シモン「これからは、二人でやっていこう」
キトリス「は？」
シモン「俺も働くから」
キトリス「いやっ！待て待て！お前はまだ子ど」
シモン「キトリス、俺はもう子供じゃない」じっ
キトリス「っ！」
シモン「ま、大人でもないけどね」にこ
キトリス「……な、なぁ」
シモン「ん？なに、キトリス」
キトリス「なんで、今日……名前で呼ぶんだよ」じわ
シモン「たまには、ね。ダメ？生意気かな？」にこ
キトリス「いや、全然そんな事は……」じわ
シモン「ま、普段は師匠って呼ぶから（師匠は俺だけの師匠だし）」ぽんぽん
キトリス「ん（ほんと、大きく……なったなぁ）」ピタ
シモン（あーーー……なんか。こういうのも、いいな）
キトリス（うーーー……なんか。こういうのも、いいな）
シモン、ちょっと大人になる！
甘えるより、甘えられる方がグッときたね！
まぁ、この後しばらくしてキトリスは一人ぼっちの逃亡生活が始まるのですが……。
