※15回目のやり直し辺り
(もちろん、まだ二人はヤってない。カミュの擦れ期序盤)
In序盤のダンジョン
ループ「うわ!敵の数が多くて先に進めない!(あっ、忘れてた!ここって敵の多いとこだった)」
カミュ「いいじゃないか!俺はこういうのを待ってたんだ!(あー、ダリィ。ここの敵、雑魚の癖に数だけは多いんだよな)」
セゾニア「ほら、カミュ。調子に乗らない!また怪我するわよ!」
カミュ「何を言うセゾニア!調子に乗った方が俺は強いぞ!(全然乗ってねーし、何回目だと思ってんだよ)」
ループ「セゾニア、下がって!俺とカミュで道を作るから!」
カミュ「あぁ!前は俺とループにまかせろ!(こんくらいループだけで倒せんだろ、あーメンドくせっ!)」
セゾニア「二人共、敵が何を使ってくるか分からないから気を付けて!」
ループ「うん、分かった!(確かに、こいつらって何してくるヤツだっけ?毒?麻痺?とかだったような……?あれ?)」
カミュ「ループ、行くぞ!攻撃が最大の防御だ!(どうせここじゃ死なねぇし、さっさと終わらすか)」ばっ!
ループ「あっ、ちょっ、カミュ!」
セゾニア「一人で突っ込まない!」
カミュ「大丈夫だ!問題ない!(るっせぇな!一回目の連中にどうこう言われたく——っ!?)」
飛び出したカミュに、脇から飛び出してきたモンスターが何かの液体を吐きかけたよ!
カミュ「っく!!(なんだ、コレ!)」
ループ「カミュ!(そうだ、このモンスターって確か……!)」ばっ!
セゾニア「あぁもう、言わんこっちゃない!」
カミュ「っく、なんだ。これはっ(体が、妙に熱い。なんだ、こりゃ……なんか妙に)」くら
ループ「カミュっ!ここは俺が前衛に立つから、カミュはセゾニアに回復を——」タタッ!
カミュ「あ゛ぁ?るっせぇな!?黙れよ、このボケ勇者が!俺に指図してんじゃねぇっ!(あ、なんだ……これは?)」
ループ「っあ、え?か、カミュ?」おろ
セゾニア(っこれは!)
カミュ「あーー!むしゃくしゃする!毎度毎度俺の周りをウロチョロしやがって!ウゼェんだよ!(いつもは絶対に口に出せねぇ言葉が……言える!)」
ループ「あ、あ……、ごめ(カミュが、怒った。怒った……)」ショック!
カミュ「テメェが居ると闘いにくいんだよ!?ウゼェ!クソ!近寄んな!ここは俺がやる!(はーーー、最高だな!言いたい事言えるってスッキリする!!)」ダッ
ループ「……あ、カミュっ!」
カミュ「あ゛ぁ!?付いてくんな!(いいねーー!思った事がまんま言えるっつーのは!いつ振りだ!?)」
ループ「ッッ!」ビクっ
カミュ「(ループ、テメェのその傷付いた顔!最高じゃねぇか!)」
セゾニア「ループ!今のカミュは敵の状態異常攻撃のせいで【憤怒】になってるのよ!今、回復を——」
カミュ「余計な事すんな!クソヒーラーが!まずは敵の掃討が先だ!(むしろ、一生このままでいてぇわ!)」
カミュはそれだけ言うと、敵の中に突っ込んでいったよ!
セゾニア「……ふん、それもそうね」
ループ「セゾニア?か、回復は……!?」
セゾニア「いいわよ。【憤怒】だと反動で攻撃力も上がるし、このままあの勢いで倒してもらいましょ」
ループ「で、でも……」
セゾニア「大丈夫よ、ループ。【憤怒】は時限性の状態異常だから。闘いが終わる頃には治るわ」
カミュ「あぁぁぁ!クソクソクソ!マジで腹が立つ!全員○ね!ぶっ〇す!」
カミュがいつもとは違ったヤバイ顔で敵をバッタバッタと薙ぎ倒してるよ!
うん!顔が完全にイカれてる!
ループ「……でも、でも。あれじゃ」俯
セゾニア「ループ(そういえば、カミュってうるさいけど……これまで一回も私達に怒った事なんてなかったわね)」
カミュ「っははは!邪魔者がいないと戦闘も楽しいなぁ!?もう全滅させてきてやったぞ!」スタスタ
ループ「っ!」ショック!
セゾニア「はぁっ……ヨ・カンサン!」
セゾニアの杖から青い光が放たれたよ!
カミュ「……お(あー、もう終わりかよ)」
セゾニア「さて、お怒りは治まったかしら?」
カミュ「ああ!セゾニア、助かったぞ!さっきまでのむしゃくしゃした気持ちが一気に治まった!(ったく。セゾニアのヤツ、余計な事しやがって)」
セゾニア「別にいいわよ。私が治せるのは〝状態異常〟だけだから」
カミュ「ん?それは、どういう——」
ループ「あ、あの。良かったな。カミュ、治って」おず
カミュ「あぁ!ループ、セゾニアのお陰でもうすっかりだ!(お、なんだ?ループのヤツ)」
ループ「……じゃ、じゃあ行こうか」ビク
ループの笑顔はどこか引き攣ってるよ!
カミュ「ああ!そうしよう、魔王は待ってくれないからな!(ははぁん、俺に怒鳴られた事ねぇからビビッてんだな、ループのヤツ。こりゃいい。これでしばらくチョロチョロしてこねぇだろ)」スタスタ
セゾニア「……」じっ
三人は次の街に着いたよ!
その間も、ループはずっとぎこちなかったよ!
ループ「じゃあ、ここからは自由時間にしようか。夜は宿に集合って事で」
カミュ「そうだな!」
セゾニア「そうね」
ループ「じゃあ……その、またあとで」
カミュ「おう!(気付かないフリ気付かないフリ)」
セゾニア「ええ」
ループは二人に手を振ると、一人でどこか行ったよ!
カミュ(ループのヤツ、街に入ると絶対一緒に武器屋に行こうって誘ってくんのに……ラッキー!)
セゾニア「……」
カミュ(今日は夜まで好きに過ごせるぜ!俺はループの誘いは絶対断れねぇからな!さぁて、どこに行ってやろうか)
セゾニア「ねぇ、カミュ」
カミュ「ん?どうした、セゾニア?」
セゾニア「屈んで」
カミュ「なぜだ?(ンだよ、ダリィな)」
セゾニア「……アンタがデカイからよ」
カミュ「確かに、俺はデカイな!(テメェがチビなだけだろうが)」
カミュは仕方なくセゾニアの背に合わせて屈んだよ!
渋々ね!顔には出さない(出せない)けどね!
セゾニア「元々デカいアンタには分からないでしょうけどね。自分より頭一つ分大きな人間に上から怒鳴り付けられるって……凄く怖いのよ」
カミュ「ああ、さっきは悪かったな!セゾニア!(全然ビビッてねぇだろ、お前は)」
セゾニア「私じゃない、ループよ。私は自分より大きいのしか周りに居ないし、慣れてるからいいけど……ループはそうじゃない」
カミュ「……ほう」
セゾニア「しかも仲の良いアンタに初めてあんな風に怒鳴られてきっとショックだった筈よ。怖かっただろうし……悪気がなくとも、ちゃんと謝っておきなさいね」
カミュ「あぁ、そうか!気付かなかった!あとで謝っておこう!(ぜってー謝まんねぇわ。俺にビビって近寄って来ねぇならそれはそれで好都合だからな)」
セゾニア「……はぁ、じゃ」
カミュ「おう、また夜にな!(なんだ?セゾニアのやつ)」
カミュはセゾニアの背中を見送ったよ!
さて、どこへ行こう!
カミュ「……まぁ、武器でも見に行くか」
カミュは武器屋に向かった!!
In武器屋
ループ「おじさん、ここで一番強い両手剣か斧ってどれ?」
カランカラン
カミュ(……げ、ループじゃねぇか)
武器屋「あぁ、それだったらコレだが……ただ、兄ちゃんにはちょっとデカ過ぎるんじゃねぇか?」
ループ「あ、それはいいだ。俺が使うワケじゃないから。俺の仲間が使うんだ!」にこ
カミュ(しかも、両手剣か斧って……また俺の武器を勝手に……あー、めんどくせ。見つからなねぇように別んとこ行くか)ソロ
武器屋「仲間の武器を買うのかい?」
ループ「うん!」
武器屋「なぁ、兄ちゃん。おせっかいかもしれねぇが、武器は使用者本人と一緒に見た方が良い。使いこなせねぇ武器は怪我の元だからな」
ループ「……使う本人と」俯
武器屋「それにこのサイズだと、ちょうど入口にいるあの赤毛の兄ちゃんくらいのデカさがないと振り回せねぇと思うぞ?」
カミュ「っ(赤毛ってまさか……!)」
ループ「っあ、っあ……か、カミュ」バッ
カミュ「あ、ループ(やっぱ俺だよ……クソ、結局こうなんのかよ。また一日中ループに付き合う事になんのかよーーーー!)」げっそり
ループ「あ、えっと!おじさん、ちょっとソレは……その、また考える」あせあせ
カミュ(ん?)
ループ「あとで、また買いに来るかも」おろおろ
武器屋「おう、そうしろそうしろ。武器は使う本人が見る!これが基本だからな!」
ループ「……うん」
カミュ「ループ、お前も武器を見に来たのか?(……これは)」
ループ「う、うん。でも、また後にする!」
カミュ「そうか!(ループと、目が合わない)」にこ
ループ「じゃ、カミュ。また後でな!」そそくさ
カミュ「ああ!(……誘ってこない)」
ループはカミュの隣を通って店を出たよ!
一回目も目が合わなかった!
カミュ「……ふうん(まだビビッてんのか。まぁ、ラッキーっだったな)」
武器屋「そこの赤毛の兄ちゃん!武器を見に来たのか?だったら——」
カミュ「いや、いい(ループのヤツ、どこ行く気だ?)」
武器屋「ちょっ、おい!」
——自分より頭一つ分大きな人間に上から怒鳴り付けられるって……怖いのよ
カミュ(ループが俺にビビッてんのも、なかなか面白いからな。そうそう見れるモンでもねぇし、よく見とくか)ニヤニヤ
カミュはその後、
カミュ「ループ!また会ったな!」にこ!
ループ「あ、カミュ……あ、俺ちょうど出るところだから」
カミュ「偶然だな、ループ!どうだ、よければこの後——」
ループ「あ、えっと。そうだね!あっ、あのお腹空いたから先に宿に戻ってるね!」
カミュ「ループ、暇なら一緒に一戦——!」
ループ「あ、えっと武器屋に行こうかなって!」
ループの後を追ってはループに「避けられる」を繰り返したよ!
最初はループの反応を面白がってたカミュも次第に様子がおかしくなっていった!
カミュ「……なんだよ、これ」ムス
In宿屋(ループとカミュの部屋)
カミュ「……っはぁぁぁ(なんだよループのヤツ!別にそんなにビビる必要ねぇだろうが!さっきのメシの時もこれみよがしにセゾニアとばっかり喋りやがって!つーか、俺の剣を見に行くんだったら俺と一緒に行きゃいいだろうが!しかも、俺と二人きりになりたくないからってメシ食った後も全然帰ってこねぇし!どこ行ったんだよ!もう夜中だぞ!)」イライラ!
きぃ
ループ「……」そろ、キョロキョロ
カミュ「ループ?」ガバッ
ループ「っっっ!」ビク!
カミュ「……遅かったな(そんなにビビる必要あるかよ)」すく
カミュは入口に立つループの所まで歩いて行ったよ!
部屋は暗いよ!
ループ「か、カミュ……ごめん、起こしちゃった?」目逸らし
カミュ「ループ、どこに行ってたんだ」
ループ「ちょっと、その……素振りを、しに」目逸らし
カミュ「それなら俺と一戦やった方が良い修行になるぞ!何で誘わなかった?(なんで目が合わないんだ?)」
——アンタに初めてあんな風に怒鳴られてきっとショックだった筈よ。怖かっただろうし。
カミュ「ループ」
ループ「っえ?」
カミュ「まだ、体が動くなら……(どうだ、このくらいか)」
ループ「……あ」
カミュ「俺と、一戦やらないか?」
カミュは膝を折ってループと同じ目線まで落としたよ!
語尾にいつもの「!」も無いよ!
カミュ「どうだ?」
ループ「……」ぱちぱち
カミュ、やっとループと目が合ったね!
ループ「う、うん。やる」こく
カミュ「そうか!じゃあ一緒周り迷惑をかけてはいけないからな!街の外まで出るか!」にこ
ループ「……うん」コク
ループはまだ少しだけ控えめに頷いたよ!
目は合うけど、控えめ!
カミュはそんなループの肩を強く強く抱くと、そのまま部屋を出たよ!
カミュ「さぁ、行こうじゃないか!今日はまだ動き足りないからな!」
ループ「……うん」こく
ループ、とても控えめ!
カミュ(なんだよ……調子狂うな)
その後、ループが完全に「いつもの」に戻るまで一週間はかかりました!
カミュ「セゾニア!次から俺が【憤怒】にかかったら、最優先で治してくれ!」屈みつつ
セゾニア「……はいはい」
カミュ、捻くれてからも無自覚にループが大好きでした!
ループが「カミュ」「カミュ」言ってるから、自分の矢印が見えにくいんだよね!