——再会後(本編後)
in執務室
キトリス「シモン、まだ寝ないのか?」
シモン「あっ、あれ……もうそんな時間?」
キトリス「まったく、少し休んだ方がいいぞ。最近あんまり寝てないだろ?」
シモン「あー、でも。まだやる事があるから……師匠は先に休んでて」
キトリス「なぁ、明日じゃダメなのか?」
シモン「……ほんと、あと少しだから」
シモンはキトリスの方を見ずに答えたよ!
王様って忙しいんだね!
キトリス「そっか……じゃあ。あんまり遅くならないようにな」
シモン「うん、わかった」
ガチャ
キトリスは少し寂しそうな様子で部屋を出ていったよ!部屋はシンとしてる。
シモン「……あーもう、なにやってんだろ」
シモンは机に向かってるけど、なんだか集中出来ないみたい!
シモンはペンを置いて天井を仰ぎ見たよ!
シモン(昔と違って今度は俺が忙しくて師匠とあんまり過ごせてないなんて……。これじゃ、何の為に王様になったのか分からないじゃないか。こんな事ばっかりしてたら、いつか師匠に)
——なぁ、シモン。もう、お前は一人で大丈夫みたいだな?俺はもういらないみたいだな。
シモン「っっ!」ぞくっ
シモン、めちゃくちゃ悪寒が走る!
うん、めっちゃ言いそうだもんね!
シモン「も、今日は……休もう」がた
シモンはキトリスが先に寝てるであろう寝室に向かおうと執務室の扉に手をかけたよ!
そしたら——
ガチャ!
シモン「っ師匠!」
キトリス「あ、シモン。もう休むのか?」ぱちぱち
シモン「い、いや。それより!ど、どうしたの?先に休んだんじゃ……!」
キトリス「いや、もう休むよ。ただ、お前がもう少し頑張るって言ってたから、ほら」
シモン「……あ」
キトリスの手にはフワフワのひざ掛けと、ポットに入った温かいお茶。剥いた木の実(多分りんごみたいなの)があったよ!
キトリス「ほら、少しでも何か口に入れとけ。いくらお前が丈夫でも、少しは身体を労わらないと」
シモン「……う、ん」じん
キトリス「あと、心配しなくていいからな」にこ
シモン「え?」
キトリス「もう絶対に置いて行ったりしないから、お前は安心してやるべき事をしていい」にこり
シモン「~~っじじょう!!!」ぶわっ
キトリス「おいおい、何泣いてんだよっ」ぱちぱち
シモン「じじょう……なんで、もう……あぁぁぁん」
キトリス「あーぁ、ったく。ガキの頃よりよく泣くようになって。よしよし」
シモン「っご、めんな、さっ。おっ、おれ、もう……大人なのにっ」ひぐひぐ
キトリス「なに言ってんだ。良い傾向だよ」
シモン「え?」
キトリスは持っていた荷物を近くの棚の上に置いて、シモンの頭をよしよししたよ!
キトリス「俺の前では、好きな時に好きなだけ泣け。お前はこれまで我慢し過ぎだ」にこり
出た!キトリスの救済の微笑み!
シモンは、これまでの記憶がフラッシュバックした!
——たくさん食え!
——たくさん寝ろ!
——たくさん甘えろ!
シモン(……師匠は、本当に昔から俺の欲しい言葉をくれる)
キトリス「あと、フワフワの座布団とあったかいスリッパも持ってきてやるから。待ってろ!」
シモン「じじょう……」
キトリス「ん?」
シモン「やっぱ、じじょうも寝ないで……傍に居て」おず
キトリス「ふふ、俺はお前がそう言ってくれるのを待ってたよ」にこ!
シモン「っ!」
キトリス「ほら、ちょっと待ってろよ!すぐ取って来るから!」
キトリスは笑顔で走っていった!
ほんと、凄く嬉しそうな笑顔で!
シモン「……そうだ、師匠は」
甘えられるのが、大好きだった!!!
シモン、大人だし、王様だしって気を張ってたけど——師匠の前では昔のままで居ていんだよ!
シモン「……はぁ、死ぬほど甘えてやる」ギラ