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女の子さえ居てくれれば、俺は童貞を卒業できる。
——そんな俺の考えは、ともかく非常に甘かった。
「ほらぁ、早く脱ぎなってぇ」
「うっ、うわ。あの……ちょっと待って!」
「あはは、めっちゃビビッてる!手震えてんじゃん!」
いざ本番を迎えたものの、親友やギャルの前で緊張がピークに達し、俺は完全に動けなくなっていた。まさかの服すらまともに脱げず、わざと胸を押し付けてくるギャルにビビッて、ベッドで転んだところを光君に助けて起こしてもらい、服まで脱がせてもらう始末。
しかも、俺がやっとの事でパンツを脱いだ直後の事だ。
「うっわぁ!ナニソレ、ちっさ!」
「ほんとだー!これじゃ入ったの気付かないかもねー」
ギャルの容赦ない一言が、俺の豆腐メンタルをグサリと抉る。
い、いや、違う!普段なら、きっとこんなことはないはずだ!これはただの緊張!絶対にそうだ!……でも、もしかして、俺のって小さかったのかな。
「空、大丈夫か?」
「……~っぅ、ぅ。ひ、ひがるぐん」
ギャル二人がブラとパンツ姿でケラケラと笑う中、俺は泣きそうになりながら俯く。ていうか、涙がちょっと出た。恥ずかしい。
もう、マジで無理だ……。こんな事を言われた後に、まともにセックスなんて出来るワケがない。
「ご、ごめん。せっがぐ、いろいろ……してくれたのに。も、俺……」
帰る、と口にして近くに落ちていたパンツを拾おうとした時だった。それまで、ギャルの後ろから俺を見ていた光君が、二人をかきわけてスッと前に出てきた。
「ふむ、仕方がないな。ここは俺が手を貸してやろう。」
「は……?」
は、何を言ってるんだこいつは。
「お前は俺の魂の盟友だ。ならば、俺が準備してやるのは当然だろう?」
その瞬間、光君の手が俺の腰に伸び——。
「ちょっ、待て待て待て!光君、何してんだよ!」
光君に前から抱えられて、そのまま膝の上に座らされると、俺の足が無防備に光君の太腿を跨いでしまっていた。おかげで、何も履いていない下半身が光君の前で丸見えになる。
これは……コレは絶対にヤバイやつ!
「あっ、あの!光君……お、下ろして!」
「何を慌てる必要がある?リラックスしろ、空。全て俺に任せるんだ。俺はお前を置いて行ったりしない」
「だから、違うっての!」
光君はどこまでも真剣な顔をしている。いや、だから真剣に間違えてるって!
俺は必死で抵抗したけれど、光君の手は一切躊躇しない。萎える俺のモノを光君の熱い手で握り込まれた。
「っひ!」
「さぁ、大丈夫だ、空。今お前の目の前に居るのは誰だ?お前の魂の盟友だ。何も心配いらない」
ギャルたちはそんな俺たちを見て「光かっこいー!」「空君、大丈夫だよー!」とか言ってケラケラ笑ってるし、もう逃げ場なんてどこにもなかった。
俺は堪らずギュッと目を瞑ると、そのせいで光君の手の感触がダイレクトに感じる。この熱い掌は、紛れもなく光君のモノだ。
「っひ、っひかる君。ちょっ、あつ……」
「少し勃ってきたぞ、空。やっぱり俺だと安心するみたいだな」
「……ンっ」
聞き慣れた光君の声が耳元で聞こえて、少しだけ安心してきた。体の中心がムズムズして、思わずその体に身を寄せた。
「空?」
「光君、ごめ。重いかもだけど、……少しだけこのままでいさせて」
「あぁ、分かった。いくらでも安心して俺に寄り掛かるといい!俺の魂の盟友よ!」
ギャル達に小さいと言われてショックを受けていた俺にとって、光君の体に抱え込まれるようなこの体勢は、意外にも安心できた。
だって、あの二人に俺のは見えないから。
「っはぁ、ぅ……ひ、かる君、の手。きもち……ッぁ」
他人に触ってもらった事なんて、童貞の俺にはもちろん経験がない。
この頃になると、俺は光君の熱い体温の手で自分のモノを擦り上げられる感覚に、夢中になっていた。
「っふ、……ンっ。っはぁ、あつっ」
最初とは違った汗が、体中に流れるのを感じる。
すると、それまで何かと俺に声をかけてきていた光君の声が全く聞こえなくなっていた。聞こえるのは、時おり「はぁっ、はぁ」と、吐き出される熱っぽい息だけ。
「……ひ、かる君?」
あまりにも熱い吐息に、俺がそろそろと目を開けた時だった。
「っはぁ、空……空。そら」
その瞬間、目の前に居たのはこれまで見た事もないようなギラついた目で俺の事を見つめる光君の姿だった。ガチャで推しを神引きしたときよりも、何倍も輝いているように見える。光君のこんな顔、初めて見た……。
「空、やっぱりお前は俺の魂の盟友だった。どうやら、俺のハジメテは今日だったようだ」
「っへ?」
光君がまるでうわ言のように意味の分からない言葉を口にしたかと思うと、そのまま俺の腰をグイッと自分の方へと引き寄せて来た。
その瞬間、勃起する俺のモノと重ね合わせるようにピッタリとくっ付いてきたのは——。
「っは、えっ!?な、んで!?」
「空、空……っお前を見てたら、こんなになったぞ。全く触ってないのに!なぁ、凄いだろう?こんなのハジメテだ!」
興奮気味に口にされた言葉と共に下半身にピタリと感じた熱は、普段、光君の掌に感じる熱とは比べ物にならないくらい熱い塊だった。
「う、うわ……なに、これ」
しかも、熱さも、大きさも、熱も、形も。全部、俺のなんかとは比べ物にならない。
「うわぁ、光までギンギンじゃん!そろそろ光も大丈夫そうだし、そろそろ私らも混ぜてよー」
「ねぇ、前回は光抱いてくれなかったし今回は私からヤってよぉ」
あ、そういえば!この二人が居たんだった!
隣で俺達の様子を見ていたギャル二人に、再び俺の腹の底がキュッと嫌な音を立てた時だった。
「帰れ!」
「「っへ?」」
「さぁ、君たちは退場の時間だ!これから始まるのは、俺と空だけが共有する〝神聖なひととき〟だ。他の者がいる余地はない!」
「「はぁぁぁ!?」」
ギャル二人の盛大な非難めいた叫び声など無視し、光の熱い視線はジッと俺だけに向けられている。しかも、なんだコレ。俺の後頭部を優しく撫でるような仕草まで加わって、もう何がなんだか分からない。
「あぁ、セックスというものは禁断の果実のように語られ、期待しすぎたせいで実際やってみた時に俺は思ったんだ。これは実に平凡な行為だ、と。しかし——」
「っ、っひ!えっ、なに?ひ、光君?」
俺の頭を撫でていた光君の手が、そのまま背中を撫でながら俺の尻の方へとスルリと下りてきた。ついでに、そのまま俺の体はゴロンとベッドの上に横たえさせられた。頭上には、推しのスチルをゲットした時よりもうっとりとした表情を見せる光君の姿。
「空。お前とするこれからの行為こそが、俺の〝初めて〟であり〝本物〟だったらしい!コレまでのアレはただの模倣だったんだ……。あぁ、道理で!」
「ちょっ、ちょっ!!まっ……」
「さぁ、空、今からでも遅くはない!俺と共にイこう!」
待て待て待て!
まだすぐ傍にはギャル二人がアレコレ騒いでいる。俺は今日、童貞を卒業しに来たはずだ。それなのに、何だこの状況!これじゃあ、まるで男と——光君とセックスするみたいじゃないか!
こんなの変だ!絶対おかしい!そう思うのに、何故だろう。俺の下半身は未だにしっかりと反応したままだ。
そんな俺の姿に光君はどこか感動した様子で声を上げる。
「あぁ、なんだその見事な勢いは!まるで俺を褒め称える柱のようだな!いいぞ、その調子だ!」
「っへ、変な事言い方するな!?……っひん!」
言い返す俺に、光君の熱い掌が自身のモノと俺のを重ねて包み込み上下に扱き始めた。
「さぁ、空、お前は俺の〝魂の番〟だ!これからは、何をするにも一緒だ」
「っひぅぅっ!」
そうして、そのまま俺は光君の手でイかされるだけじゃなく、体の至ところまで触られ尽くしてしまった。ギャルの女子二人がいつ光君の家から帰ったのか、一体どこまで見られていたのか——。
気持ち良すぎて途中で意識をぶっ飛ばした俺は知る由もない。