そうだ!今日はこの二人がいるんだった!
ベッドの脇から聞こえてきた二人の女子の声に、俺は慌てて光の体を押しのけて飛び起きようとした。しかし、無情にも光君の体は俺の力ではビクともしなかった。
「空、空……っはぁ、空。お前の唇は甘くて熱い。まるで俺の胸に咲く炎だな……もっと燃やしてくれ」
「ンッ、ちょっ……光、くっ……待って、待って!んぅぅッ!」
俺の抵抗なんて全く気にする様子もなく、光は舌で俺の唇をなぞったり、吸い付いたり。まるで二人に見せつけるような仕草までしてくるんだから、心臓が爆発しそうなほど体中が熱くなる。。
「空君ってばさぁ。童貞卒業する気あんのぉ?」
「っぁ、あ……ある、ありましゅ……っふぅ、ンン」
「もー、そんなんじゃ一生童貞だよー」
ごめんなさいッ!
そう、この二人は俺達の行為が始まる最初から光の部屋に一緒に居たのだ。理由は……その、俺の童貞卒業のためである。
だから「出そう!」って言ったのに!声じゃねぇし!精液だし!
「空、空……お前の味が忘れられない。ずっと、こうしていたい。はぁっ、俺の魂の番。っは、んぅ。堪らない……!」
「ちょっ、んっふぅぅっ!」
俺は未だに俺の唇に吸い付いては、耳元で大袈裟に褒めてくる光君に、なんだかもう怒ったらいいのか、一旦キスをやめさせたらいいのかちっとも分からなかった。
ひとまず、色々と恥ずかし過ぎて、現実から目を背けるように目をきつく閉じておく。
「ほらほらぁ、空君それじゃ逆効果っしょ」
「無自覚にキス待ち顔になってっしー」
何か二人が俺に向かって言っているが、それすら酸欠状態の俺には届かない。もう、俺はどうしたらいいんだよ!
「でもさぁ、コレは、空君悪くないっしょ」
「えー?そう?」
「光がそもそも空君に私らとヤらせる気ゼロじゃん。こんなん」
「まぁねぇ、私達呼んどいて最初っからアナルと乳首責めってさー」
「あんな手マンされたら私だって秒でイっちゃうし」
「わかるーー!」
不意に聞こえてきた二人の会話に、俺はゆっくりと目を開けた。そこには、必死に俺の唇に吸い付く光君の艶っぽい顔があった。
光君が俺にヤらせる気ゼロ?本当にそうなのか?
でも、光君はいつも俺が「そろそろ俺も女の子とヤれるかもしれない」って、コッソリ伝えると「そうか、分かった!魂の番の頼みとあらば聞かないわけにはいくまい!あの二人を俺達の愛の巣に召喚しよう!」ってちゃんと二人を呼んでくれるし……。
しかもコレが一回目のリベンジではない。もう数えきれないほどこの二人には俺の不甲斐ないところを見られてきている。
「それに、光の手ってめちゃ器用だからテマン即イき確実だもんねぇ」
そうそうそう!
光君の手先はゲームでもそうだがともかく器用だから……俺が堪え性が無いんだと思っていたのだが——。
「光のアレは器用とかそういう問題じゃないっしょ。だって私ら、アレされた事なかったじゃん」
「……確かにぃ」
え、そうなの?
光君からのキスを受けつつ、彼女達の話に耳を傾ける。すると、それまで収まっていたお尻の穴への刺激がクチュリと音を立てて再開された。
っへ、なになに!?なんでまたお尻に指挿れられてんの?俺。
「あれってさ、光が空君をめっちゃジーーッと観察して、空君が何されたら一番気持ちいいか考えながらやってるから、あんな最高の手マンができるんじゃない?」
「確かに!光って、マジで空君の顔ばっか見てるもんね。私らの時なんて、ほぼ作業だったのに!」
え、え、ちょっと待って。俺は今、どっちに集中したらいいんだ?
彼女達の会話か?それとも「空、お前の魂の番は俺だろう?他のことなんて考えさせない」と、耳元で囁く光君の声か?
「っ、ひ……っぁ、っぁ。ひ、かる……く」
コリコリとナカしこりを指で弾かれ、乳首への刺激もいつの間にか再開している。恥ずかしくて目を閉じていたせいで、その全ての感覚が鋭敏に感じる。
あ、また勃ちそう。ほら、やっぱり光君は俺に童貞卒業のチャンスをくれようとしてくれてるんだ。だって、俺達は魂のツガイ?なんだから!
そう思った直後の事だった。
「……はぁっ、そろそろ時が来たな」
後ろへの刺激と、乳首への責めが止まったと思ったらカチャカチャと聞き慣れた音が俺の耳に聞こえてきた。
「光、もうギンギンだし。光ははなっから前戯のつもりなんだって」
「それじゃあ、私らただのただの視姦要因ってことぉ?」
「でしょーねーー」
彼女たちの言葉に、ソロリと目を開けた。すると、そこにはどこかで予想——いや、実はずっと期待していた光景が広がっていた。
「空、この瞬間から、お前は俺の中に刻み込まれるんだ。魂ごと抱きしめてやる」
「~~~っぁう」
そこにはそりゃあもう立派にそそり立ったモノを見せつけるように、俺の体にまたがる光君の姿があった。その姿に、俺は「今日こそ童貞を卒業するんだ!」というハリボテでしかなかった意思が、ガラガラと音を立てて壊れていくのを感じた。
「光ー、私ら邪魔しないから見てていいー?」
「ちゃんと静かにしてるからー」
「ああ、好きにしろ」
その声に、光はただ静かに頷くと、うっとりした表情のまま俺だけを見つめながら、蕩けた穴に自分のモノをピタリと当てがった。あつい、光君の指よりも、ずっと。
「さぁ、空よ。俺はお前の奥底に触れる。心も体も、全てを俺のものだ!」
「……っぁ、……う、うん」
光君が俺の童貞を本気で卒業させてくれようとしているのかは分からない。でも、一つだけ確かな事がある。
——もう、童貞のままでもいいかも。
ギュッと体を抱き締められながら「空、空」と名前を呼んでくる光君に、俺はどこか本気でそんな事を思ってしまったのであった。
◇◆◇
「私、あの二人のエッチ見んの好きなんだよね~。なんでだろ?」
「なんだろ、わかんないけど……なんかマジで尊いんだよね~」
「これ一生見てられるヤツじゃない?」
「分かる~~!」
ギャル二人を無自覚に腐女子化させた光と空。
多分、今後も色々な場面でけっこう協力してくれそうな気はする。
おわり
————
≪後書き≫
ギャル二人を無自覚に腐女子化させた光と空。
多分、今後も色々な場面でけっこう協力してくれそうな気はする。
てか、挿入させたかったーーーー!ちょっ、光視点で挿入を……