ドラゴンと同じくらい怖い(セイフ×テル)
旅の途中
セイフ「……兜、壊れた」
テル「まぁ、あんだけモンスターからぶっ叩かれりゃな。俺はあの攻撃でお前が無傷なのがビックリだわ。防御力高すぎだろ」
セイフ「……でも兜は」
テル「仕方ない。この街の鍛冶屋で修理してもらうか」
セイフ「……なおる?」
テル「街の鍛冶屋ならどうにかなるだろ。ここ、商業で栄えてるみたいだし、店も多いしな」
セイフ「ん」
テル「おいおい!壊れた兜をかぶろうとすんな!?怪我するだろうが!」
セイフ「……」
テル「そんな顔してもダメ。ほら、行くぞ」
セイフ「ん」
テル&セイフ無事に街の鍛冶屋で修理の依頼をかける事が出来たよ!
テル「……どこの世界でも早く仕上げて貰おうとすると値段が上がるのか……金が」
セイフ「テル、ごめん」
テル「いや、いいって。お前が壁役してくれるから俺も安心して戦えるんだし。こういうのはケチったらダメなんだよ(晩飯は安いとこ探さねぇと)」
セイフ「……ごめん」
テル「謝るなって!そろそろ兜も出来上がる頃だろうし、早く取りに行こうぜ!」
セイフ「……(俺、テルの使い魔になるっちゆったとに、役立たずやん)」しょぼ
鍛冶屋に着いたよ!
親父「お、お前らか!ほら、兜出来てんぞ!」
テル「ありがとうございます!えっと、今支払いを……あれ?」
セイフ「テル?」
テル「うわ、ごめん。セイフ。財布を宿屋に置いてきたみたいだ。ちょっと俺取ってくるわ。おじさん、ちょっと待ってて」
親父「別にいいぜ」
テル「じゃ、セイフ。ちょっとここで待ってて——」
セイフ「……俺が行く」
テル「は?」
セイフ「俺が、財布を……取ってくる。テルは、ここに居て」
テル「いや、そんな。俺が忘れてきたんだし。すぐ取ってくるから」
セイフ「……俺が、行く」
テル「いや、そんな事言ったって。お前今、兜してないし……そんな状態で夜の街なんてウロついたら」
セイフ「……俺、テルの使い魔」
親父「ん?なんだって」
テル「あ、いや。なんでもありません……!!?おいっ、そういう事人前で言うなって(コソ)」
セイフ「テルの役に立つ」バッ
セイフがテルの静止を押し切って店を出て行ったよ!
テル「あーー、行っちまった」
親父「アンタも過保護だねぇ。大の大人だ。そんなに心配しなくてもこの街の夜はさほど治安は悪くねぇよ」
テル「……いや、そういうんじゃなくて(ちょっと待ってみるか)」
——三十分後
テル「……おっそ」
親父「まだ来ないのか。もしかして道に迷ってんじゃねぇか?」
テル「いや、これは多分……ちょっと探して来ます」
親父「ああ、なんか分からんが。気をつけてな」
テルは嫌な予感を覚えつつ、即座に宿の方へと駆け出したよ!
すると、夜になって繁華街となった大通りの真ん中で人だかりが出来てるのを発見!
テル「あっ、あれは!」
テルが、そこで見た光景!それは——!
風俗嬢「ちょっと兄さん、いい体してるねぇ!」
花魁「このお客さんはうちのだよ!」
ホステス「顔もすごいじゃない、ちょっとうちに来てよ?」
ボーイ「おいおい、こんな美形が素通りかよ? 俺らの店にもどうだ?」
陰間「旦那、今夜は羽伸ばしていかないかい?」
セイフ「……!!!(ぶんぶん首を振る)」
テル「うわぁっ!ちょっ、待って待って!!ソイツ、俺のツレですーー!」
セイフ「テル……っ!」ばっ!
風俗嬢「弟さん?にしては似てないわねぇ?」
花魁「いいじゃないの、こんなイイ男! 夜は長いんだしぃ。たまにはオニーさんの羽を伸ばさせてあげなきゃ!」
ボーイ「お、兄さんもどうだ? 二人まとめて面倒見てやるぜ?」
テル「間に合ってます!! ほらっ、セイフ!こっち来い!」
セイフ「……」コクコクコクコク!
テルはやっとセイフを人混みから引っぺがして、裏路地に逃げ込んだよ!
テル「はぁっ、はぁっ……やっぱこうなると思ったよ……」
セイフ「……ひっく」
テル「は?」
セイフ「こわかった……っひぐ」
テル「……っうお!!」
見ると、セイフの目元が真っ赤になっていた。
シクシクとテルを抱き締めて泣いてる!怖かったね!
テル「セ、セイフ……(これは)」
セイフ「しらないひと、いっぱい、さわってくる……にげられなかった……」
テル(最初にドラゴンを倒した時と同じ状態になってる)
セイフ「おれ、テルの使い魔なのに……っひぐ」しくしく
テル「……あのな、セイフ。使い魔は基本主人と一緒に行動すんだよ。単独行動はしないんだよ」
セイフ「……そう、なの?」
テル「そう。だから……(だから、何なんだ?)」
テルはセイフの広い背中をポンポン叩いてあげたよ!
テル「まぁ、そういう事だから。よしよし!ほら、急いで鍛冶屋に行くぞ」
セイフ「……ん(もう絶対テルとは離れん)」
In鍛冶屋!
親父「おぉ、やっと戻ったか。……なんだ、そいつ泣いてんのか?」
セイフ「……ぐずぐず」
テル「まぁ、色々ありまして……あ、お金払います」
親父「お、おお。じゃあ、ほらよ。兜だ」
親父が兜を差し出した瞬間、セイフは急いで兜をかぶったよ!
セイフ「……」ほっ
テル「おい、頭だけ被るのか……?(完全に変質者だけど)」
セイフ「……」コクリ
テル「そっか。そんなに怖かったか」
セイフ「……」コクリ
テル「じゃあ、帰るか」
セイフ「……」コクリ
テル「おじさん、お世話になりました。ありがとうございます」
親父「お、おう。気をつけてな」
テル「はい」
セイフ「……」
テル「ほら、行くぞ」
セイフ「……ん」
テルはセイフの手を引いて店を出て行った!
親父「ありゃ、どっちがどっちの使い魔か分かんねぇな」
セイフ、この事をきっかけに街中では絶対にテルから離れなくなった!
in宿屋!
テル「いや、トイレだから」スタスタ
セイフ「……ん」スタスタ
テル「だから、トイレまでついて来なくても……もう好きにしろ」スタスタ
セイフ「……ん」すたすた
女将さん「なんだい、あんた!イイ年して兄ちゃんにトイレ付いて来てもらってんのかい!?」
テル「……はぁ」
セイフ「……」
宿屋に泊まると、夜怖くて一人でトイレに行けない子みたいに思われるテルであった!!!