番外編7:そこは合致する兄弟(ケイン×ラティ/ショート&(?)フルスタ)

 

≪番外編2:長男と次男≫の後。

※全て会話文です

 

inラティの部屋

 

ラティ「フルスタ、今日の晩餐会はどうだった?気になる人はいた?」

フルスタ「いや、特には。いつも通りのメンツが集まったって感じだったかな」

ケイン「ああ、カルヴァン大臣も特に変わった動きはみせてなかったな」

フルスタ「ああ、最近息を潜めてるけど、今後も動きは追っていた方が良いだろうね」

 

ショート「おいおい、兄貴はともかくフルスタ。お前は嘘を吐いてるな?」

フルスタ「は?別に嘘なんか……」

ショート「いいや、気になる人が居ないなんて嘘だな」ニヤ

ラティ「ショート、どういうこと?」

 

ショート「今夜の晩餐会には、西方の貴族、エルヴェルン侯爵家の令嬢が参加してたんですよ。《月の白薔薇》って異名を持つ美貌の持ち主、ヴァレンティナ・エルヴェルン。美しいだけじゃなく、教養もあって気品も申し分なしって評判の令嬢ですよ」

ラティ「へぇ、そうなんだぁ」ぱちぱち

 

フルスタ「おい、ショート。兄さんが聞きたいのはそういう情報じゃない。それに……別に噂ほどは」

ショート「へぇ?だったら、晩餐会の間中、何度もそっちを盗み見てたのはどう説明するんだ?しかも食事の後にちゃっかり話しかけて、滞在中の逢瀬でも話してたのかと思ったぜ」

フルスタ「ぐっ」

 

ラティ「フルスタ、そうなの?」

フルスタ「っいや、そうじゃなくて!西方の状況とかも聞いておきたくて!エルヴィン伯爵に直接訪ねるより、年頃の娘に聞いた方が民衆に近い感覚の情報が得られるかと思って……!?」あせあせ

ラティ「うんうん、確かにその通りだね。さすがはフルスタ。大国スピルの正当後継者だよ」にこ

 

フルスタ「い、いやぁ。そんなことは……(ショート、あとで覚えてろよ)」ぎろ

ショート「あはは」

ケイン「ショート、お前は本当に余計な事しか言わないな」

ショート「そんな事言って。兄貴だってヴァレンティナ嬢に、やたらと話しかけられてたじゃないか」

ケイン「は?」

 

ショート「俺だって話しかけたかったのに。あんな熱い視線を送られて……妬けたなぁ?腕なんて触られてなぁ?」

ラティ「……ケイン、そうなの?」そわ

ケイン「違う!あれはあの女が勝手に……!」あせあせ

フルスタ「ショート、お前。本当に余計な事しか言わないな」

 

ショート「あはは」

ケイン(クソショートが。あとで、覚えてろよ)ギロ

ラティ「……あ、そうだ。エルヴィン伯爵といえば、昨日散歩した時に、長男のルードヴィヒ・エルヴィンと会ったよ」

ケイン「は?聞いてないぞ」ひく

 

ラティ「あ、いや。大した事は話してなくて……向こうは僕が王家の人間だって気付いてなかったみたいだったから」おず

ショート「ルードヴィヒ……《蒼銀(そうぎん)の鷹》の異名を持つ男ですね?戦場で何度か見たけど、なかなかの腕だった。なぁ、兄貴?」ニヤ

ケイン「別に、大した事は……」

ラティ「そうそう!その異名にたがわず銀髪に深い蒼の瞳、整った顔立ちに加えて、長身で姿勢もよくて……まさに貴族の理想像って感じだったよ。お話も面白かったし」にこにこ

 

ケイン「おい、ラティ。ルードヴィヒと何を話した」ずい

ラティ「あ、えっと何だったかな……僕が花を見てたら、その花好きなの?って。……へへ。僕、また子供だと思われたみたいだ。色々と花の話をしてくれたよ」照れ

ケイン「……」いらっ

 

フルスタ「あぁ、ルードヴィヒなら僕も話したよ」

ショート「……は?なんだよ、ソレ。いつの間に」ピク

フルスタ「ああ、ちょうどお前がヴァレンティナ嬢に話しかけてる時にな」

ショート「……何を話したんだ?」ずい

 

フルスタ「ふふ、聞きたいか」にや

ショート「な、なんだよ」

フルスタ「まぁ、大した話ではないよ(ヴァレンティナの攻略法を聞いた事は黙っていよう)ただ……」

 

フルスタは意味もなく意味深な表情を浮かべたよ!

 

フルスタ「ルードヴィヒ……アイツは、話の分かる人間だ。良い友達になれそうだよ」にこ

ショート「っ!(フルスタが俺以外にこんな顔を……!)」

 

ラティ「あ、フルスタもそう思った?彼は穏やかだけど、言葉の端々に芯の強さがあったし、冷静に物事を判断する知性的な面もあって……《蒼銀(そうぎん)の鷹》ってピッタリだと思ったよ。とても素敵な人だった」にこ

フルスタ「同感だね。その場その場に合わせたウィットに富んだ会話術も見事なものだった。彼とは今後も良い仲でありたいと思ったよ」にこ

 

ニコニコとルードヴィヒについて語るフルスタとラティを見て、ショートとケインは眉を潜めたよ!

 

ショート「なぁ、兄貴」ぼそ

ケイン「……なんだ」

ショート「今度、ルードヴィヒに模擬戦でも申し込んでみないか?」

ケイン「それはいい。どうやら、腕も立つらしいし。一度手合わせをしてもいいだろう」

ショート「じゃ、さっそく明日にでも声をかけてみようか」にこ

ケイン「ああ、そうしてくれ」にこ

 

ニコニコとルードヴィヒについて語るケインとショートを見て、ラティとフルスタは微笑んだよ!

 

ショート(なんだかんだ言ってショートもケインと仲良いよな。やっぱり、腐っても兄弟か)チラ

ラティ(ケイン……ショートと並ぶと、いつもとは違う雰囲気で、また一段と素敵に見えるなぁ)うっとり

 

ケインはラティに美女が近づくより「見た目の良い男」が近づいた時の方を、本能的に警戒するよ!なにせ、ラティは「美しい男」に弱いからね!

 

ショートはフルスタに自分以外の「話しの分かる男」が現れるのを、本能的に警戒するよ!なにせ、フルスタの一番の「理解者」は自分であって欲しいと思ってるからね!

 

そんな2組の兄弟のおはなし!