勇者ヒスイは石化した

勇者ヒスイは石化した

12:勇者ヒスイはイシになった。

ヒスイは怒髪天を衝いていた。 「バカかっ! お前! アレはもう使うなっつっただろうが!」 「……だって、だって。イシ君に話したい事があったんだ」 「だったら、夜まで待ってろ!どうせ夜は石化が解けるんだから!」 「でも、すぐ言いたかった!」 ...
勇者ヒスイは石化した

11:ヒーラーのヘマは元気にした。

「聖なる力の源よ! ここに来たれ! エターナル・リザレクション!」 ヘマは高らかに叫んだ。ちょっと格好良いな、この台詞。なんて思いながら。 「っ!」 これ程にまで濃いマナの“気”を纏ったのは生まれて初めてだった。体が一気に重くなる。 ヘマは...
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10:勇者ヒスイは爆発した。

これ程までに、自分が石である事を後悔した事があっただろうか。 いや……ない! 「うんうん! イシ君もそう思う? そうだよね、やっぱりイシ君は頭がいいよ!」 (何バカ言ってんだ! ヘマ、テメェいい加減にしねぇとぶっ飛ばすぞ!) 「ふふ、イシ君...
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9:青年ヘマは躊躇いなく差し出した。

ランプの光がユラリと揺れた。  今日もヘマは、今にも崩れそうな家でブツブツと魔術書へと向き合っていた。 「これ、これさえあれば……」 部屋の中は真夜中という事もあり、酷く薄暗い。夜空には満月が悠然と浮かんでいる為、カーテンを開ければ月明かり...
勇者ヒスイは石化した

8:勇者ヒスイは出迎えた。

(この家、ヤベェんじゃねぇか?) あれからどのくらいの年月が経っただろう。 強風に軋む古い家屋に、ヒスイはそんな事を思った。今日は風が強い。季節的に疾風でも来ているのかもしれない。 (ヘマ。お前が帰ってくる頃には、俺はこの家の下敷きになって...