<小話9>:イン、声変わりへの願望

ツイッターお喋りまとめ

〇前世&金持ち父さん貧乏父さん〇

 

 

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スルー『(そろそろ、治まったか?)ヨル?』

ヨル『(クソクソクソ)糞っ!』

スルー『(今日は無理そうだな)ヨル。俺、帰るな?』

ヨル『っ!なんでだ!?』

スルー『ヨルが俺を見ないからだ』

ヨル『包帯を巻く。だから、その』

スルー『ヨル。もしかして俺に帰って欲しくないのか?』

ヨル『…』

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スルー『俺は、ヨルが何に怒ってるのかは…よくわからん。わからんが、俺は此処へはヨルに会いに来てるんだ。それを、そんな風にヨルが怒ってばかり居たら俺は一人と同じだ』

ヨル『…悪かった』

スルー『なぁ、お前の不機嫌を治すのに俺に出来る事はあるか?』

ヨル『抱擁を、くれ』

スルー『あぁ!』

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エア『(オイオイ、本気かよ。ザンの奴)』

 

※補足

はいじ「と、コレもエアに目撃される。色々と頭に血が上ってたり、酔っ払っていたりして、まるでガバガバになっているヨルの警戒心。スルーだけはやっぱり気づいている」

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【ばいしゅんふ親子爆誕】

 

ヨル『おいっ!エアッ!エアはどこだ!?』

オブ『どうしたんですか?』

ヨル『アイツ、絶対明日には追い出してやるっ!どこだ!?』

オブ『っ!!それがいい!それがいいです!ほんとに、あの親子はさっさと屋敷から追い出した方がいいです!』

ヨル『もう金輪際アイツとは関わらん!絶対だ!!!』

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スルー『イン!お前は秋を売れ!』

イン『秋?あの葉っぱに色が付く秋?』

スルー『そうだ!俺は春を売り歩く男になったので、イン。お前は秋だ!季節は春と秋が一番素晴らしいだろ?』

イン『そうかも!夏と冬は大変だもんね!』

スルー『売って大金持ちになるぞ!』

イン『でも、オレも春がいい!』

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スルー『春は俺のだ。レイゾンの収穫もあるし秋もいるだろ!』

イン『じゃあお父さんが秋を売ればいいじゃん!』

スルー『俺は春が好きなんだ!』

イン『オレも春がいい!』

スルー『それなら仕方ない。秋はお母さんとニアに任せよう。俺とインで春だ!二人で、ばいしゅんふだ!』

イン『おおー!』

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イン『春はいりませんかー?』

スルー『オブ、一つどうだ!今なら安くしておく!どうせ今、春だからな!』

オブ『え?何の遊び?』

イン『オレ、お父さんと二人で春を売って大金持ちになる事にしたんだよ!ばいしゅんふ!』

オブ『はぁ!?ちょっ!はぁ!?スルーさん!?』

スルー『なっ、なんだよ!』

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イン『オレからオブに春をあげます!』

オブ『えっ!?』

イン『これは、森に咲く春の花束です!どうぞ!』

オブ『っあ、あぁ。ありがとうございます』

スルー『オブ、お前、怒った顔がヨルそっくりで怖かったぞ』

オブ『……は?ていうかさ、ほんと!お願いだから、インに変な言葉を教えんな!?』

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ヨル『そろそろ街道と山肌の補正に掛かるぞ』

オポジット『そうだな。男を集めないと』

 

子供達『また変わり者のスルーがインと変な事やってるぞ!いこうぜ!』

 

オポジット『ったく!またスルーか!あいつ!絶対に補正は手伝わせるぞ!』

ヨル『…』

オポジット『(分かりやすくソワソワしてんな)』

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スルー『ばいしゅんふ親子からの春をお届けだ!』

イン『春を売ります!今なら安いです!』

 

子供達『ばいしゅんふって何だ!?』

 

スルー『春を売り歩く素敵な人だ!イン!俺達の春をくれてやれ!』

イン『はい!オレ達の春をあげます!』

オブ『イン!?』

 

オポジット『何だ、アレ』

ヨル『っ!?』

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※補足

はいじ「“春を売る”という俗物的な概念が、貧しく小さなこの村には全くない為、ひっ!となるのはオブとヨル……帝国首都からきた人達だけです」

 

 

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【イン声変わりへの願望】

 

イン「どうしてオレは、まだ声変わりしないの?」

スルー「そんなもん、お前の体がまだ大人の声になろうとしてないからだ」

イン「オレはしたいよ!なんで!?オブもフロムも、他の子もみんなしてるのに!」

スルー「こればっかりはなぁ」

イン「お父さんは、いつ声変わりしたの?」

スルー「俺か?」

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スルー「いつだったか…俺も声変わりは遅かったもんな。オポジットよりも遅かったし…13いや、14?」

イン「遅いよ!それじゃあ!遅い!」

スルー「なんだ?あと二、三年の話だろう」

イン「オレだけずっと子供みたいじゃん!!いやだよ!みんな大人の声なのに!どうにかして!」

スルー「ええ…」

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スルー『と、言う訳でオブ。どうにかインを大人にしてやってくれ』

イン『おねがいします』

オブ『はあっ!?なっ、なっ!なに!?おれがインをっ!なんだって!?』

スルー『大人にしてやってくれ』

イン『おねがいします!がんばります』

オブ『まっ、待って!おれも!経験がある訳じゃないから!』

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イン『経験してるよ。オブはもう大人だ』

スルー『大人だな?最近ますます大人になった』

オブ『そんな訳ないよ!スルーさんは置いておいて、インに勘違いされたくない!おれは経験なんてない!』

スルー『何をそんなに焦ってるんだ?仕方ない。オブじゃダメだな』

オブ『だっ、ダメッって何だ!?』

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イン『うーん。オブの他に何でも知ってて、何でもできそうな人は……』

オブ『えっ、何を考えてるの?イン』

スルー『オブより凄い奴と言ったら』

イン『オブのお父さん!ヨルさんだ!俺、教えて貰ってくる!大人のなり方!』

スルー『おお!聞いて来るといい!』

オブ『まって!?まって!まって!』

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オブ『待て!待てって言ってんだろ!?』

イン『なに、なに!オレは急いでるの!早く大人になりたいの!』

オブ『わかった!わかったから!ちゃんとおれが勉強して、インに教えるから!だから待って!お願いします!だから、お父様だけは止めて!あと、多分お父様に、そういうシュミないから!』

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【スルー、ヨルへの頼み事】

 

スルー『なぁ、ヨルはいつから、そんな夜みたいな声になったんだ?』

ヨル『またそんな訳のわからない事を』

スルー『わからないのかっ!ヨルのその夜みたいなこう!そういう素敵な声になったのはいつなのかって事だ!』

ヨル『……なんなんだ、一体』

スルー『ともかく!俺はお前に頼みがあるんだ!』

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スルー『ヨル。インを大人にしてやってくれないか?』

ヨル『……何を、言っている』

スルー『俺は知識が足らんので、どうしてやることもできないが、ヨルならきっと知ってるかと思って』

ヨル『…大人、とは定義は何だ』

スルー『声が低くなる事…声変わりだ!』

ヨル『そんな事だろうと思った』

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ヨル「つまり、お前の息子を声変わりさせてやってくれということか」

スルー「そうだ!インは皆…いや、あれはオブだな。オブが声変わりをして、自分が置いて行かれている気がするのが嫌なんだろう」

ヨル「……はぁ。無理だ。成長の過程で起こる事を人為的に操作はできん。そのうちなると伝えろ」

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スルー『そりゃあそうなんだが。インは今、オブに置いて行かれて寂しがってるんだ。だから、無理やり気持ちを抑え付けて、まるでなかったように扱ってやるのは可哀想だ。今の気持ちは“今”しかない。大人にとっては過去の一点だとしてもな』

ヨル『……だからお前は子供に好かれるんだろうな』

スルー『確かに俺は人気者だ!』

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スルー『さすがにヨルでも声変わりさせてやるのは無理か。オブは何か張り切って調べるとかなんとか言ってたけど』

ヨル『……オブ、一体何をどう調べようと言うんだ』

スルー『俺は今のインの高い声も素敵だと思うんだがなあ』

ヨル『…そうだな。あの声がいつかは無くなると思うと寂しくもある』

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スルー『それだ!そう!ヨル!お前に次なる頼みがある!』

ヨル『今度は何だ』

スルー『さっきのをインに言ってやってくれ!お前の声は素敵だって!無くなるのは惜しいって!』

ヨル『お前が言えばいいだろう』

スルー『俺じゃダメだ!普段言いそうにない、インが憧れてる、顔の良い奴が言わないと!』

ヨル『…顔』

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ヨル『…』

スルー『だめか?』

ヨル『(コイツが俺に何の気のてらいなく、頼み事をする、か)少しは練習の成果が出たと言うべきか』

スルー『もし引き受けてくれたら、礼に抱擁と歌をやる!』

ヨル『わかった。上手くいくかは分からないがな』

スルー『おお!じゃあ前払いの抱擁だ!おいで!』

ヨル『ふ』

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まだまだお喋り続く