4:イジワルなお星様

 

◇◆◇

 

 カリカリカリカリ。

 それまでは、毎日毎日同じような事をウィップに報告していた僕だったけれど、ケインと会ってからは一頁を埋めてしまうのがアッという間になりました。どのページにも、ぜーんぶケインの事が書いてあります。

 

「ふぅ」

 

 パラパラとウィップを捲ると、ケインと出会ってから、日記の文字がギュッと小さくなっているのが分かります。だって、そうしないと全然書きたい事が入りきらないんです。本当は次のページに行けばいいんですけど、なんだかギュッと書いている方が「楽しい事がいっぱい」という感じがして、とても嬉しい気持ちになるので、敢えてそうしています。僕の「こだわり」です!

 

「いち、に、さん……」

 

 一枚ずつウィップを捲り、ケインと出会ってからこれまでを振り返っていると、部屋の扉が「コンコン」と叩かれました。その直後「ラティ殿下、参りました」と、ちょっぴり堅苦しいケインの声。そう、部屋の外には部屋守の兵が居ます。だから、ケインの声も喋り方も、ちゃんと弁えた話し方になるのです。

 ふふ、ちょっとおかしい。

 

「どうぞ!」

 

 僕もちゃんと弁えてますよ、という口調で部屋に向かって声をかけます。すると、扉の向こうから、ペコリと頭を下げてケインが現れました。扉の向こうには部屋守の兵士が居ます。

 

「ケインは僕の言いつけで参りました!通してください!」

 

 すると、部屋守の兵も小さく微笑みながら「分かりました」と部屋の向こうから扉を閉めてくれました。もう、これもいつもの事です。

 

「ケイン!」

「ラティ」

 

 僕とケインは二人きりになると、「主従」から「友」になります。

 

「ラティ、今日はどうしたんだよ?こんなに遅くに呼び出したりなんかしてさ」

 

 他の人の前だと、とっても丁寧な言葉で話すケインですが、二人きりになると、ちょっと乱暴な男の子っぽい話し方になります。最初は、見た目と合ってなくてちょっとびっくりしたけど、もう慣れました。

 

 逆に今では、さっきみたいに丁寧に話しているケインを見ていると「ふふっ」と思わず笑ってしまいそうになる程です。授業中にペンを回す僕に、「ラティ殿下?お行儀が悪いですよ?」なんて澄ました顔で言ってくるケインに、僕は笑いを堪えるのが大変なんですから。

 

 あぁ、気を付けないと。パイチェ先生に「ニヤニヤしない!」と叱られてしまいます。ま、先生は今ここには居ませんから“知る由もない”んですけど!

 

「ケイン、こっちに来て!」

「あー?」

 

 僕はケインの手をギュッと握りしめると、いつも二人で腰かける小さなソファへと向かいました。僕専用のそのソファは、一人だと大きいのですが、二人で並ぶと狭く感じます。でも、それが素敵です。

 そんな僕に、ケインは呆れた顔で言います。

 

「ったく、今日もパイチェ先生に覚えてないって叱られてただろ。復習はしたのか?最近ずっとオレが教えてやるのを待ってるだろ」

「だって、ケインが話しかけてくれるの嬉しいから」

「……はぁ、もう。ラティ。ちょっと離れろよ。暑い」

 

 そう言って僕の体を押しやろうとするケインの顔は、少しだけ赤く、本当に暑そうでした。ちょっと窓を開けた方が良いかもしれません。

 

「ケイン、窓を開ける?ちょっと暑い?」

「あぁぁ、もう!別にいいよ。で、オレに何か用か」

 

 ケインに尋ねられ、僕はハッとしました。そうでした、そうでした。今日は僕とケインにとって大切な日でした!

 

「今日は僕とケインの大切な日だよ!」

「大切な日?」

「そう!」

 

 「何かあったか?」と首を傾げるケインに、僕はソファの前の机に準備していたウィップを手に取りました。

 

「今日はケインと僕が友達になって“ひと月の記念日”だよ!」

 

 そうなのです。今日はケインと僕が出会ってひと月の記念すべき日です。そんな僕にケインは「へぇ」と、興味がなさそうな返事をしてきました。まぁ、予想通りです。ちょっと残念ですが、それはそれで、とれもケインらしい返事だと思います。

 

「ふふっ」

「さっきからニヤニヤして。何なんだよ、ラティ」

「ううん!」

 

 僕は自分の頭の中にうかんだ「ケインらしい」という言葉に、とってもうれしくなりました。だって、そう思えるのは僕が「ケイン」をよーく知っているという証拠ですから。だから、ケインにも僕の事をよーく知って貰いたいのです。

 

「あのね、今日は特別にケインに紹介したい人が居るんだー!」

「えっ?」

 

 僕の「紹介したい人」という言葉に、ケインが慌てて僕の部屋を見渡しました。あぁ、そうでした。僕達が「友達」になれるのは、周りに誰も居ない時だけ。だから「紹介したい人が居る」と聞いたケインが、他に人が居ないかを気にするのは当然の事です。

 

「ケインに紹介したいのはねー、この子!」

 

 じゃーんと、ケインの前に差し出したのは一冊の日記帳。

 そう、今日はケインに僕の大切な、もう一人のお友達「ウィップ」を紹介しようと思い、夕食の後に呼び出したのです。

 

「この子……?」

 

 差し出された日記帳に、ケインが眉を潜めます。その顔に、僕はちょっとだけ怯みましたが、ここまで来て後には引けません。

 

「そう、これが僕の友達のウィップ。ケインにも紹介したくて!」

「日記帳が?」

「そうだよ。ヘン?」

「ああ、ヘンだよ。そんな奴、オレの周りには誰も居ないね」

 

 どうやら、日記帳が友達っていうのは、変な事のようです。でも、変と言われてもウィップは友達です。変なのはウィップなのでしょうか、それとも僕なのでしょうか。

 そう、僕が少しだけ悲しい気持ちでウィップを見ていると、ケインが慌てた様子で言いました。

 

「で?そのウィップがどうしたんだよ。紹介してくれるんだろ?」

「っ!そう、そうなの!ケインにもウィップの事を知ってほしくて!」

 

 ケインがウィップの事を名前で呼んでくれるのが嬉しくて、僕はケインにピタリと肩をくっ付け合うとパラパラとページを捲りました。

 

「見て!ここにはね、僕のヒミツがたくさん書いてあるの。ウィップにしか話してない事がいっぱいあるんだよ」

「ラティの秘密?」

「うん、僕のヒミツがいっぱいだよ!」

 

 ケインはパチパチと目を瞬かせながら、ウィップを見つめます。ケインの綺麗なエメラルドグリーンの目がジッとウィップを捕らえて放しません。

 

「見ていいのか?」

「いいよ!だってケインも僕の友達だもん!」

 

 僕の言葉に、ケインはウィップを受け取ると、パラリと中身を捲り始めました。そんなケインを僕は嬉しい気持ちで見つめます。だって、僕は初めて自分の「友達」を「友達」に紹介できたのですから。こんなに嬉しい事はないって……最初は、そう思っていました。

 

 でも――。

 

「ねぇ、ケイン?」

「んー?」

「あの、もうそろそろ……」

「ダメ。まだ全部読んでないし」

「あぅ」

 

 そうやって、真剣にページを捲るケインを見てみれば、もう半分以上目を通しています。あぁ、もう。僕はバカでした。こんなの少し考えればすぐ分かる事だったのに。

 

「ふーん。ラティって俺の事、最初は、キレイなお星様って思ってたんだ」

「っあ、あ、えっと……」

 

 ケインにウィップを紹介するって事は、中身を読まれてもおかしくないって事です。そうなると、これまでケインに対して思っていた事が、ぜーんぶ本人にバレてしまいます。

 あぁ、僕は本当にバカです。それがとっても恥ずかしい事だって、僕は今になってようやく気付いたのですから。

 

「“ケインの目はまるで星のカケラみたいにキラキラしていて、とてもキレイです”」

「っっっ!」

 

 そのうち、ケインはニヤニヤとしながら僕の日記帳を音読し始めました。意地悪です。そう、ケインにはこういう意地悪な所があるんです!見た目はとてもキレイでお星さまみたいなのに、中身はちっともそうじゃなかったのです。

 

「“ケインとは毎日会ってるけど、夢の中でも会いたいなぁ”」

「っも、もう返して!」

「まだ、途中だからダメ」

「で、でも!」

「ウィップを紹介してくれるんだろ?それとも何だよ?オレはラティの友達じゃない?あーぁ、悲しいなー!さっきオレの事を友達って言ってくれた事はウソだったんだー」

 

 そう言って僕に背を向けるケインに、僕はヒュンとお腹の底に冷たい風が吹いたような気がしました。

 

「あ、ちがっ……!ケインは僕の友達だよ!」

「じゃあいいだろ!えーっと、なになに?」

「あ、あ、あ!」

 

 ケインは確かに僕の友達です。

 でも、さすがにこれ以上ウィップの中身を読み上げられたら、きっと僕の体から火が出てしまいます!

 

「や!返して!」

「んー?」

 

 僕はケインの手にあるウィップを取り返そうとしますが、さすがは騎士の家の子です。ケインはひょいと身軽に体をかわし、僕は勢いでペタリと床に膝をついてしまいました。

 ケインはそんな僕に見向きもしないで読み上げを続けます。

 

「“ねぇ、ウィップ。ケインに嫌われてしまったら、僕はきっと生きていけないよ!ケイン、大好き!”」

 

 そう、面白がるようにウィップを読み上げ続けるケインに、僕はとうとう恥ずかしさのあまり、その場に蹲りました。恥ずかしくて、恥ずかしくて。そして、少しだけ悲しくて。気付けば、蹲った拍子に目からポタリと水滴が零れ落ちて来ました。

 

「……っぅ」

「えっと、他にはー?」

「っひ、く、っひく……」

「ラティ?」

「うぇぇっ」

 

 蹲る僕に、最初は「なんだよ」なんて言っていたケインでしたが、僕が泣いている事に気付くと、慌てて駆け寄ってきました。

 

「なっ、なんだよ!泣いてるのか?別に、ちょっと読んだだけじゃんか!」

「っひ、っひぅっひぅ」

「ラティが読んでいいって言ったんだぞ!おい、顔上げろよ!」

 

 そう言って、蹲っていた僕の顔を、ケインが無理に引っ張りました。その瞬間、目の前にケインのお星様のようなキラキラした姿が映し出されます。涙のせいか、いつもよりキラキラして見えます。ただ、ケインの姿は歪んでよく見えません。

 

「っぁ、あ。ら、ラティ……」

「っひ、っひ、っひぅぅ。けぇいん」

 

 ケインは意地悪です。

 でも、本当はそうじゃない事を、僕はちゃんと知っています。僕がパイチェ先生の質問に答えられない時。剣術の稽古で上手く動けない時。色んな時に、ケインは僕を助けてくれました。復習だって一緒にしてくれます。

 今日も、ケインはお稽古があって忙しいのに、こうして嫌な顔一つせずに部屋に来てくれました。

 

 でもそれは、ケインにとって僕が大切な友達だからではありません。

 

「っひ、けぇいん……けぇいん」

「な、なんだよ」

 

 僕が“王太子”だからです。

 

「……ぼぐ、げいんじか、い゛ないの」

「っ!」

 

 ケインには僕だけじゃなくて、騎士の友達がいっぱいいます。こないだ、従者に我儘を言って、ケインが訓練している所をかくれて見に行きました。そしたら、そこには僕じゃない騎士の友達に囲まれるケインの姿があったのです。

 

—–ああ、ヘンだよ。そんな奴、オレの周りには誰も居ないね。

 さっきもケインは言っていました。俺の周り。そう、僕はケインにとって“たくさんの内の一人”でしかないのです。

 

「げいんは、どもだじ……いっばいかもじれないげど……ぼく、うぃっぷだけ、だったの」

「あ」

 

 でも、僕だって本当は知っています。ウィップはただの日記帳です。最初にケインが言ったように「僕」は変な子です。日記帳に名前なんか付けて。まるで本当に友達に話しかけるみたいに話して。

 

「ぼぐ、へんなの……じっでるの。ぜんぶ、じっでるの」

「……」

 

 物覚えも悪くて、今までの王太子の中で、一番出来が悪いって言われてるのも。あの子に国王は無理だろうって言われてるのも。お父様が、僕ではなく産まれたばかりの弟の方を可愛く思っているのも。

 

 全部知ってる。

 それでも、僕の持ってる一番大切なモノをケインに見せておきたくてウィップを紹介したのですが……でも、見せなきゃ良かった。

 

「げいん、へんな、ぼぐのごと、ぎらいにならないでぇっ」

「ラティ……」

 

 僕は床に蹲っておいおい泣きました。

 さっきケインが読み上げた言葉に嘘はありません。ケインが来る前は、別にウィップだけでも平気だったけど、実際にケインがこうして当たり前に居る毎日をたった一カ月続けただけで、僕にとって“ケイン”は無くてはならない存在になっていたのですから。

 

「ぅー、ぅー」

「……」

 

 

 どのくらい、そうやって泣いていたでしょう。

 外の部屋守の兵士に聞こえたら面倒な事になってしまうので、僕は出来るだけ静かに泣いていましたが、やっと目から涙が止まりました。目が溶けそうな程熱いです。

 その間、ケインは何も言わず、僕が泣き止むのをジッと見ていました。ケインは、とても優しい。きっとパイチェ先生なら「いい加減にしなさい!」と怒っている所です。王太子は、他人様の前で泣いてはいけない。甘えは禁物なのです。

 

 でも、ケインには妙に甘えたくなってしまいます。

 

「げいん」

「……なに」

「ぼく、もうウィ……ソレ。かくの、やめるね」

「はっ!?なんで!」

 

 僕がケインの手の中にあるウィップを指さして言うと、ケインはそれまでの、どこかぼんやりした表情から一気にそのエメラルドグリーンの目を見開きました。すごく、きれい。

 

「ぼく、へんなのイヤだから」

「べっ、別に!ちょっと変なくらい良いだろ!」

 

 やっぱり、ちょっとは変なんだ。僕はフルフルと首を横に振ります。「ヘン」は嫌です。だって、ケインに「ヘン」って思われたくない。嫌われたくないのです。

 

「ソレ、もう捨てる」

「友達捨てんなよ!あと、ソレって言うな……ウィップだろ?」

「でも……」

 

 そう、僕が蹲りながら言うとケインはとってもビックリする事を言ってきました。

 

「ウィップはもうオレの友達でもあるんだ!勝手に捨てるな!」

「っへ」

「だって、ラティが紹介してくれたんだ。もうウィップもオレも友達でいいだろ?オレの友達を勝手に捨てようとするなよ」

 

 なんという事でしょう!いつの間にか、ケインまでウィップの友達になっていたようです。僕の涙はもう完全に止まっていました。

 

「だから、ラティはこれからも毎日ウィップに本当の気持ちを書いて報告すること」

「……いいの?」

「誰がダメだって言ったよ。でも、その代わりオレもウィップの友達なんだから、毎日オレにもウィップを見せろよな!」

「えぇっ!」

 

 ケインからの思ってもみない提案に、僕は心底ビックリしてしまいました。だって、そんな事をしたら僕の思っている事が、これからもケインに全部バレてしまいます。それはちょっと恥ずかしいです。

 

「なんだよ、オレはラティの友達じゃないってのか?」

「と、友達だよ!ケインは僕の友達!僕にはウィップとケインしか居ないの!」

「……じゃあ、友達にウソ吐くなよ?」

「うそ?」

 

 ケインの「ウソ」という言葉に僕は何の事だろうと首を傾げました。すると、ケインはもう一度パラパラとウィップを捲りながら言いました。

 

「オレに見られるのが恥ずかしいからって、ウソを書くなって事。ラティの思ったことをそのまま書くんだ。……これまでみたいにな」

 

 そう、どこか機嫌良さそうに口にするケインに、僕は少しだけ迷いました。確かに、僕にとってのウィップは、何でも思った事を伝い合える友達です。そして、友達ってそういうモノだと思っています。ウソをついたり、隠し事をする相手は友達なんて言えません。でも、それだと。

 

「ちょっと……はずかしい」

「なんでだよ」

 

 口元にニヤリと、いたずらっぽい笑みを浮かべるケインに、僕は再び顔が微かに赤らむのを感じました。

 だって、きっと僕の事です。

 これからウィップに報告する事も、殆どケインの事ばかりだと思います。だって、僕にはケインしか友達が居ませんし、それより何より、僕はケインが大好きだからです。

 

「僕、ケインの事ばっかり書くと思うから」

「いいじゃん、別に。なんで恥ずかしいのか言ってみろよ」

「……なんでだろう」

 

 ずいと顔を近付けて尋ねてくるケインに、僕もここにきて「なんでだろう」と首を傾げてしまいました。ウィップには何を話しても恥ずかしくありません。日記帳だからなのでしょうか。でも、ケインもウィップも僕の大切な友達である事には変わりありません。どこか違う所があるでしょうか。

 

「こ、声に出すから?」

「わかった。声に出して読むのはやめる。静かに読むよ。だったらいいだろ?」

「……ん。だったら、いいよ」

 

 あぁ、確かにそうかもしれません。ウィップと違って、ケインは「声」に出して中身を読んできたから恥ずかしかったのかも。

 

「よし、決まりな。じゃあ、これから俺は毎日、この時間にラティの部屋に来るから」

「っいいの!?」

「ああ、俺もウィップと話さないといけないからな」

「わーい!」

 

 なんという事でしょう!ケインがこれからは夕食の後にも部屋に来てくれる事になりました。それに理由が「ウィップと話す為」だって。ケインも、ウィップの事を「本当の友達」のように扱ってくれているのが、僕には嬉しくて堪りませんでした。

 

「ラティ、絶対にウィップにウソを書くなよ」

「うん!わかった!」

 

 ケインに出会って一カ月目の記念日。

 それは僕にとって、とても悲しくて恥ずかしい、でもとても嬉しくて素敵な日となりました。あぁ、ウィップに報告を追加しないと!

 

「ラティ、お前って泣き虫だな」

「へへ、ヘンかな?」

「ん-、ちょっと変だけど……まぁ」

 

 僕は嬉しそうな顔で僕の目元を撫でてくるケインに、なんだか嬉しくなってニコニコと笑ってしまいました。ケインが自分から僕に触ってくれたのは、これが初めての事でした。

 

 

「でも、オレの前でだったら泣いてもいいぜ。変なラティも、もう慣れたからな」

「わかった!」

 

 この日の僕は嬉しくて嬉しくて。ケインが部屋から出て行った後は、ウィップを抱いてケインとの思い出を語り合いました。もちろん、復習なんて少しもしていません。勉強なんてしている場合ではなかったのです。

 

「ケイン……けいん、ケイン」

 

 だから、この時の僕は知りません。まさか明日のウィップへの報告に「ムチ」という言葉がたくさん使われるなんて。

 

 まったく、知る由もありませんでした。