(4)

 

 

「っぁ、っひ……っあ゛っぁん、ぁっ!」

「ッは、凄い。まるで漏らしてるみたいだ。ラティ、聞こえるか。この音、全部ラティから出てるんだぜ」

「っひぃん!」

 

 ぬるっ、ぐちゅっ……ずりゅっずりゅっ。

 ケインの手で擦り上げられる僕のモノは、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を容赦なく湯殿に反響させます。僕の下品な嬌声と、はしたない先走りを纏った男根を扱く音が、僕を鼓膜の奥から羞恥心で犯します。

 

「っぁ、っひ!」

「っはぁ、イイっ」

 

 射精を目前に控えた自身に、突然、火傷しそうな程の熱がピタリと触れてきました。見なくても分かります。ケインの男根です。耳元で聞こえるケインの欲を帯びた吐息に色っぽい声が重なって、頭がジンと痺れます。

 

「っは、っはぁ、っくそ!」

「っぁ!」

 

 ケインは先程まで僕のモノを擦り上げていた手に、自身の剛直を共に重ねると、そのまま荒々しく上下に擦り上げました。ケインの男根に浮かび上がった血管の一つ一つが僕のモノに擦れ、僕は余りの快楽に恐怖を覚えケインの背中にギュッと抱き着きます。

 

「らてぃっ、らてぃっ!」

「っぁぁぁん!っひゃぁっ!っけ、いんぅ……けいん!」

 

 泡で滑り良くなっている僕の体と、どちらから溢れ出たとも知れぬ体液が僕達の体を激しく濡らします。

 

「くそっ!」

「っへ!」

 

 すると、それまで首元に頭を預けていた僕の頭を、ケインが勢いよく引っ張りました。まるで、鎖でも付いてるように僕の体はケインの成すがままです。

 

「っ、ラティ!口付けをっ」

「っひぅ」

 

 引っ張られた拍子に、ケインの血管を纏った太い幹が、僕のカリに擦れ、思わず背筋を逸らしそうになりました。でも後頭部に添えられたケインの手のひらが、僕の自由を奪います。まるで、鎖のケインが体に巻き付いている時のよう。

 

「ラティっ!おい、聞こえないのか。早くっ!」

 

 目の前に現れたケインの顔は、酷く鬼気迫っており、エメラルドグリーンの瞳が興奮した獣のように熱っぽく僕を見つめます。僕は微かに首を傾けると、ケインの唇に吸い付きました。

 

「んッ……」

「っふぅ、ん、んんん……んっン~~っ!」

 

 ぐちゅっ、ヌルッ。

 ケインの唇をいつものように舌でペロリと舐めようとした瞬間、ケインはまどろっこしいと言わんばかりに、僕の口の中に舌をねじ込んできました。歯列を舐め、熱を帯びたケインの舌が僕の舌を絡めとるように巻き付いてきます。

 

「っふ、ふぅ、……ンぅっ!んんんんん゛っ!」

 

 レロ、レロと舌を舌で絡めとられながらも、互いの男根を擦るケインの手は激しさを増します。グチュグチュ、レロレロと。僕の耳に聞こえてくる全ての音がいやらしく、下腹部に吹き溜まる激しい快楽を逃がそうにも、僕の体も声も、ケインに全て拘束されていてどうする事も出来ません。

 

「んんんっぁっ、っは、っふぁあああっ!」

「っは、らてぃっ!も、イくぞっ!」

「ん、んっ!っひ、っぁぁぁああ!」

 

 ケインの唸り声と共に、僕は激しい嬌声の中ケインの体にピッタリとくっ付いたまま果てました。次いで、ドクドクと更に激しい迸りを下腹部に感じます。もちろん、ソレはケインの精子……子種です。

 

「はぁ……ぁ、はぁ」

「っはぁ。……ラティ、大丈夫か」

 

 ケインの腕の中で僕は必死に呼吸を整えます。余りの気持ち良さと満たされた感覚に、頭がぼーっとします。

 

「だいじょ、ぶ。……けいんはぁ?」

「あぁ……きもちー……」

 

 快楽を纏った低い声がジワリと僕の中に広がります。ケインが気持ち良かったのなら、とても嬉しい。でも、と僕は思います。ふと、僕とケインの間にまき散らされた白濁を見下ろして、なんとも言えない気持ちになりました。

 

「……ぁ」

「ラティ?」

 

 僕と違い、ケインの子種はとても貴重です。なにせ、次の将軍を作る大切なモノですから。それなのに、こんな僕のお腹の上なんかに出して。かわいそうに。きっと、この中にはたくさん大切な命があった筈なのに。

 

 僕はケインの腕の中からソロソロと浴室の床に体を下ろすと、椅子に腰かけるケインの前に両手を付いて座り込みました。

 

「ラティ、どうした。のぼせたか?」

「……うぅん」

 

 僕は小さく首を振ると、更に身を屈めました。

 間近にケインの横たわる男根と、それにまとわりつく白濁を見つめ、鼻の奥にツンと掠める強い雄の匂いを吸い込みました。どうせ、この世に新しい生命を生み出せないのであれば、せめて僕のナカで元気に生きて欲しい。

 

「んぅ」

「ラティっ……おいっ!なにを」

 

 僕はケインの下腹部と、男根に纏う白濁を丁寧に丁寧に舐めとっていきました。僕は、舐めるのは得意ですから。