inケインの部屋
シャラシャラ
ラティは今日もケインの部屋を首輪を付けてご機嫌で歩いているよ!
ラティ「今日はどのインクを使おうかなぁ。……うん、今日はこの若草色のインクでお手紙を書こう」にこ!
ラティは首輪片手撫でながら、ご機嫌な様子で机に向かったよ!
何か手紙を書いているみたい!
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親愛なるマスティ。
こんにちは。ラティです。
お返事をありがとう。
マスティがケインの事を「素敵な人だね」って言ってくれて、僕はとっても嬉しかったよ!
そうなんだ。ケインはとっても素敵なんだ!ケインは、僕がこの世で一番好きな人だよ!
あ、でもこれは内緒ね。
ケインは僕と違って尊い人だから、本当はこんな恐れ多い事は言ってはいけないんだ。でも、マスティは優しいから何でも話しちゃう。
僕は、普段はなかなか外に出る事が出来ないから、マスティとこうして手紙のやりとりが出来るようになってとても楽しいです。
それに、君はいつだって、僕の話に丁寧にお返事をくれる。とは言っても、僕の話はいっつも〝ケイン〟の事ばっかりなんだけどね。
でも、いっつも僕の話ばかりをしてしまって申し訳ないから、次はマスティの話を聞かせて。
僕はね、マスティ。キミの事もとても知りたいと思っているから。
いつか、君にもケインを会わせてあげたいなぁ……あ!そうだった。そんな事を言っている僕も、まだ君とは直接は会った事がなかったね。
なんだか文通をしていると、会った事があるような気がするから不思議。
この手紙のお返事には、マスティ。キミの事をいっぱい書いてね。僕は、君の事もとっても素敵だって思っているから。
じゃあ、お返事待ってるね。
ラティより
——–
ラティ「ふぅ……書けた!ふふ、返事が楽しみだなぁ」
ガチャ
ラティ「っケイン!」ぱっ!
シャラシャラ
ラティは首輪を鳴らしながらケインの元に走ったよ!
ケイン「ラティ、良い子にしてたか?」にこ
ラティ「うん!……あ、ケイン。ラスティへのお返事を書いたから、また郵便飛脚さんに渡して貰える?」
ケイン「もう書いたのか。早いな」
ラティ「うん!マスティとの文通は凄く楽しいからね。ふふ」
ケイン「そうか。何の話を手紙でしてるんだ?」
ラティ「それは秘密だよ!僕とマスティの秘密!」にこ
ケイン「へぇ、俺には秘密なのか」
ラティ「うん、だって恥ずかしいから」てれ
ケイン「……分かった。じゃあ、すぐにマスティに届けるように飛脚に頼んでおこう」
ラティ「あ、あのね。ケイン」
ケイン「ん?どうした、ラティ」
ラティ「ありがとう。僕が誰にも会えないからって、文通相手を紹介してくれて……ケインはやっぱりとても優しいね」
ケイン「いや、そうでもないさ」
ラティ「優しいよ、とってもね!」
ケイン「じゃあ、手紙の中を見てもいいか?」
ラティ「それはダメ!絶対に見たらダメだからね!」
ケイン「ははっ、わかったわかった。さぁ、ラティ。今日も一緒に風呂に行こうか」
ラティ「はーい」
ケインはいつも通りラティを抱えてお風呂に行ったよ!
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—–
夜中
ケインはラティが寝たのを確認して、隣の部屋の書斎に向かったよ!
ケイン「……親愛なる、マスティ」
ケインはさっき、ラティが書いた手紙を薄暗い部屋で読んでるよ!
ケイン「……ラティ、やっぱり俺の事がこの世で一番好きなのか。そうだろうな」
ケインは目を細めてラティの手紙を見つめてる!なんか、ちょっとニヤニヤしてる!
ケイン「……でも、〝マスティ〟も、もう終わりだな。ラティがマスティに興味を持ち始めた。ラティが俺以外に興味を持つなんてありえない」
ケインは天井を仰ぎ見ると、もう一度手紙を見たよ!その目が見つめるのは「ケインは、僕がこの世で一番好きな人だよ!」の部分だけ!
ケイン「ラティ、また新しい文通相手を用意してやるから。また最初から俺の事について教えてやるといい」
ケインはラティの手紙を鍵付きの引き出しにしまってニッコリと笑った!
こうして、ラティの文通相手は色々な名前を変えて、たった一人に届けられるのでした!
おしまい!
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ケインは日記帳に自分の事を褒めちぎってくれていたラティが忘れられないのでした。
……気持ち悪いねーーー!