in金平亭の裏手
マスター「それで、最近は店長からさ…」
〜♪
寛木君のスマホが鳴ったよ!
仕事かな?
マスター「優雅君、スマホ鳴ってるけど」
寛木「あぁ、大丈夫。後で連絡確認するから。で?店長がどうしたって?」
マスター「……」じっ
寛木「…な、なんだよ」
マスター「…あの、あのさ。もしかして優雅君って、仕事が物凄く忙しかったりする?」おず
寛木「いや、別に。まぁ、暇ってワケでもないけど」
マスター「だよね。最近、着信も多いみたいだし。ここ来るの、大変なら無理しなくても…」
寛木「はぁっ!?別にそこまで忙しくねぇし!」
マスター「あっ、いや!でも、君の仕事って営業だし。お客さんの都合でさっきみたいに連絡が来たら、相手に合わせなきゃなのに…俺のせいで無理させてたら、申し訳ないっていうか」おずおず
寛木「だーーかーーらーー!別に無理してねぇよ!だって、コッチのスマホは職場用じゃねぇし!ほら!」
寛木はマスターに2台のスマホを見せたよ!
マスター「あ、すごい。スマホ2台持ちなんだ」にこ
寛木「はっ、個人の番号なんて客に教えるかよ」
マスター「へぇ、優雅君。仕事出来る人みたいだね」にこ
寛木「……みたい、じゃねぇ。俺は実際に仕事が出来るんだ」じわ
マスター「じゃあ、最近会ってる時にスマホが鳴っても無視してたのは、こっちのプライベート用のスマホ……あれ?いつも持ってたのってコレだっけ?スマホ変えた?」
寛木「プライベートっつーか。コッチも仕事用だから」
マスター「え、え?コッチのも仕事用なの?なんで、わざわざ2台も」
寛木「なんつーか、こっちは副業用」
マスター「えっ、えぇ!寛木君、新卒で仕事も覚えるのが大変な時期だろうに、副業までやってるの!?な、なんで?ちゃんと休んでる?!」
マスターは寛木君の顔をのぞき込んだよ!
寛木「〜〜っ!!アンタと違って、ちゃんと休んでるよ!?」真っ赤
マスター「本当に?あのね、今、そういう……副業?がブームかもしれないけど、まずは一つに集中するのも大事だよ?っていうか、しっかり休まないと、いくら若くても体が」オロオロ
寛木「大丈夫だって」じわ
マスター「あの、何の副業をしてるの?」
寛木「あーー、えっと(どうせ言っても分かんねぇだろうしな)」
マスター「あ、あの。もしかして……ホストとか?」おず
寛木「はぁ!?ふざっけんな!誰がホストなんてやるかよ!」
マスター「……だって優雅君は格好良いから似合うだろうし」ちら
寛木「まぁ、俺の顔が良いのは……認める」じわ
マスター「それに、外面も良いし」
寛木「ぐっ。まぁ、それも……認めるが」
マスター「でも、ホストはお酒とかで体を壊しそうだから、出来れば止めて…」
寛木「いや、だから!ホストじゃねえし!俺がやってる副業は動画編集のチーフマネージャー!」
マスター「動画編集のちーふ…??」
寛木「……えーっと(こりゃ全くピンともきてねぇな)」ガジガジ
マスター「まぁ、優雅君がムリしてなきゃ、俺はいいんだけどね……」
寛木「別に、無理なんてしてねぇよ。そっちはそっちで楽しくやってる。つーか、本業より楽しいかもな」
マスター「そっか。……あの、優雅君」
寛木「ん?」
マスター「あの、お金……必要な時は相談してね」
寛木「は?」ポカン
マスター「いや、あのね。俺もあんまりお金は無いけど、もしキミが何か必要ならどうにか用意するから」じっ
寛木「いやいやいやいや!?親に借金あるヤツが何言っちゃってんの!?」
マスター「いや、確かにそうなんだけど……でも、優雅君に今お金が必要なら、俺がどうにか…」
寛木「あ゛ーーー!もう!これだからアンタは商売に向かないんだよ!?カモがネギ背負ってるどころの騒ぎじゃねぇ!いいか!?これから、誰かに金を渡す時はぜってー俺に相談しろよ!?いいな!?」
マスター「え、え?いや、そんな…」
寛木「い、い、な!?」ずいっ
マスター「あっ、あ……はい」
寛木「…ったく、何を言い出すかと思えば(こんなヤツ放っておいたら、今度そこ借金まみれにされる……俺がしっかりしないと)」
マスター「……優雅君」じっ
寛木「あ?」
マスター「やっぱり、優雅君は凄く格好良いね」にこ
寛木「っ!(あ゛ーーー!?クソッ!絶対に金を稼いで店を取り戻してやる!)」真っ赤!
寛木君の目標は、店を買い戻してマスターにプロポーズする事だよ!長い道のりだね!
ちなみに、この日はキスする暇はありませんでした。
寛木「あ、明日は最初に……するっ!」
多分ムリ。