番外編5:優雅君は給料だけじゃモノ足りない!

 

in金平亭の裏手

 

マスター「それで、最近は店長からさ…」

 

〜♪

 

寛木君のスマホが鳴ったよ!

仕事かな?

 

マスター「優雅君、スマホ鳴ってるけど」

寛木「あぁ、大丈夫。後で連絡確認するから。で?店長がどうしたって?」

マスター「……」じっ

寛木「…な、なんだよ」

 

マスター「…あの、あのさ。もしかして優雅君って、仕事が物凄く忙しかったりする?」おず

寛木「いや、別に。まぁ、暇ってワケでもないけど」

マスター「だよね。最近、着信も多いみたいだし。ここ来るの、大変なら無理しなくても…」

 

寛木「はぁっ!?別にそこまで忙しくねぇし!」

マスター「あっ、いや!でも、君の仕事って営業だし。お客さんの都合でさっきみたいに連絡が来たら、相手に合わせなきゃなのに…俺のせいで無理させてたら、申し訳ないっていうか」おずおず

 

寛木「だーーかーーらーー!別に無理してねぇよ!だって、コッチのスマホは職場用じゃねぇし!ほら!」

 

寛木はマスターに2台のスマホを見せたよ!

 

マスター「あ、すごい。スマホ2台持ちなんだ」にこ

寛木「はっ、個人の番号なんて客に教えるかよ」

マスター「へぇ、優雅君。仕事出来る人みたいだね」にこ

寛木「……みたい、じゃねぇ。俺は実際に仕事が出来るんだ」じわ

 

マスター「じゃあ、最近会ってる時にスマホが鳴っても無視してたのは、こっちのプライベート用のスマホ……あれ?いつも持ってたのってコレだっけ?スマホ変えた?」

寛木「プライベートっつーか。コッチも仕事用だから」

 

マスター「え、え?コッチのも仕事用なの?なんで、わざわざ2台も」

寛木「なんつーか、こっちは副業用」

マスター「えっ、えぇ!寛木君、新卒で仕事も覚えるのが大変な時期だろうに、副業までやってるの!?な、なんで?ちゃんと休んでる?!」

 

マスターは寛木君の顔をのぞき込んだよ!

 

寛木「〜〜っ!!アンタと違って、ちゃんと休んでるよ!?」真っ赤

マスター「本当に?あのね、今、そういう……副業?がブームかもしれないけど、まずは一つに集中するのも大事だよ?っていうか、しっかり休まないと、いくら若くても体が」オロオロ

 

寛木「大丈夫だって」じわ

マスター「あの、何の副業をしてるの?」

寛木「あーー、えっと(どうせ言っても分かんねぇだろうしな)」

マスター「あ、あの。もしかして……ホストとか?」おず

寛木「はぁ!?ふざっけんな!誰がホストなんてやるかよ!」

 

マスター「……だって優雅君は格好良いから似合うだろうし」ちら

寛木「まぁ、俺の顔が良いのは……認める」じわ

マスター「それに、外面も良いし」

寛木「ぐっ。まぁ、それも……認めるが」

マスター「でも、ホストはお酒とかで体を壊しそうだから、出来れば止めて…」

 

寛木「いや、だから!ホストじゃねえし!俺がやってる副業は動画編集のチーフマネージャー!」

マスター「動画編集のちーふ…??」

寛木「……えーっと(こりゃ全くピンともきてねぇな)」ガジガジ

 

マスター「まぁ、優雅君がムリしてなきゃ、俺はいいんだけどね……」

寛木「別に、無理なんてしてねぇよ。そっちはそっちで楽しくやってる。つーか、本業より楽しいかもな」

マスター「そっか。……あの、優雅君」

寛木「ん?」

マスター「あの、お金……必要な時は相談してね」

 

寛木「は?」ポカン

マスター「いや、あのね。俺もあんまりお金は無いけど、もしキミが何か必要ならどうにか用意するから」じっ

寛木「いやいやいやいや!?親に借金あるヤツが何言っちゃってんの!?」

マスター「いや、確かにそうなんだけど……でも、優雅君に今お金が必要なら、俺がどうにか…」

 

寛木「あ゛ーーー!もう!これだからアンタは商売に向かないんだよ!?カモがネギ背負ってるどころの騒ぎじゃねぇ!いいか!?これから、誰かに金を渡す時はぜってー俺に相談しろよ!?いいな!?」

マスター「え、え?いや、そんな…」

寛木「い、い、な!?」ずいっ

 

マスター「あっ、あ……はい」

寛木「…ったく、何を言い出すかと思えば(こんなヤツ放っておいたら、今度そこ借金まみれにされる……俺がしっかりしないと)」

マスター「……優雅君」じっ

寛木「あ?」

 

マスター「やっぱり、優雅君は凄く格好良いね」にこ

寛木「っ!(あ゛ーーー!?クソッ!絶対に金を稼いで店を取り戻してやる!)」真っ赤!

 

 

寛木君の目標は、店を買い戻してマスターにプロポーズする事だよ!長い道のりだね!

ちなみに、この日はキスする暇はありませんでした。

 

 

寛木「あ、明日は最初に……するっ!」

 

多分ムリ。