11時間差レター

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第5話:平凡と雷おこし

「皆さん、今日も1日お疲れ様でした」 「お疲れ様でしたー」  俺は、いつものようにつつがなくミーティングを終えると、掃除の号令がかからない事に、わかってはいるものの驚喜乱舞した。  これは決して大げさなんかではなく、事実俺は少しだけ浮足立っ...
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第4話:不良と清掃

「っあー!ダリィ。マジ朝死ぬ」  俺は春先のまだ肌寒い朝の空気の中、小さな個人塾の前に立っていた。  驚く事に、吐いた息が空気中でうっすらと白く色づきやがった。おい、今何月だと思ってんだよ、勘弁しろ。  現在、午前6時55分。  奇跡だ。 ...
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第3話:平凡と感謝

「今日も1日ご苦労様でした」  そう言って塾長が頭を下げるのを、俺はどこかハッキリとしない頭を抱えてぼんやりと見ていた。頭がフラフラする。目もシパシパだ。  俺は塾長に向かって頭を下げるバイト仲間達に遅れながらも、ふらつく頭を勢いよく下げた...
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第2話:不良と幼馴染

深夜11時。  ある市街から少し離れた商店街、東側路地入って右側。  そこに一つの小さな一軒家がある。  世帯構成人数4名。内訳、クソ親父、クソババァ、クソギャル妹、そして俺。  実は一人既に家を出て別世帯を構成するクソ兄貴も居るのだが、ソ...
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第1話:平凡と掃除

夜9時。  ある市街の駅前、交差点、南側路地入って右側。    そこに一つの小さな個人塾がある。  生徒数36名。教師数8名。  集団塾ではなく、2~3名の生徒を一人の教師が見るという半個別指導スタイル。    各机は仕切りで区切られている...