関係転換学各論A

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10:俺の、**と呼ばれている男

「池田くん、カリスマってどういう意味か知ってる?」「いや、わかんねぇ」俺と池田くんは、教室で堂々と話していた。周りからの大量に寄越される、どこかぎこちない視線。それらを無視して、俺と池田くんは会話を続ける。仲良しだから。大事な事だから、2回...
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9:俺の、敵と呼ばれていた男

俺はそんなつもりで話しかけたかったわけじゃない。お前みたいなハイエナ女と一緒にすんな。………なんて。上下ジャージで瓶底メガネを装備した寝不足の勇者に、そんなツッコミを入れられるわけもなく。俺はやっぱこれが栞だよなぁと、女子に囲まれた時とはま...
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8:俺の、彼女と言われていた女

ピンポーン閑静な住宅街の一角で、これまた何のへんてつもない一軒家の前で俺は手元にあるチャイムを押した。ピンポーン表札には達筆な文字で【上白垣】と掘られている。栞の家だ。俺はその家の前で確かにチャイムを押した。しかし、反応はない。ピンポーンも...
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7:会釈する関係

俺と池田は仲が悪い。犬猿の仲。ライバル。栞を巡る恋敵。そんな噂が、俺の耳にも届くようになったのは、栞がインフルエンザにかかって3日くらい経ってからだった。未だに、栞はインフルエンザから回復していない。あれって、治っても1週間は学校来れないん...
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6:おはようのタイミング

「お、おはよう。池田く、ん」その瞬間、クラスの空気が一気に氷点下にまで下がったのを、俺は心の温度計で体感した。おい。お前らが池田を一人にすんなっつったから、俺はこうして話しかけてんのに何だよ。どうしてお前らは俺の背後でコソコソ冷たい視線を向...