プロローグ:俺の声は何故!?

プロローグ:俺の声は何故!?

幕間1:クリアデータ7 00:00

とある夜の事だ。 一人の若い女の、悲鳴にも似た歓声が部屋中に響き渡った。 「よっしゃぁぁぁっ! 六人全員っ! 好感度マックス! 全スチルゲットの上クリアじゃぁぁっ!」  その歓声は、明らかに一人の声でしかない筈なのに、その感情の籠り方から、...
プロローグ:俺の声は何故!?

4:王の言葉

『……さぁ、建国史上おそらく最も独裁的で身勝手で愚かな王が玉座に着いた』  俺はベンチから立ち上がると、そのままビールの缶を片手に、背筋を伸ばした。鼻から息を吸い込み、へその下にその空気を溜め込む。 『この最高の悲劇の瞬間に立ち会ってしまっ...
プロローグ:俺の声は何故!?

3:消したい心

---- -------- ----------- 「……あーぁ」  当てもなく走り回って到着した先は、まったくもって見慣れぬ公園だった。 申し訳程度に砂場やら、ブランコやら、何かわけの分からない動物の遊具やらがある脇のベンチで、俺は肩を落...
プロローグ:俺の声は何故!?

2:二時間の天国

--------- ------- ----  幼い頃、俺には毎日、二時間の天国が存在した。 『かっけーー!』 『すっげーー!』  そう、夕方六時から八時までの約二時間。  あの頃は、お茶の間が賑わう時間帯に大量のアニメのタイトルが軒を連ね...
プロローグ:俺の声は何故!?

1:急転直下

これは、決して賢王の話などではない。  この長い長い歴史を持つクリプラントの歴代国王の中で、最も私利私欲を尽くし、最も愚かで、けれど国民、そして家臣から最も愛された、一人の国王の話である。   そして、一人の男が自身の望みを、諦める話でもあ...