ごめんこうむります。

ごめんこうむります。

34:おふろそうじ

おふろそうじ?  そういえば、先程からこのメスは“せんとう”とか“おふろ”とか言っている。  俺は一体これから何をするのだろう。  猫の手はどこに必要なのだろう。  俺は今、人間の手だが大丈夫なのだろうか。 「今からニート君にはお風呂掃除を...
ごめんこうむります。

33:おしごと

人間とはほんとうに面白い生き物だ。  一つの感情や状況、物の名前にいくつもの呼び方を付けたりする。  ほんとうに、ほんとうに面白い。  この時の俺はまだ知らないのだが「猫の手も借りたい」というのも、とても忙しい事の“たとえ”らしい。  人間...
ごめんこうむります。

32:ねこのてかします

しかし、俺の予想に反して子供は公園の中にある遊びモノには目もくれず、脇の方にある人間が座る為にある木の椅子まで俺を引っ張った。  そして、子供はそこにちょこんと座ると、何やら背中に背負っていた黒い入れモノから何かをゴソゴソと取りだす。 「に...
ごめんこうむります。

31:がいこくじん

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」  そうやって、どれくらい走っただろうか。  俺は初めての二本足での走りに、頭がクラクラするようだった。  ゼェゼェと息が上がる。こんな感覚は久しぶりだ。  たくさん足を動かしたような気がするのに、周りの景色は猫の...
ごめんこうむります。

30:ひとりぼっち

俺は自然と笑っていたようだ。猫には表情はあまりない。  対して人間はいろんな顔の動きを持っている。人間はその時の気持ちによって表情がころころ変わるのだ。  俺も猫だったのに、人間みたいに顔が動く。  俺はそれが面白くて体だけでなく顔も動かし...