凡庸な男に明け暮れた、とある天才の話

凡庸な男に明け暮れた、とある天才の話

5:天才の愛した凡人

私の名前はカルド。カルド・ダーウィングである。 とは言っても、私にとって名前などは、さほど意味を持たない。ソレは個を識別する為の文字の羅列に過ぎない。 私の頭の中はいつも酷く慌ただしい。 なにせ、いつも様々なアイディアで埋めつくされているか...
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4:天才の新しい日課

〇 天才カルドのルーティンは、ある日を境に激変した。 そして、その友である俺の日常も、多いに変化した。いや、ぶち壊されたと言った方が良いだろうか。 退院の日、俺は大勢の医者や看護師に見送られ、カルドと共に病院を出た。カルドの姿を見るまで、俺...
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3:天才の恐怖

--------------------「っ!」 目覚めた。 ツンと薬品の匂いが鼻孔を擽る。いつもと違うフワリとした弾力のあるシーツの感触が肌に触れる。 ここは、病院か。「っヨハン様!目覚められたのですね!」 すぐ傍に居た看護師らしき女性が...
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2:天才の不機嫌

「私がこないだキミに話した気象学理論のマナの件なんだが……」 カルドの声があまり耳に入ってこない。美しいカルドの顔も。あの無邪気な笑顔さえ、今の俺には認識が難しい。「聞いているのか?ヨハン」 いつもの天真爛漫な笑顔ではなく、怪訝そうな表情で...
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1:天才の日課

我が友、カルド・ダーウィングは幼い頃から変わった子供だと、皆から遠巻きにされていた。「先日、学会で発表された【フーガの相対的な価値と今後の展望】という論文を読んでみたが、あれはとてつもなく面白いモノであった。面白いと言っても“興味深い”と言...