ごめんこうむります。

ごめんこうむります。

14:あさくらかいどう

『アカの前に居たのがしろだ。しろが俺にキジトラと付けてくれた。しろは良い奴だ』 そう、俺が言うと、その瞬間アカは「ノウ!!!」と叫んで布団の上に突っ伏した。そして、そのまま拳を握りしめ布団をダンダンと叩きまくっている。 一体何がしたいのか訳...
ごめんこうむります。

13:たかみややすたけ

--- ------ ---------- 『そう言えば、人間には皆、名前があるだろう。お前にも名前はあるのか』 泣きやんでもしばらく俺を抱えたまま離れないアカに向かって、俺は少しだけ話しかけてみた。俺も人間の中で生きている猫だ。 名前がな...
ごめんこうむります。

12:さいかい

------------- --------- ----- 「兄貴!」 『っ!』 俺の夢の中の声が、突然外の世界から響いて来た。その瞬間、俺の耳はピクンと動き、パチリと目を覚ました。 目の前には真っ赤な毛を持つ人間、アカが居た。 俺は一体ど...
ごめんこうむります。

11:いちもくさん

『(一人立ちかぁ)』 俺はまだまだ体の小さな子猫を見ながら、一人立ちの時期を思って腹の毛がキュンとするのを感じた。 一人立ちにはまだ時間がある。 まだ、俺はこの子の親でいられる。 親猫は死んだのか、はたまたはぐれてしまったのかわからぬこの子...
ごめんこうむります。

10:こねこ

○ 懐かしい声がする。 懐かしい匂いがする。 「あにき」 あぁ、懐かしい。 俺は薄れゆく意識の中、またしても“あの”感覚に陥った。 あの冬の夜、死を覚悟した夜。 俺の頭の中を色鮮やかに駆け巡っていく過去の記憶。 あの時は俺の一生分の記憶が一...