第2章:俺の声はどう?

第2章:俺の声はどう?

幕間12:クリアデータ7 04:25

「……終わった」  栞はコントローラーを床に投げ捨てると、ベッドの上に上半身を投げ出していた。そして画面のついたまま放置されたテレビには【ここまでの物語を、セーブしますか?】の文字。 「良かった……もう、ちょっと。今回はもう絶対にダメだって...
第2章:俺の声はどう?

126:教育不足

「……!」  マティックの口から紡がれる言葉の一つ一つに、俺は体の芯から熱くなるのを感じた。  なんだって?俺のお陰?そんな、俺、何もしてないし。  だって、最初は役立たずだって皆に言われて、バカにされて、俺は何も一人じゃ考えられなかったし...
第2章:俺の声はどう?

125:報告書

---------- ------- ---- 「……っ!」  目が覚めた。  俺は目を開けた瞬間、目の視界いっぱいにショッキングピンクのにこりと笑うウサギと目が合った。 「……あも」  そんなあもの顔に、俺は思わず両手でそのフワフワを抱き...
第2章:俺の声はどう?

124:誓いの口付け

『イーサに誓いの口付けをしろ!』 『っ!?』  “口付け”という、あまりの前後脈絡のない提示された条件に、俺は目を瞬かせた。そんな俺に、イーサはどこか得意気な様子で続ける。 『人間は何かを誓う時に口付けをするのだと、本に書いてあった!それに...
第2章:俺の声はどう?

123:重なる声

(ごめんなさぁい)  閉ざされた心を開く唯一の手段。それが“声”だったのに。ソレまで自業自得で失った。 『――――っ!』  声。  俺の唯一の特技。唯一の自尊心。俺の唯一の夢。  その中には沢山の劣等感も、辛い気持ちもいっぱい詰まっていた。...