第2章:俺の声はどう?

第2章:俺の声はどう?

70:推し活

≪クリプラントの勇敢で崇高なる兵士達よ。私は、このクリプラントの王、ヴィタリック陛下の第一姫ソラナです≫ 「っ!」  凛と響く、澄んだ女性の声が、周囲の雰囲気を一変させた。 その声は、どこか優し気な揺らぎに満ちているのにも関わらず、その芯は...
第2章:俺の声はどう?

69:戻りたい場所

だって、イーサがあんまり泣くからさ。  つい、言っちゃったんだよな。 『イーサ、夢電話をしようぜ』  そう、するりと俺の口から出たその言葉に、俺は酷く懐かしい気持ちになった。まさか、大人になってまで、そんな事を言う日が来るなんて。  夢電話...
第2章:俺の声はどう?

68:夢電話

------ --------- --------------  夏休みに入って間もなくの事だった。 『サトシ。おばあちゃんの所になんて行かないでよ。夏休みは一緒に冒険しようって言ったじゃん』 『ごめん。キン。でも、婆ちゃんがオレに会いたい...
第2章:俺の声はどう?

67:サトシの望み

「ええ、私は間違いなくそう聞きました。あと、こうも言ってましたよ?」 「な、なになに!なんだ!サトシは何と言った!」  ぬいぐるみを抱えたまま、イーサはマティックに向かって身を乗り出した。  想定通り。もう、全てはマティックの想定に全て納ま...
第2章:俺の声はどう?

66:盾であり翼でもある

「彼自身が意思のある生き物であるという事です。彼は、今貴方の抱きしめている、物言わぬ愛玩人形とはワケが違うのですよ。隠す時に、どう彼に伝えるおつもりです?」 「……サトシに、お願いを、すれば」  畳みかけられた勢いで、イーサの勢いが一気に削...