俺の声を聴け!

第1章:俺の声は何!?

2:頭でっかち

---------- ------- ----  俺は、昔からそりゃあもう理屈っぽいヤツだった。  頭でっかちと言ってもいい。  キャラの声を初めて己の中に偶像する時、ともかく俺はキャラに関する情報を、集めるだけ集めた。外堀を埋め、じわじわ...
第1章:俺の声は何!?

1:目覚め

腹の下に走っていたゾクリとした落下特有の嫌な感覚。そりゃあそうだろう。俺は実際に“落ちて”いた。 それなのに――。 「……っ!」  しかし、どうだろう。その感覚は、一瞬にしてなくなった。なくなった代わりに、次の瞬間、俺の顔には冷たい何かがぶ...
プロローグ:俺の声は何故!?

幕間1:クリアデータ7 00:00

とある夜の事だ。 一人の若い女の、悲鳴にも似た歓声が部屋中に響き渡った。 「よっしゃぁぁぁっ! 六人全員っ! 好感度マックス! 全スチルゲットの上クリアじゃぁぁっ!」  その歓声は、明らかに一人の声でしかない筈なのに、その感情の籠り方から、...
プロローグ:俺の声は何故!?

4:王の言葉

『……さぁ、建国史上おそらく最も独裁的で身勝手で愚かな王が玉座に着いた』  俺はベンチから立ち上がると、そのままビールの缶を片手に、背筋を伸ばした。鼻から息を吸い込み、へその下にその空気を溜め込む。 『この最高の悲劇の瞬間に立ち会ってしまっ...
プロローグ:俺の声は何故!?

3:消したい心

---- -------- ----------- 「……あーぁ」  当てもなく走り回って到着した先は、まったくもって見慣れぬ公園だった。 申し訳程度に砂場やら、ブランコやら、何かわけの分からない動物の遊具やらがある脇のベンチで、俺は肩を落...