第4章:俺の声を聴け!

第4章:俺の声を聴け!

237:裏切らなかったラスボスと、偉大なる王様の一部

〇 「あ」  血は水よりも濃いって、本当に言い得て妙な言葉だと思う。 「あ、貴方は」 「あ、キミは」  すれ違う俺に向かって、全く同じような顔で声をかけて来たのは、薄い青色の髪を靡かせる宰相親子、カナニ様とマティックだった。 「あぁ、サトシ...
第4章:俺の声を聴け!

236:泣き虫なお姫様と、お姫様みたいなメイド

〇  推してる声って、どこに居ても聞こえてくるモノだ。 「ポルカ。貴方はこの部屋の掃除をお願い。国賓の方が泊まられる部屋だから、しっかりね」 「はい、わかりました」 「じゃあ、私は向こう見てくるから」  そんな二人のメイドの会話の直後、ベテ...
第4章:俺の声を聴け!

235:「みんな」になったエルフと、甘えん坊のタンタンちゃん

〇 「うわぁ、大分遅くなっちまったなぁ」  夕刻。  シバとドージさんの店に長居をし過ぎた事もあり、繁華街から訓練場に到着する頃には完全に日が落ちていた。  城の脇にある、近衛兵達の広大な訓練場。そこは、兵士としての訓練など殆どしてこなかっ...
第4章:俺の声を聴け!

234:シバのお嫁さんと、ドージの新人研修マニュアル

〇 「こんにちはー」 「お、サトシじゃねぇか」 「あぁ、来たのか」  俺はシフトの入っていないバイト先を尋ねるようなノリで、シバとドージさんの店の戸を叩いた。ここで働いたのは一度きりだったのに、なんだか通い慣れたバイト先の酒場のような気持ち...
第4章:俺の声を聴け!

233:エーイチの眼鏡と、エイダのお茶の時間

---------- ------- ----  ゲームには、必ず終わりがある。  人生も、それは同じだ。  ただゲームと違い、現実世界に「セーブデータ」は存在しない。  時は巻いては戻せない。リトライなんか存在しない。 「イーサの戴冠式は...