第4章:俺の声を聴け!

第4章:俺の声を聴け!

213:俺の声、お前の声

俺達の座ったソファ席は酷く年季が入っていた。きっと昔は濃い朱色だったのだろう。ただ、長い年月と共に摩耗したソレは、今では薄黒くなっており、赤色だった形跡は欠片も無い。 中央に一つだけ足のある壁から備え付けられた机も同様で、そこかしこに傷とシ...
第4章:俺の声を聴け!

212:格好良い声

「おれ、ちゃんと……選ばれてたんだ」 そう、感嘆の溜息と共に漏れ出た言葉が、俺の耳の奥にゆったりと馴染んでいく。俺はちゃんとジェローム役に選ばれていたのだ。「えらばれる?」 俺の言葉に、ジェロームは訳が分からないとばかりに首を傾げてくる。ま...
第4章:俺の声を聴け!

幕間17:クリアデータ7 07:20

「はぁっ」 画面いっぱいに映し出されたスチル画像に、栞は思わず感嘆の声を漏らした。「……ジェローム、貴方ってやっぱり格好良い。まさかこんなにすぐに貴方に再会する事になるなんて思いもしなかったわ」 言いながら、栞は一旦コントローラーを床に置い...
第4章:俺の声を聴け!

211:ジェロームと俺

俺の声が聞こえる。「お前が指定してきた時間だろうに」「悪い悪い。腰の悪い田舎者が一緒だったんでな。つい」 チラと俺の方を振り返りながら、いつもの憎まれ口を叩くエイダ。ただ、そんな言葉に俺はもう反応しなかった。いや、出来なかったと言った方が良...
第4章:俺の声を聴け!

210:世界の狭間、ばあちゃん家

〇 喫茶店なんて、いつぶりだろうか。 エイダが誘うように開けてくれた扉の向こうからは、深みのあるコーヒー特有の芳香が漂ってきた。ただ、目の前には地下へと続く薄暗い階段が見える。光に照らされキラキラと輝いていたエイダの朱色の髪の毛が、階段を下...