第1章:俺の声は何!?

第1章:俺の声は何!?

9:声優界の父

〇 「人魚姫、人魚姫……」  食事の後、俺は頭の中で【人魚姫】の語りを脳内で作り上げながら、自室に戻るべく訓練所の脇を歩いていた。今日の部屋守は昼から明日の朝にかけての夜勤だ。イーサの部屋に行く前に、まだ、少しだけ時間がある。 「番組では、...
第1章:俺の声は何!?

8:食事の時間①

「……次は何の話にすっかなぁ」  声を出すだけで、どうやら俺のストレスの殆どは解消されたらしい。目覚める度に、自分が未だに「セブンスナイト」の世界に居る事を確認し、ひたすら黙って部屋の前に立っていた、あの十日間。  退屈と虚無に支配された、...
第1章:俺の声は何!?

7:おはなしのじかん!

≪これは、ぼくが、まっくらなくやらみの中から、この世界にひっぱりあげられた時のおはなしだ≫  俺は、念のため扉から数歩下がっておくことにした。また、扉ごと吹っ飛ばされては敵わないからだ。中からは何も聞こえない。 ≪ぼくが、いつからここにいた...
第1章:俺の声は何!?

6:我慢の限界

〇  あの日、俺がイーサ王子の部屋から吹っ飛ばされて気を失った後。俺は起きた傍から、ガッツリと見事なお叱りを受けた。 ええ、ええ。そりゃあ凄い勢いでブチ切れられましたとも!  不敬罪だの、懲罰房だ、果ては斬首刑などという、余りにもヤバそうな...
第1章:俺の声は何!?

5:夢の中のお前

あ、これ夢だ。  そう、夢の中で分かる事が、稀にある。  この時も、俺にはコレが夢だとすぐに分かった。なにせ、俺の目の前には金弥が居たのだ。しかも、一緒に声優になろうと言い出した、八歳の頃の金弥が。 --------サートシ!なぁ!ビットの...