第3章:俺の声はどうだ!

第3章:俺の声はどうだ!

193:忘れられないオーディション

「おい、待て」 「なんだよ」 「その部屋はいい」 耳を疑った。 この部屋を開けようとした兵を、もう片方が止めている。何故かは分からないが、ぼんやりと消えかかっていた希望が再びハッキリと姿を現し始めた。 「なんでだよ、この辺で見失っただろうが...
第3章:俺の声はどうだ!

192:幼馴染の声

--------頑張ってくれたまえ。サトシ君。 中里さん。……いや、カナニ様。 俺は、今から頑張ってもまだ間に合いますか?もしかして、もう遅かったりしますか? 誰も居ない部屋の隅で膝を抱えながら、俺は心の中でカナニ様に尋ねてみる。もちろん、...
第3章:俺の声はどうだ!

191:たった一人しか使えないアラート

「エイダ。お前は僕と似てるよ」 「……それは光栄だ」 「ずっと一人で友達なんか居なかったし、いらないって思ってたから……友達ってヤツの難易度が凄く上がっちゃってるんだ」  エーイチは思い出していた。自分の事を何の気のてらいなく、損得勘定も何...
第3章:俺の声はどうだ!

190:エイダの図星

「エイダ、お前は誰の味方?」 「なぁ、それは『はい』でも『いいえ』でも答えられないから無効じゃないか?」 「そうだね。じゃあ、言い方を変えよう」  頷くことも、首を振る事もしない。そんなエイダにエーイチは確信した。記憶を辿る。辿った先に居る...
第3章:俺の声はどうだ!

189:エーイチの尋問

ここは、どこだろう。  エーイチは、とある部屋の一室でぼんやりとそんな事を思った。  その部屋には、簡易的ながらもベッドもある。現在、エーイチはそのベッドの上に居る。 そして、右端に見える入口の扉は、取っ手も何も付いていない。確認したワケで...