第3章:俺の声はどうだ!

第3章:俺の声はどうだ!

188:世代交代と逃げの一手

「しかし、結果として軍はキミを求めたよ。何故だか分かるかな?」 「親父が年食ってヤバイからでしょう」 「おい、俺はそこまでヤバくねぇよ」 「ヤベェだろうが。こないだの仕入れ、また間違ってたぞ。食材無駄になるから止めろよ」 「それは年食ってる...
第3章:俺の声はどうだ!

187:親子というのは

「まったく、ヴィタリックは俺に最期まで働けと、仕事を山積みにして逝ったんだ。堪らない。もうさすがに俺も疲れたというのに。お前もそうだろ。ドージ?」 「あぁ、その通りだな。そろそろ息子に代替わりしても良い頃合いかもしんねぇがな」 「……まぁ、...
第3章:俺の声はどうだ!

186:前王への郷愁

世も明けきらぬ夜中の事だ。  カナニは城の一角に設けられた軍事演習場に居た。ヴィタリックの喪も明けきらぬ上に時刻は夜中である。カナニ以外の人物など誰も居ない……ワケでは無かった。  前宰相カナニの隣には、二人のガタイの良い男が居た。片方は年...
第3章:俺の声はどうだ!

185:宰相の微かな期待

まったくもって予想通りの報告内容に、マティックは深く息を吐きながら報告書を机の上へと投げ捨てた。ここに登場するスリの子供、というのがエイダの関係者で間違いないだろう。もしかすると、エイダ本人かもしれない。  なにせ、エイダは一つの姿で長時間...
第3章:俺の声はどうだ!

184:王の微かな成長

その夜、執務室に緊急の伝書鳩が舞い降りた。 「ん?」  執務室には伝書鳩が入り込めるように小さな戸がある。そこから入り込んできた鳩は、一枚の紙をスルリと部屋の中へ落とすと、すぐさま扉を抜けてと夜空へ飛び立った。  よく躾られている。そう、マ...