心苦しくも、私もゆとり世代でございます

心苦しくも、私もゆとり世代でございます

15:想定外の再会

ガチャリと。 背後から扉が開く音が聞こえた。 その瞬間、膝に顔を埋めていた春日の肩がビクリと震える。 誰かが春日の背後に立つ気配を感じた。    ○ 春日はトイレの手洗い場の前で蹲っていた。 宮野からの唐突の退職宣言に耐えきれず、春日は逃げ...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

14:想定外の動揺

こんな退職希望の話で、合せられる事になろうとは。 そして次の瞬間には、今までたどたどしかった甘木の不安気な表情が、ゴクリと飲み込まれた生唾と共に飲み込まれたように無くなっていた。 「俺、もう無理です。太宰府さんみたいになりたかったですが、も...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

13:想定内

その瞬間、太宰府 互譲は予想のついていた言葉に息を吐いた。 今しがた耳に入って来た言葉、それは軽く予想できていた事実であった筈なのに。 だがしかし何故だか彼はショックを受けていたのだ。     ○ 太宰府 互譲。 12月25日。太宰府があの...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

12:動揺

唐突だった。 唐突過ぎて春日には一瞬、その言葉の音だけが耳を素通りし、意味を脳内で理解出来ずに居た。 この瞬間こそ、冒頭の息を呑んだ春日の一瞬へと繋がるのだが、春日は1拍、2拍と呼吸を置き、静かに宮野の言葉を頭の中でリフレインさせた。 “会...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

11:衝撃

春日 春。 12月25日。春日があのクリスマスの日にエレベーターに閉じ込められて、約2週間が経とうとしていた。 その間に、会社での忘年会、年末年始の休みによる実家への帰省、年越し、仕事始めの社内インフルエンザ猛威事件と様々な事が彼の身に降り...