第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

41:金持ち父さん、貧乏父さん(41)

『母さんは、末の弟を産んだ時に、体力も限界だったんだろうな。産んですぐに死んだ。7人も子供を産んだんだ。確かに、もう、あれ以上“役割”を果たすのは無理だったに違いない』  母さんが死ぬ時、その最期に、俺にだけ、母さんはそっと言った。 ---...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

40:金持ち父さん、貧乏父さん(40)

〇  今でも、俺の耳の奥で木霊する声が、ハッキリと聞こえる事がある。 ---------お前が居るから!お前のせいでっ!!お前なんか、早くくたばってしまえ!  それは、幼い頃から、何度も何度も言われた言葉だった。  その声を聞くのが嫌で、俺...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

39:金持ち父さん、貧乏父さん(39)

『あんな奴は、俺の父親なんかじゃない』  俺は自分の声が、まるで自分のモノではないような、聞いた事もない程の低い声を放つのを聞いた。あぁ、これはまるでいつもの“スルー”ではないな。  けれど、仕方がない。俺はあの老いぼれの事が大嫌いなのだ。...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

38:金持ち父さん、貧乏父さん(38)

『山肌の補正が終わり、あの荒れ果てた街道が交通の拠点として機能を果たすまでだ』 『……それって、いつ?いつだ?今度の秋か?』  声が震える。あぁ、こんな事なら『山肌の補正が要らないんじゃないか?』なんて気付かなければよかった。気付かなければ...
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37:金持ち父さん、貧乏父さん(37)

『……スルー』  何をどうしても、無駄だった。毎晩、毎晩。いつ、ヨルが『スルー。帰る事になった』と、言いやしないかと震えるばかりだ。この村に居て、ヨルと一緒に過ごした時間なんて、俺の人生では、ほんのちょっとの時間でしかないのに、もうヨルの居...