第2章:生酔い、本性違わず

第2章:生酔い、本性違わず

幕間:新しい季節へ

-----------------------『さぁ、きょうもかぞ、くはねむ、りについた!ぼくのだい、きらいなよ、るがまたこうしてやってきてしまった。ぼくは、まっくらな、へやの、な、か。ふとんをかぶ、って』 僕に【きみとぼくの冒険】の第1巻...
第2章:生酔い、本性違わず

99:洞窟を抜けた先

「教会は、ビヨンド教は、嫌いか?」「嫌い、大嫌い」 ウィズの問いに、俺は間髪いれずに答えていた。 口について出た瞬間、ウィズがその涼し気な表情を微かに曇らせるのを見た。 あぁ、そうだった。ウィズは神官で、教会図書館の担当をしているのだった。...
第2章:生酔い、本性違わず

98:質問

〇「あれ?今日は俺だけ?」「そのようだな」 俺はいつものように仕事帰りにウィズの店に向かうと、なんと今日の客は俺一人だった。 いや、まぁ、つい最近までは客なんて、ほぼ俺だけのようなものだったのだが、人の意識などほんの数日でコロリと変わってし...
第2章:生酔い、本性違わず

97:初めてのおたけび

『そうか、それなら……』 顔を赤くして僕から目を逸らしつつ、チラチラとこちらを伺うインの姿に僕はソッと自身の喉に触れた。 声が出しにくいだけで、特段痛くも痒くもないこの喉。ただ、少しだけかすれて聞きづらいかもしれないソレで、インを満足させて...
第2章:生酔い、本性違わず

96:我儘下手

------------------------『もー!だからフロムにおんぶしてもらえば良かったじゃん』『きもちわるいよう』『ニア、大丈夫か?帰りは俺がおんぶしような?な?な?』『いやあ』 そう言って力なく首を振るニアに僕は、ひとまずニアの...