最終章:酒は百毒の長

最終章:酒は百毒の長

281:初めての子育て

「じゃあ、ベスト家族計画の作戦会議を開始するぞ!」 「分かった!」 「……」 「……」  プラスは休日の朝早くから、そのよく通る声をこれでもかというほど張り上げた。それに呼応するように、俺の返事も自然と声が大きくなる。  まぁ、ここは半地下...
最終章:酒は百毒の長

280:スルーさん

スルーさん。  その日、俺はその名を初めて耳にした。 「スルーというのは、インの父親の名だ」 「インの、お父さん」  ウィズの言っていた俺の知らないその名前は、どうやらインの“お父さん”の名前らしかった。まさか、ここへ来てインのお父さんまで...
最終章:酒は百毒の長

279:お手上げ

「アウトの恋人!さぁ、この子に美味しいご飯をくれ!」  そう言って前後の脈絡など一切無視してプラスは無理やり腕の中に収めていたベストを、ズイとウィズの前へと突き出した。  突き出されたウィズはと言えば、ベスト同様、眉間に深い皺を作り上げ、チ...
最終章:酒は百毒の長

278:作戦会議

「……ベストのやつ、なんで一緒にシャワーはダメなんだ」  ベストをシャワー室に連れて行き、そして再度一緒にシャワーを浴びる誘いでも断られたのだろう。プラスは酷くしょんぼりした様子で共有スペースまで戻ってきた。  しかし、俺達大人二人にはしょ...
最終章:酒は百毒の長

277:名前

「ねぇ、プラス。この子の名前は何ていうの?」  しばらく抱きしめ合う二人を眺めて、温かい気持ちになっていたのだが、足元でみゅうみゅうと鳴きながら近寄って来たけもるに俺はハッとすると、今更ながらプラスに尋ねてみた。  そうだ。この寮でこの子の...