第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

97:金持ち父さん、貧乏父さん(97)

----------- -------- ----- 『はぁっ』  その日、ザンは非常に重い気分のせいで、ベッドから起き上がる事が出来ずにいた。  おかげで、執事が彼の部屋を訪れるまで、布団に潜り込んだままという非常にだらしない醜態を晒す事...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

96:金持ち父さん、貧乏父さん(96)

『ヨルが、居なくなる?』  俺は自身の腹を撫で、もうヨルの見えなくなった屋敷への小道を見つめた。そう、きっとヨルが居ない夜はこんな風に違いない。呼んでも返事もなく、どこを見渡してもそこにヨルは居ない。 --------俺が帰る事を伝えたら、...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

95:金持ち父さん、貧乏父さん(95)

『どうだ?当たったか?』 『……なぜ、そんな』  ヨルが戸惑ったように、俺に問いかけてくる。なぜ、自分の口にしようとしていた言葉が分かったかって?そんなのは簡単だ。 『ヨルが教えてくれたんだ』 『……俺は言っていないぞ』 『違う!俺のお腹の...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

94:金持ち父さん、貧乏父さん(94)

『あぁ。今回の疾風は大きいそうだな』 『そうだな。そろそろ来るとは思っていたが、インが言うのだから間違いないだろう。なんだか、いつも以上に肌がベタベタするらしい』  いつもなら、この辺りでヨルは俺の背から腕を緩める頃合いだ。そうしなければ、...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

93:金持ち父さん、貧乏父さん(93)

そう、それとだ。  今のところ五つの疾風が村にやって来たけれど、かつて荒地の街道と呼ばれていたあの場所はビクともせずに、ちゃんと街道としての機能を果たしてくれている。  そのお陰か、通りの向こうにある隣村との交流も、盛んになってきた。最近で...