第2章:生酔い、本性違わず

第2章:生酔い、本性違わず

68:月

「俺、インじゃないよ」 「……わかっている。お前は“アウト”だろう?」 「ウィズ、お前。分かってないよ」  酒場で話しても良かった。けれど、こうなってしまっては今ここできちんと話しておくべきだろう。  俺では、ウィズにかけられているインの呪...
第2章:生酔い、本性違わず

67:交換条件

〇 「それで、アウト。お前はあの絵描きのモデルを引き受ける事になったのか?」 「そうなんだよ、なんで俺なんか描きたいんだろうなぁ」  俺とウィズは肌寒い夜の街を、二人並んで歩いていた。もう季節は冬間近だ。そのせいか、夜空の空気はすんで、この...
第2章:生酔い、本性違わず

66:言い訳

--------- ------ --- 『さぁ、どうぞ?』  そう言って話を促す僕に、インはもじもじして『えっと』とか『その』とか、意味のない言葉ばかりを並べるばかりだった。  すると、フワリと冷たい風が僕たちの間を吹き抜ける。空はどんよ...
第2章:生酔い、本性違わず

65:お誘い

「セイブ、先生になんて口の利き方をしているんだ」 「アズ、違うよ。ちょっとからかっただけ」 「君は先生をからかえる程の立場なのかい?」 「いや、そうじゃないけど」 そう、急にどこかバツの悪そうな表情を浮かべるセイブの姿は、やっと外見相応の1...
第2章:生酔い、本性違わず

64:教会図書館担当神官

「アウト。お前は教会図書館の担当神官について、現代教会史で習わなかったのか?」 「いや、多分教本には載ってなかったよ」 「習う。どの学窓の現代教会史にも必ず載る分野だ」 「……ぐう」  まったく、言い返す余地くらい残して欲しい。いや、だって...