第3章:酒極まって、乱となる

第3章:酒極まって、乱となる

140:おめでたい事

呼び方って凄く大切だと思う。  呼ばれるうちに人は、そうなっていくって聞いた事があるし。  まぁ、だいたいは名前で呼ばれるんだろうけど。  そんな俺には“アウト”って名前がある。  だけど、俺がアウトだからアウトと呼ばれると言うよりは、アウ...
第3章:酒極まって、乱となる

139:幸福を腕の中へ

『さぁ!今日こそ頷いてくれるだろう!ニア!せっかく田舎者の中でも、そのような麗しい容姿を持っているんだ!媚びる先が分からない程、君も愚かではない筈だ!』  驚くほど頭の悪い台詞が、俺と、そしてフロムの耳に響き渡った。  あぁ、帰省早々この声...
第3章:酒極まって、乱となる

138:15歳

------------ --------- ----- 幸福ってどんな形をしているのだろうか。どんな色をしているのだろうか。 きっと、それは人によって大きく異なるだろう。 僕にとっての、 いや、俺にとっての幸福は“あの日”から変わらない。...
第3章:酒極まって、乱となる

137:妹をあやすように

目覚めると、そこはいつもの見慣れた天井があった。  俺は布団から出た顔が冬の空気でツンとするのを感じると、毛布を口元まで持ってきてガサガサと寝がえりをうった。頭の半分はまだ眠っているような感覚であり、なかなか夢と現実の区別がつかない。  今...
第3章:酒極まって、乱となる

136:とある若い母親の話

□■□■□ あら?ここはお酒を出してくれるお店なの? 私は余り飲んだ事がないのだけれど、大丈夫かしら。 あ、あ。ちょっと待って!でも、ちょっぴりは飲んだ事があるの。お料理に使うお酒をね、ほんの少し。 ごめんなさい。嘘をついたわ。 余り飲んだ...