第3章:酒極まって、乱となる

第3章:酒極まって、乱となる

145:ズル休み

〇  部屋に戻ると、そこには誰も居なかった。 そして、少しだけいつもと様相の異なる部屋。 ただ、直前まで誰かが居た形跡がある。なぜなら、その部屋にはアバブから借りた“教本”の続きと、そして。  そして、一瓶まるまる空になったゼツラン酒の瓶が...
第3章:酒極まって、乱となる

144:呪われた二人

----------- -------- ---  俺が心から待ち望んだ終業のチャイムを耳にし、アバブに手を振り職場から出た後。そこには、予想外というか、よく考えれば予想しうる人物が立っていた。 「トウ」 「アウト、ちょっといいか」  そこ...
第3章:酒極まって、乱となる

143:白昼堂々

---------- -------- -----  俺はインの手を引いて、いつもの二人の秘密基地に来ていた。 あの大木の根に空いた大きな穴。あの子供の頃は広く感じていたあの場所も、成長した今では少しの手狭さを感じるようになった。 けれど、...
第3章:酒極まって、乱となる

142:つわり

「…………アバブ」 「なんすか、アウト先輩」  シンスが去って、しばらく俺はぼんやりしていた。仕事は始まっていたが、事務所の中は先程のシンスの件もあり女性達は未だ色めきだっている。 「つわりって、どんな感じなのかな」 「いや、私妊娠なんてし...
第3章:酒極まって、乱となる

141:男だから

「本当は、まだ、まだすごく初期で。どうなるかも分かりませんし、皆さんにお伝えするべきか、迷ったんですが。つ、つわりが酷くて。このまま、だと、皆さんに何もお知らせしないまま、ご迷惑を、おかけする事に、なると」  そこまで言って、彼女は自身の持...