第3章:酒極まって、乱となる

第3章:酒極まって、乱となる

155:地獄と天国

〇  ここは、地獄か。 「う゛え゛っぇえええ!!」  苦しい気持ち悪い。  死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。  なんだこれは、こんなのはもう生きているとは言えない!けれど、死んでいるとも言えない!地獄だ!ここは地獄なんだ! 「ヴウエェッ!げぼっ!っは、っ...
第3章:酒極まって、乱となる

154:酒飲み殺しに殺された

「そしたら、もうそこからは、見事なもんだよ。もう、お母さんは全く俺を見なくなった」 「……アウト」 「なぁ、バイ。俺はお前の事は何も知らない。だって、俺達まだ出会ったばっかりだろ?分からない事ばっかりだ。きっとトウだって、本当のお前の気持ち...
第3章:酒極まって、乱となる

153:あなたの名前は

「知らない癖に!知らない癖に!お腹で子供が動く時のくすぐったくて、違和感があって、ちょっと苦しくて、けど嬉しくて、しあわせで!全然知らないだろ!?先の見えない悪阻の苦しみも!ずっとずっと苦しくてなんにもできなくて!嫌になることも!一度しか抱...
第3章:酒極まって、乱となる

152:イマナイタカラスガ、モウ

その言葉を吐いた瞬間、俺の頬に熱い衝撃が走った。どうやら、俺はバイに叩かれたようだ。  ただ、その手は拳ではなかった。  パシンという乾いた音。頬に走る痺れるような痛み。後に襲ってくるヒリとした熱さ。  どうやら俺はバイに平手で叩かれたらし...
第3章:酒極まって、乱となる

151:ひどいやつ

「俺の弟は、俺の兄弟は、この世でアボードだけだと何度言えばわかる?」 「やめてくれ、アウト。それ以上言うな」  俺の言葉に冷静さをギリギリ保たせながら、しかし震える声でハッキリと口にするトウ。あぁ、トウが怒っている。チラと視界の端に映った男...