最終章:酒は百毒の長

最終章:酒は百毒の長

296:プラスの悪い手

「納得されましたか?」 「いいや、全然。俺達はベストの保護者になる為に必要なモノは全部持っている」 「いいえ、持っていらっしゃいません」 「ならば、俺達は一体何を持っていないというんだ?」  静かな攻防が淡々と進む。  プラスは役所の職員の...
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295:マナ無しの信用無し

「どうしてだっ!?どうして全部必要なモノも揃ってるのに保護者登録が出来ないんだ!?」  呼び出された窓口で、プラスの怒ったような声が響き渡る。すると、俺達の対応をしていた若い眼鏡の男性の役所の職員が、迷惑そうに眉を顰めた。  その目には、大...
最終章:酒は百毒の長

294:保護者登録

『アウト、子育てって大変らしいからな。最後まで責任を持って頑張れよ』  昨日の夜、バイは店から出て行く際、うっすらとした笑みを浮かべて俺に手を振った。子育ての大変さを“らしい”としか口にできないバイは、我が子を産み落としてすぐに亡くしてしま...
最終章:酒は百毒の長

293:”あれ”は違う

「げほっ、けほっ!!っはっぁっ、っははぁっ」 「ベスト!?」  その咳き込みの主は小さな小さなベストであった。先程まで、ウィズと淡々と、けれど満足そうに勉強に励んでいたベストが、今や手にしていたペンを机に投げ出し、背中を丸めて咳き込んでいる...
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292:美味しいモノは独り占めしたい

〇 「さて。この金持ち父さんが、ここで貧乏父さんの首を噛んだ理由を端的に述べよ」  真っ赤な眼鏡をかけたバイが、まるで学窓の先生みたいにして言う。今やバイはアバブとの創作活動で落ちた視力のせいで、仕事中以外は基本的に眼鏡姿だ。  そして、何...