最終章:酒は百毒の長

最終章:酒は百毒の長

291:色とりどりの世界

「俺は別にダンスなんて踊る気分じゃねぇよ」 「そうか?俺はお前とダンスを踊りたい気分なんだがな!」 「……なぁ、アウト。コイツなに?」  バイは先程まで大きく見開いていた目を、すぐになんて事のない、いつものサイズに戻すと俺の方へと視線を移し...
最終章:酒は百毒の長

290:ウッカリアウト

〇  俺は、とても、そりゃあとてつもなくウッカリしていた。 ---------なぁ、アウト。バイには、事前にプラスの事をそれとなく伝えておいてくれないか。事実はどうあれプラスは“あの人”に似すぎている。事前に言っておかねば、アイツの事だ。大...
最終章:酒は百毒の長

289:あの頃のように、

「ふふっ」  その聞き慣れない笑い声のする方へと目をやると、そこにはプラスの隣で、口元に手を添えて上品に笑うベストの姿があった。そして、ベストはその笑みの隙間に、本当に小さな声で何か、台詞をなぞるような言葉を口にした。 「“息子が泥棒扱いと...
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288:お迎え

---------- -------- ----- 「ベストー!プラスが来たぞー!」 「ただいまー!ウィズ!」  俺達二人は仕事を手早く終わらせ、ベストの待っているウィズの酒場へと向かった。酒場の扉を開けウィズの顔を見た瞬間、自然と自身の口...
最終章:酒は百毒の長

287:ビィエル本を君に

「じゃあ、ベスト。ウィズの言うことをちゃあんと聞くんだぞ!」 「わかった」 「ウィズ、俺達仕事に行ってくるな。ベストをよろしく」 「あぁ」  その日から、俺達の毎日は“余裕を持って”が一大目標になった。  これまでのように、ギリギリに起きて...