第1章:俺の声は何!? 21:冷たい手 「……ふぅ」 自分の軽い寝息が聞こえる。 すると、どうだ。目を閉じてしばらくの後、俺のすぐ隣にある扉から、キィと鳴き声のような微かな音が響いた。あぁ、これは聞いた事がある。 イーサの部屋の扉が、開く音だ。 「……は」 すると、扉の開い... 2022.08.03 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 20:魔のイヤイヤ期 俺は、今、非常に困っている。 いや、まぁ、ね。俺は、この世界に来て、だいたい困っている事が多いのだが。まぁ、飽きる事なく、今回も困っている。 「で?俺はこの演習とやらの為に、一体何をどう準備すりゃいいんだ?」 俺は先日イーサから訳しても... 2022.08.03 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 19:急がば習え 「えっ、えっ!よ、読める!な、なんで!?」 俺は自らの手の内に戻ってきた記録用紙の中身に、思わずギョッと目を剥いた。なにせ、あんなに訳のわからない線と曲線の交わりでしかなかった文字が、今や完全に読めるのだ! 「これは……!」 いや、読め... 2022.07.31 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 幕間4:クリアデータ7 00:50 「えぇぇっ!?ウソっ!七週目にして、急に戦闘システムが変わるって何!?エグッ!」 上白垣 栞は唸っていた。 唸りながら、けれどその顔に浮かべるのは満面の笑みという、なんともちぐはぐな状態に陥っていた。 「いやいや、六周目までは、従来通り... 2022.07.31 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 18:お願い事 その後、あのメイドが再びイーサの元に食器を回収しに来た。 「……」 「……ぁ、えっと」 「……」 けれど、戸惑う俺を余所に、彼女は一切俺の方など見ようともしなかった。どうやら、「…もう私に、話しかけないで」という言葉通り、もう俺とは一切会話... 2022.07.31 第1章:俺の声は何!?