第1章:俺の声は何!?

第1章:俺の声は何!?

21:冷たい手

「……ふぅ」  自分の軽い寝息が聞こえる。  すると、どうだ。目を閉じてしばらくの後、俺のすぐ隣にある扉から、キィと鳴き声のような微かな音が響いた。あぁ、これは聞いた事がある。 イーサの部屋の扉が、開く音だ。 「……は」  すると、扉の開い...
第1章:俺の声は何!?

20:魔のイヤイヤ期

俺は、今、非常に困っている。  いや、まぁ、ね。俺は、この世界に来て、だいたい困っている事が多いのだが。まぁ、飽きる事なく、今回も困っている。 「で?俺はこの演習とやらの為に、一体何をどう準備すりゃいいんだ?」  俺は先日イーサから訳しても...
第1章:俺の声は何!?

19:急がば習え

「えっ、えっ!よ、読める!な、なんで!?」  俺は自らの手の内に戻ってきた記録用紙の中身に、思わずギョッと目を剥いた。なにせ、あんなに訳のわからない線と曲線の交わりでしかなかった文字が、今や完全に読めるのだ! 「これは……!」  いや、読め...
第1章:俺の声は何!?

幕間4:クリアデータ7 00:50

「えぇぇっ!?ウソっ!七週目にして、急に戦闘システムが変わるって何!?エグッ!」  上白垣 栞は唸っていた。  唸りながら、けれどその顔に浮かべるのは満面の笑みという、なんともちぐはぐな状態に陥っていた。 「いやいや、六周目までは、従来通り...
第1章:俺の声は何!?

18:お願い事

その後、あのメイドが再びイーサの元に食器を回収しに来た。 「……」 「……ぁ、えっと」 「……」 けれど、戸惑う俺を余所に、彼女は一切俺の方など見ようともしなかった。どうやら、「…もう私に、話しかけないで」という言葉通り、もう俺とは一切会話...